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2024.06.20
2024.06.20
今年度初のMEdit授業は桜蔭学園で!【MEdit授業レポート2024】
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桜蔭学園は、水道橋駅のほど近く、かなり勾配のきつい「桜蔭坂」の頂上にあります。レトロな本館の横には昨年完成したばかりの東館・特別教育棟。新旧の校舎が自然にブレンドされていて、とても素敵な佇まいの学校です。

MEdit Labは、昨年度より順天堂大学と高大連携協定を結んだ高校向けのMEdit授業を行ってきましたが、今年度は、毎回、私たちが各学校にお邪魔して出前授業を行うことにしました。ホームでの開催の方が生徒さんたちがリラックスして授業に臨めるからです。さらにスケジュールの許すかぎり、MEdit学生部の医学生にも協力してもらうことに。

今回は、今年度初めてのMEdit出前授業。医学部2年生の六笠ちゃんとまゆちゃんとのランチミーティング後、息を切らしながら坂を登って、桜蔭学園へ。たまたま保護者会が行われており、一瞬、保護者の方々の列にまぎれそうになりながら、授業を開催する東館・特別教育棟にある理科室へご案内いただきました。

出来立てほやほやの校舎「東館・特別教育棟」の前でパシャリ♪

◆ひとを病気にする専門医「病理医」

MEdit授業に集まってくれたのは、中3~高3まで30名ほどの生徒さん。みんな元気いっぱい。まずはおしゃべり病理医のミニレクチャーに耳を傾けてくれました。

「病気になるってどういうこと?」

「いったい人はいつの時点で病気になるの?」

病理医の仕事についての説明の前にいくつか質問をしてみましたが、うなずいたり、首を傾げたり、メモを取ってくれたり、みんな真剣に考えてくれている様子。30名対1名の講義スタイルで始まった授業ですが、距離感も近く、時折、自分の意見を率先して話してくれる生徒さんもいて、とてもいきいきとした雰囲気が教室に広がります。病理医になりたいと思っている高校3年生が参加してくれていることも判明し、おしゃべり病理医もしんしんもテンションが上がります。

◆病理診断体感ゲーム「banaoma (バナオーマ)」お披露目!

いよいよここから、今年度初めてMEdit授業で試みる病理診断体感ゲーム「banaoma (バナオーマ)」のお披露目です! ゲーム制作者のしんしんがルールについて説明をしていきます。

このバナオーマは、自分のバナナの熟し具合を言葉で説明し、みんなで協力しながら、熟し具合の順番で並べるという協力型のゲームです。単に並べるだけではなく、事前にみんなでバナナを「まだ熟していない=banon(バノン)」「食べ頃=(バナナ)」「熟しすぎて食べられない(バナオーマ)」の3段階に分ける基準を話し合い、順番で並べた時にその境界も定めていきます。

banaoma(バナオーマ)のカード。バナナの成熟段階一覧表があり、最初にポストイットで境界を決めるルール

ちなみにこの「banaoma(バナオーマ)」の接尾辞 「-oma」は、「~腫」という腫瘍を意味しており、熟し過ぎて食べられなくなってしまったバナナを放置していた腫瘍に喩えて、banaoma(バナオーマ)と名づけてみたのでした。

ルールをすぐさま理解して、ゲームに没頭する生徒さんたち。5グループに分かれてプレイしましたが、ものすごい盛り上がりです。

まずは自分のカードを必死で説明しつつ、お互いのバナナの熟し具合を推論する生徒さん。話し合いに熱が入ります

「私のは完全に、バナオーマ!」

「え~、微妙だなぁ、どうしよう」

色々な声があがります。微妙な熟し加減のバナナを引いてしまった場合は、お互いに細部の特徴を詳細に説明しあいながら、どちらのバナナが熟しているか慎重に考察していきます。

答え合わせの様子。うわ~!と歓声が!

2回目のトライアルに向けて、微妙な熟し具合のカードをどう表現するか緻密に話し合うチーム

2回のトライアルの中で、どんどん説明がうまくなり、バナナの熟し具合判定のエキスパートに成長していく生徒さん。

まさに、このプロセスこそが病理診断なのです!

ここで再度、おしゃべり病理医登場。大腸のポリープで説明していきます。ひとたび正常な粘膜から発生した大腸のポリープも、放置しておくと、だんだんと遺伝子異常を蓄積していき、癌になってしまいます。

正常大腸粘膜→良性ポリープ→癌の3段階の病理組織写真を見せながら、病理診断の実際を説明するおしゃべり病理医

時折、癌にするか、その手前の良性のポリープとするべきか悩む症例も少なくなく、これはまさに微妙な熟し加減のバナナを判断するときのプロセスと同じです。

バナオーマで遊んだ理由を理解した生徒さん。次は、本物のバナナを配られ、STEAM教材のワーク「バナナの病理診断」に挑戦です! 本物のバナナを詳細に観察しながら、バナナの熟し具合3段階を誰でも毎回同じように分けることができる診断基準を考えるというワークです。

学校の先生が用意してくださった「高級」バナナ

これにはなかなか苦戦する生徒さんでしたが、実際のバナナを観察すると、見た目だけではなく触り心地や香りも気になってきます。五感をフル活用して、診断基準を話し合います。

誰でもぶれずに診断できる基準をつくるために数値などを活用したらどうだろう? しんしんが少しだけアドバイス

さて、その結果はいかに? これは今後の授業のことも考えてナイショにしておきましょう。

◆最後は、座談会!

最後は、座談会と称して、医学生やドクターへの質問タイムを設けました。特に高校生の生徒さんは、やはり受験生としての悩みが尽きない様子。受験勉強の方法やメンタルの保ち方などの質問がたくさん寄せられました。

「数学が苦手ですがどうしたらいいでしょう?」

「英語の勉強法について教えてください」

「模試で思うような点が出ていなくて精神的に追い詰められています」

医学生のふたりも私たちドクターも色々な側面からアドバイスをしてみました。生徒さんを勇気づけることができたでしょうか。

MEdit Labや今度のワークショップについてもご紹介してお開きに。「すっごく楽しかったです!」と笑顔で挨拶してくれた生徒さんたちを見送って、私たちも足取り軽く、学校を後にしました。

「banaoma(バナオーマ)」を活用した授業に手ごたえを感じたしんしんとおしゃべり病理医。7月にはある男子校にお邪魔したいと思います!

桜蔭学園のみなさん、ありがとうございました!