今年度、大学受験される方はそろそろ出願校が決まる頃でしょうか。MEdit授業で高校生にお会いすると、志望校の選択に悩む声を聞きますし、私自身高校生の時には全国で100近くある医学部の違いがわかりませんでした。そこで、今回は私たちの所属する順天堂大学のいいところを卒業生&教員の目線でお届けしたいと思います。
★全国2位の医師国家試験合格率
医師国家試験に関してお話したコラムで、医師国家試験の出題範囲は細かく公開されているというお話をしました。実は合格発表も単に合格者の番号だけが発表されるわけではなく、新卒・既卒別の合格率のほか、大学別の合格率まで厚生労働省から公開されています。
今年の春に行われた2025年、第119回医師国家試験の結果をみてみましょう。全体の合格率が92.3%という中で、順天堂大学の合格率は97.9%と全国5位の結果でした。この合格率の高さは今年に限った話ではなく、2023年は、100%の合格率を達成しており、過去10年間・過去20年間の平均をみても全国2位の合格率を誇ります!これは決して偶然ではなく、大学による工夫がたくさんあるのです。
★6年生だけの勉強部屋?
みなさんはどこで勉強するのが好きですか?おうちでも自分の部屋派と、リビング派がいるといると思います。学校や予備校の自習室を利用している人もいれば、この頃はカフェなど少しざわざわした音がある環境がよいというお話もありますね。私はひとりっきりの空間が好きではなく、家でもリビング近くに専用ローテーブルを置いて、座布団に座って勉強するのが一番はかどりました。
順天堂大学には医学部6年生専用の自習室「勉強部屋」があります。そのままのネーミングですが、おしゃべり病理医や私しんしんも利用し、今も続く伝統ある制度です!
勉強部屋には1年間自分専用の机が設置されます。医師国家試験は出題範囲が広いので、教科書も問題集も膨大で、持ち歩くにはあまりに重いので、「置き勉」ができることはとてもありがたかったです。もちろん電源やインターネット環境も整っていますので、パソコンやタブレットを使っての学習にも困りません。
★十部屋十色の勉強部屋
自習室は高校や予備校にもあると思いますが、しーーーーーんとした中で、カリカリカリと鉛筆の音だけがひびく雰囲気は緊張感があって、私は少し苦手でした。しかし、順天堂大学の勉強部屋はそこが一味違います!
個人専用机が10個ほどはいる部屋が10部屋ほど用意されており、学生同士で相談して部屋割りを決めます。部活が同じ人が多い部屋、趣味が似ている人が多い部屋、女性だけor男性だけと別学のような部屋、授業をいつも一番前で聞いている人たちが多い部屋など…どんなメンバーが集まっているかは部屋によって違います。そのため、部屋の雰囲気も部屋によって大きく違います。部室のようにスポーツ道具が多い部屋、お菓子やジュースがたくさん買い置きされた部屋、可愛い小物などで癒されるお部屋、アニメやアイドルのポスターが飾られたお部屋も!勉強中の雰囲気もそれぞれで、雑談でガヤガヤする部屋もあれば、図書館のように静まり返った部屋もあります。
国家試験勉強期間が楽しく、そして充実したものとなる環境を自分たちで作ることができるのが、順天堂の勉強部屋の特徴です!
★みんなで医師になる!
私は勉強部屋の一番の効果は、「チーム感」だと思います。もちろん学年全員で卒業・国試合格が目標ですが、一年間ともに過ごした勉強部屋メンバーにはより愛着が湧きます。
勉強している中でわからないことがあるときに質問しあったり、国家試験準備で部活の先輩から聞いたアドバイスを共有したりして、互いに支え合う雰囲気があります。時にはテスト前でナーバスになっている、テストの結果で落ち込んでいるなど、一緒に過ごしているからこそ変化に気づくこともあります。そんな時には他のメンバーと相談して、声をかけたり、ランチに誘ったりしていました。自分が!ではなく、みんなで!という思いが、厳しい卒業試験・国家試験を乗り越えるパワーになっていると思います。
ちなみに、私は「よく昼ごはんを一緒に食べている人たち」の部屋でした(笑)。今回コラムを書きながら当時のLINEのやりとりを見返すと、過去問に関するディスカッションや試験が終わったあとの喜びあう様子が残っていて懐かしくなりました。
実は座布団に座って勉強するのが好きな私は、勉強部屋にコツコツと通うタイプではなかったのですが、そんな私でも勉強部屋に支えてもらいました。だからこそ、個人専用机という物理的な環境ではなく、「勉強部屋」というシステムが順天堂の合格率を支える秘訣のひとつなのかなと思います。
【おしゃべり病理医オマケ】
オマケ1)医師23年目のおしゃべり病理医が医学生の時も存在していた勉強部屋。当時は、ふる~い建物にある、きたな~い小部屋が勉強部屋として提供されていました。おしゃべり病理医の部屋はその中でもいちばん大きい部屋で10名の女子が所属。別にリーダーをしていたわけではないのに、いつからか同期の男子たちから“おぐ部屋”と名づけられるようになり、可憐な女子たちからなる部屋なのに、相撲部屋っぽい響きなのが不満でした(笑)
オマケ2)現在の勉強部屋は、センチュリータワーという洗練された建物にあり、昔よりずっと清潔でおしゃれな環境になっています。医学部面接試験で行われる建物と同じ場所です。洗練された建物に暖簾がかかっていたりと、生活感溢れる勉強部屋の風情は一見の価値ありですが、ぜひ入学してからのお楽しみに!
■参考URL
第119回医師国家試験の合格発表について|厚生労働省
医学部|順天堂大学
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