医学部を目指すみなさんには、気になることがいっぱいあると思います。
「この勉強法でいいのかな」「お医者さんになりたいけど、血を見るのが苦手……」「ドクターに必要な力ってなんなんだろう」
MEdit Labが7月20日に開催するイベントでは、プログラム終了後に現役ドクターや医学生と交流できます! あれこれ気になる質問を直接相談できる貴重なチャンス。医療系に興味がある方はぜひイベントへお越しください。
■順天堂ドクターに聞いてみた!
今回の記事では、昨年度のワークショップ参加者から出てきた質問を、順天堂大学病院の現役ドクターに聞いてみました。
Q1:医師にもっとも必要は資質は?
Q2:医学部を目指しているけれど、血を見るのが苦手……
Q3:お医者さんの仕事、どんなときにテンションが上がりますか?
ぜひ参考にしてみてください。
回答ドクターは、こちらの5名。
◯小倉加奈子先生:MEdit Lab主宰のおしゃべり病理医。趣味は読み書き。
◯長尾雅史先生:整形外科専門医。スポーツドクターとしても活躍、サッカーなでしこジャパンなど、サッカー関連のチームドクターを務める。おしゃべり病理医と同期。
◯小松孝行先生:救急科専門医・集中治療専門医・総合内科専門医。スポーツドクターとしても活動し、FIBAバスケットボールワールドカップ2023では組織委員会のメディカルオフィサーを務めた。
◯髙澤祐治先生:整形外科専門医。スポーツドクターとしても活躍、ラグビー日本代表チームに帯同した経験も。
◯發知詩織先生:MEdit Labの大黒柱。小倉先生とともに働く病理医。2児の子育て真っ最中。
Q1:医師に最も必要な資質は何だと思いますか。「医師になるまでにこれだけはしておけ!」ということがあったら教えてください。
小倉:「敬意と好奇心」です。他者や自分の置かれた環境に対する敬意(とか礼節)があって、あとは好奇心があれば医師に限らずどんな仕事においてもちゃんとやっていけると思います。「医師になるまでにこれだけはしておけ!」ということは特にありません。
もしも、「これだけはしておけ」と強く言う先生がいたら、あまり信用しない方がいいです(視野が狭そうな先生だと思います(笑))。どんな経験も何かとつながるものですから、思う存分いろんなことに夢中になって取り組めばいいのではないかと思います。
長尾:やはりコミュニケーションできるかどうかが大切かなと思っています。「判断する」「相手を尊重する」という能力も大切ですね。判断・コミュニケーション・尊重するなどを学べるのはやはり「スポーツ」。特に団体スポーツは、いい経験になります。
髙澤:医師に最も必要な資質は、私もコミュニケーション能力だと思います。やっておくことは……。医者になる前にもなった後も、とにかく「今」を大事にしてください。今を大事にできない人は将来も大事にできないので。
發知:医師だけでなく、一人暮らしをしたり働き出すと物理的な時間は減る傾向にあります。「やりたいこと」は、将来にできるだけ先送りせず、今やることをオススメします!
Q2:医学部を目指したいと思っているのですが、血液や手足が壊死している様子などを見るのが少し苦手です。そういう人でも医者になれるのか不安で教えていただきたいです。
小倉:毎年入学してくる医学生の中には一定数、血液や内臓を見るのが苦手という方はいますが、大部分は、2年生の解剖学の実習(ご遺体から血は出ませんが、お身体にメスを入れるということにはだいぶ慣れるかと思います)と4年生後半からはじまる長い期間におよぶ病院実習で手術を見学したり検査に立ち会ったりすることによって慣れていく方が多いので過剰に心配しなくて大丈夫です。
それでも大量の血液を見たりすると失神しちゃう…みたいな研修医が稀にいたりして、そういう方は精神科やリハビリテーション科など血をあまりみなくてもすむ専門に進んでいました。ですので、案ずるより産むが易しといいますか、あまりそればかりを心配しなくておおらかになんとかなるなって思っていれば案外なんとかなります。
發知:医学部1年生の授業にでてきた創部の写真で体調が悪くなり悩んでいた友人がいましたが、学年が上がるにつれ慣れて、臨床実習などは問題なく過ごしていました。医師も色々な働き方があるので、自分に合う形が探せるかなと思います。
Q3:ご自身のお仕事のなかで、やっていてテンションがあがるのはどんなときですか。
小倉:臨床の先生がお困りの症例に対して、ばちっと病理診断できた時は、「私って天才?」って思うくらいテンションがあがります(笑)。やってて良かったなぁと思います。それから、理解できていなかった身体のしくみや病気のメカニズムについて、何かの資料などをもとに理解できた時は、爽快です。基本、これまで経験しなかったこと、わからないことに出会うとわくわくします。
小松:病態の理解だけでなく、人間の言動・感情の背景には必ず、「理由」があります。ですから、なんだかわからないことであっても、理詰めで解決できることがあります。そういう時にはテンション上がります。
長尾:私は手術や治療でそれほどテンションが上がることはありませんが、AIやプログラミングの勉強や研究などではテンションが上がりますね!(しかし私はマニアックなので、一般的な医師の意見ではないと思います)
高澤:仕事中にテンションが上がったり下がったりすることは無いです(無いようにしています)。ただ、治療を終えた選手が競技復帰して活躍するのを見る時はテンションあがります。また趣味で魚釣りをするのですが、本命の魚が針にかかった時、めちゃくちゃテンションがあがります。
發知:顕微鏡でみているものがなにか、わかった時です。患者さんも担当医も「何がおきているかわからずに困っている」という状況で病理診断が依頼される時、または顕微鏡でみても判断に悩む時があります。悩んでいるときは苦しいですが、本や論文と突き合わせたり、他の医師とディスカッションをして、「わからなかったことがわかる」という瞬間が楽しいですね。
ちょっと話を聞くだけで、お医者さんのお仕事をグッと解像度高く見えてきますよね。さらに詳しいことが気になったら、ぜひ7月20日のイベントへお越しください。
投稿者プロフィール
- 聞き上手、見立て上手、そして何より書き上手。艶があるのにキレがある文体編集力と対話力で、多くのプロジェクトで人気なライター。おしゃべり病理医に負けない“おせっかい”気質で、MEdit記者兼編集コーチに就任。あんこやりんご、窯焼きピザがあれば頑張れる。家族は、猫のふみさんとふたりの外科医。