MEdit Labの連載コラム「医学に効くほん!」では、これまで、おしゃべり病理医の独断と偏見で、半ば強引に「これも医学に効くよ~」と、様々な本を紹介してまいりました。
しかし、医学とその実践である医療を考えるうえで、サービスを受けるのは患者さんであり、圧倒的に医療従事者ではない一般の方々です。ならば、たまには、非医療従事者のみなさまにこそ、「医学に効くほん!」を聞いた方がいいのではないか、そう思って企画したのがこちらです。
お医者さんに読ませたい3冊
「MEdit Lab×多読ジム」コラボ
です!
多読ジムは、イシス編集学校の読書講座で、様々な職種、年齢の方々が集まって、シーズンごとにテーマを決めたりしながら読書を楽しんでいます。ちなみに、おしゃべり病理医は、イシス編集学校で編集コーチをしており、多読ジムの講座の開発も少しだけお手伝いさせていただいたり、実際にジムで読書稽古に勤しんだりしてきました。
「多読」というのは、松岡正剛さんの著書『多読術』からとったネーミング。
松岡正剛『多読術』ちくまプリマー新書
みんな読書を真面目にとらえすぎる。もっと洋服のコーディネートや食事の献立のように、本だって、読み方を好きにアレンジして良い。色々組み合わせて読んでいい。その場に応じて、いろんな本をつまみ読みしても、何度も何度もリピート読みしてもいいし、あとがきから読んでもいい。松岡さんはそう言います。
たしかに多様な読書の方法、すなわち「多読術」を身につければ、情報編集能力もつくでしょうし、楽しく日々を生活できるでしょう。
多読ジムは、まさに“ジム”ですから、速読できる瞬発力を司る筋肉や読書の軸を定めて持久力を担うインナー読書マッスルなど、様々な読書筋を鍛えていく場なのです。
そんな多読ジムの中の、ユニークなワークのひとつに「三冊筋プレス」があります。あるテーマを設定して、3冊の本を「重ねて」読むトレーニングです。読書のベンチプレスバージョンです(笑)。
実は、本は3冊セットで読んだ方が面白いんです。
1冊の本の特色がほかの2冊によって引き出されることがありますし、重ねて読むことでそれぞれの本の似たところや異なる主張を比較しながら読める。どんな3冊をセットにするかによって、同じ本でも読み方が変わってくるのです。
今回のコラボ企画も、「お医者さんに読ませたい」というテーマで3冊を選んでもらい、そのリコメンド文を書いていただく内容にしました。
そして、お寄せいただいたのがこちらの9名の方々の3冊セットです!それぞれの三冊セットにリコメンド文を書いていただきましたが、今回は、そのタイトルと三冊の書名をみなさんが撮られた写真つきでご紹介していきましょう!
中原洋子さん(ジャズ・シンガー)
∈『ライオンのおやつ』小川糸/ポプラ文庫
∈『癒す心、治る力』アンドルー・ワイル/角川文庫
∈『科学者の夜想』ルイス・トマス/地人書館
松井路代さん(編集かあさん/NPO法人)
∈『記憶する体』伊藤亜紗/春秋社
∈『急に具合が悪くなる』宮野真生子・磯野真穂 著/晶文社
∈『自閉症という知性』池上英子/NHK出版新書
中谷千恵さん(事務職)
∈『ライオンのおやつ』/小川糸/ポプラ社
∈『一汁一菜』/土井善治/グラフィック社
∈『がんで余命ゼロと言われた私の死なない食事』/フレンチシェフ 神尾哲男/幻冬社
福澤美穂子さん(会社員)
∈『エンド・オブ・ライフ』佐々涼子/集英社インターナショナル
∈『ケーキの切れない非行少年たち』宮口幸治/新潮新書
∈『三体III 死神永生』劉慈欣/早川書房
畑本ヒロノブさん(エンジニア)
∈『男性復活』堀江重郎/春秋社
∈『凍った地球』田近英一/新潮社
∈『セックスロボットと人造肉』ジェニー・クリーマン/双葉社
畑勝之さん(NY州弁護士)
∈『寄生獣』岩明均(講談社)
∈『オメガトライブ』玉井雪雄(小学館)
∈『リアル』井上雄彦(集英社)
佐藤裕子さん(立正佼成会職員)
∈『おしゃべり病理医のカラダと病気の図鑑』小倉加奈子/CCCメディアハウス
∈『セロ弾きのゴーシュ』宮沢賢治/角川文庫
∈『山家集』西行 宇津木言行 校注/角川ソフィア文庫
北條玲子さん(公益財団法人職員)
∈『ハンセン病を生きて きみたちに伝えたいこと』伊波敏男/岩波ジュニア新書
∈『フラジャイル』松岡正剛/ちくま学芸文庫
∈『明石海人歌集』明石海人/岩波文庫
大音美弥子さん(エディター/ライター/バスモニター)
∈『予期せぬ瞬間』アトゥール・ガワンデ/みすず書房
∈『パンセ』ブレーズ・パスカル/中央公論社
∈『科学と科学者のはなし』寺田寅彦/岩波書房
いかがでしたか。会社員からNY州弁護士、編集かあさんからバスモニターまで、様々な肩書の方がおられるでしょう? イシス編集学校は本当に、いろんな方に出会えるエキサイティングな場所です。
あなたのお気に入りの三冊セット、見つかりましたか。それぞれのリコメンド文(「遊刊エディスト」で絶賛公開中)は、各タイトルや写真をクリックすると読むことができますよ!
今後、この中からいくつかの3冊セットを「医学に効くほん!」の連載コラムの中で詳しくご紹介していきたいと思います。次回は、久しぶりに言語聴覚士の竹岩直子先生、登場です!
投稿者プロフィール
- 趣味は読み書き全般、特技はノートづくりと図解。一応、元バレリーナでおしゃべり(おえかき)病理医。モットーはちゃっかり・ついで・おせっかい。エンジニアの夫、医大生の息子、高校生の娘、超天然の母(じゅんちゃん)、そしてまるちゃん(三歳♂・ビション・フリーゼ)の5人+1匹暮らし。
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