2025年7月30日、おしゃべり病理医 小倉加奈子は、単身、「京都シリアスゲームサミット」に参加してきました。
このイベントは、NPO法人国際ゲーム開発者協会日本(IGDA日本)、立命館大学ゲーム研究センターそしてホテル アンテルーム 京都の共催で、7月29日~31日の3日間にわたって開催されました。
近年、国連の専門機関をはじめとした国際機関によるゲーム関連の活動がますます盛んになっていて、国内外で医療や健康に関するゲーム、研修ゲームについて新しい活動が増えているといいます。
そういったシリアスゲームの世界的な動きを受けて、本サミットでは3日間のプログラムが用意されていました。大阪国際万博とあわせて参加しやすいよう、夜のみのプログラムで、初日から、「社会問題解決とゲーム」、「ヘルスケアとゲーム」、そして「研修とゲーム」と毎夜テーマが設定されていて、おしゃべり病理医は、「ヘルスケアとゲーム」分野のトークセッションにお呼ばれしたのでした。
◆怪しげなホテルで学会?
学会と言えば、国際会議場や大きなホテルでの開催のイメージしかなかったおしゃべり病理医。サミットへの登壇のお話をいただいた際、「『アンテルーム京都』というホテルってどこ?」となり、もしかして、アヤシイホテル(〇ブホ)だったらどうしよう…と心配していましたが、会場に到着するとそういった不安は杞憂(というか失礼)でした!
九条駅からほど近い、閑静な住宅街の中に、都会的な佇まいの建物が見えてきました。こちらがシリアスゲームサミットの会場、「アンテルーム京都」です。
エントランスには、控えめな感じで「京都シリアスゲームサミット」の看板が。
ロビーには、現代的なオブジェが! また、他にもゲームセンターに置いてあるような大きなゲームやガチャガチャが設置されていたり、様々なアーティストの作品が販売されていたり、まるで美術館に訪れたかのよう。奥には居心地の良さそうなバーやダイニングが見えます。
ホテルの方に伺うと、サミットの会場はダイニングだとか。飲み物を頼みながら会に参加できると伺い、とてもアットホームな雰囲気だなとわくわく。
荷物を置いたらさっそく会場へ。スーツケースに入るだけ、MEdit Labのパンフレットやポスターやゲームを持ってきたので、それをテーブルに設置した後は、主催の佐藤翔さんから、メディア系、工学系、芸術系の全国の様々な大学の先生方やゲーム会社の方々など、医学系の学会では絶対に出会わない専門家の方々を紹介いただきました。
◆元プロゲーマーの医大生、中澤ゆささんとのトークセッション
いよいよ会がスタート。最初は、基調講演として、シリアスゲームの研究者である シン・ジュヒョン先生が世界のヘルスケアゲームの動向についてお話してくださいました。
ゲーミフィケーションをはじめ、シリアスゲーム関連の言葉の移り変わりを含め、世の中でどんなヘルスケアゲームが開発され、どういった効果があるのか様々な事例を紹介いただきました。
そして、介護施設でのゲーム活用の実例などのトークセッション後、いよいよ「医師・医学生から見たゲーム」のトークセッションへ。
今回の私のトークセッションの相方は、中澤ゆささんという奈良県立医大の6年生。元プロゲーマーという異色の経歴を持つ医大生で、現在は、ゲーム依存症で悩む方とそのご家族のサポートを行っていたり、社団法人Dr. Gamesのメンバーとして活動しています。ゲーマーとして、ゲームと医療を楽しく組み合わせていきたいのだとか。“e-sports ドクター”も面白そうとおっしゃっていて、なるほどなぁと思いました。ふうつのスポーツドクターとは異なる、それこそゲーム依存症であるとか、ゲームを練習しすぎなところからくる腱鞘炎だとか視力の問題とか、色々考えなくてはならないことが通常のスポーツとは異なりそうです。
実は、中澤さんと私は初対面で、ほとんど事前打ち合わせもないままに、トークセッションをすることになりましたが、フロアからもたくさん質問をいただき、楽しい時間になりました。
◆ゴールよりプロセスを!
おそらく会場の中でいちばんゲーム業界の新参者で、ゲームに対して素人に近いことを自認していたおしゃべり病理医ですが、ひとつ、再認識したことがありました。
それは、多くの方々が「優れたシリアスゲームを作る」ということを目的に活動されていること。どうやって社会にそのゲームを広め、受け入れてもらえるか、そして、ビジネスとして発展させられるか。そういった課題意識を強くお持ちの方が多く参加されていました。
MEdit Labは、活動を継続していくための予算をどう確保していくかという観点においては、同じ課題意識をもつ一方で、優れたシリアスゲームを作ることそれだけにゴールを設定していません。
MEdit Labは、編集工学のメソッドを使い、ゲーム作りを通して学び方を学ぶ場を多くの若い方に提供することを最も大事な活動として考えています。ゴールよりもプロセス。ゲーム作りのプロセスことに価値を見出しています。優れたゲームが誕生するとしたら、それはプロセスを重視した結果の産物だと思っています。
そういったゲームづくりカリキュラムの活動は、シリアスゲームの現場では、稀有なことを再認識しました。もちろん、デジタルハリウッド大学教授でレジェンド、ゲーム作家の米光一成さんのように、大学や様々な場で、ゲーム作りを教えておられる方もいますが、医学に特化したシリアスゲームをみんなで半年間かけて作っていく、というカリキュラムは世界を見渡してもかなり稀有なことのよう。
今回のシリアスゲームサミットに参加して、おしゃべり病理医の私がお呼ばれした理由が腑に落ち、かつ、とても勇気づけられたのでした。
セッションの合間の休憩時間や終了後は、参加者同士で楽しく交流。中澤ゆささんとはもう少しゆっくりお話がしたかったなぁ~。
最後に記念写真をパチリ。中澤さんは、今は、就職活動中(医学生の就職活動は非常に独特なのでした。気になる方はこちら)。また、ご一緒できることを楽しみにしています!
◆バックナンバーはこちら
投稿者プロフィール

- 趣味は読み書き全般、特技はノートづくりと図解。一応、元バレリーナでおしゃべり(おえかき)病理医。モットーはちゃっかり・ついで・おせっかい。エンジニアの夫、医大生の息子、高校生の娘、超天然の母(じゅんちゃん)、そしてまるちゃん(三歳♂・ビション・フリーゼ)の5人+1匹暮らし。
最新の投稿
- 2025.08.25レッツMEditQおしゃべり病理医、ゲーム業界デビュー?!「京都シリアスゲームサミット」レポ
- 2025.08.18医学に効くほん!論理は飛躍してナンボ!『人生の大問題と正しく向き合うための認知心理学』
- 2025.08.14お知らせなんと女子高生が男子校で授業!「本郷高校/湘南白百合学園」合同MEdit授業開催
- 2025.08.07医学に効くほん!読むだけでグングン頭が良くなるらしい「下ネタ大全」