文系ウメ子ちゃんねる
文系ウメ子ちゃんねる COLUMN
2024.09.26
2024.09.26
医学ゲームづくりWEBワークってどんな感じ?実際のお題・回答・コメントをご紹介
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7月末に始まったワークショップ「医学をみんなでゲームする」が、ずんずん進んでいます! 今年度のカリキュラムは、「12のお題」に回答することで、誰でも医学にまつわるゲームがつくれちゃうという仕立てです。はやくもQ.7が出題され、折り返し地点に来ました。

回答を重ねた参加者さんからは、こんな声が届いています。 

・「とてもゲームっぽくなってきて、今までにまして回答が楽しくなってきました」(ヘドウィグさん)

・「本格的にゲームについて考えることができて面白いです」(わかめさん)

「勉強も、一種のゲームだと思った。苦手を克服したり、一問でも多くの問題が解けるようになることに対して、今までよりも自分から楽しめそうだなと思い、嬉しかった」(100%さん)

以前の記事では、お題に秘められた裏テーマをお伝えしましたが、今回は「実際、どのようにワークショップが進んでいるのか」をご紹介いたしましょう。

■WEBワークは、1題ずつ届きます

参加者のみなさんは、7月から12月までに「12のお題」に取り組みます。といっても、ワークショップが始まったタイミングでWEBワークのお題をすべてを、お渡しするわけではありません。

ワークショップ期間中、1題ずつ、5〜7日おきにメールでお題が届きます。次にどんなお題が来るのかわからないという状態で、1題ずつ回答するスタイル。まるで迷宮にでも入ってしまったかのように、参加者さんにとっては、お題の全貌が見えない状態で進むのが特徴です。

▲お題一覧はこちら。どのお題が気になりますか?

■回答には、現役ドクターがコメントします

回答が届くと、みなさんに対して、MEdit Lab主宰小倉加奈子先生がコメントをお送りします。そのコメントは、1題につきなんと約5000字! ときには8000字近くの丁寧な指南が届きます。一定のボリュームの文章を論理的に読める力というのは、誰にとっても必要なスキル。お題に回答し、それに対する指南を読むだけでも、リテラシーがアップします。

■たとえばこんなお題が

では、実際にどんなお題に取り組んでいるのか、すこしだけご紹介しましょう。

Q3.【ワケルワカル、ワカルカワル?「リサーチQ」ワーク】では、Q2で学んだ《地と図》という考え方をもとに、問いを立てることに挑戦してもらいました。

医学にかんするゲームを作るにしろ、学校の自由研究をするにしろ、大人が会社で商品企画をするにしろ、テーマ選びとリサーチが大事です。でも、じつは「テーマ」だけを選んでも、リサーチは進まないんです。

よくある落とし穴は、「私は睡眠をテーマにする!」と、単語レベルでテーマを捉えること。これだけだと、睡眠について何をどう調べていいのか、切り口がわからないまま袋小路に陥ります。そこで力を発揮するのが、「問い」なんです。

■がん、運動、薬……こんな回答がありました!

実際に、ワークショップ参加の中高生のみなさんはどんな回答をしたかというと、たとえばこんなかんじ。

ゲームにしたい医学テーマ「がん」

●【人体にとって】細胞はどんなプロセスで体の細胞を攻撃し、内部へ侵入していくのか(たくとさん)
●【がん患者を友人にもつ人として】がん患者へのよい接し方とはどのようなものか(おみさん)

いかがですか。一口に「がん」と言っても、身体のメカニズムを扱うのか、がんを患った人との付き合い方を考えるか、ではまったく違いますよね。自分が何を知りたいのかは、具体的な「問い」にすることで見えてくるんです。(そして、他の人の回答と見比べることによって、自分の考えが一気に深まります)

ほかにも、こんな回答がありました。

ゲームにしたい医学テーマ「運動」

●【スポーツ選手にとって】自分のパフォーマンスを最大限にするには、休養と練習量のバランスはどのくらいにすれば良い? (ズッキーニさん)
●【中学生にとって】部活で良い結果を得るにはどんな運動やトレーニングが必要なのか(医学大好きさん)
●【大人にとって】肥満防止予防のための運動はどのようなものなんだろう?
【猫にとって】獲物を取りやすくするにはどうやったら俊敏になれるだろうか?(りーさん)

ゲームにしたい医学「薬・予防接種」

●【人体にとって】「錠剤の薬を服用した後どのように体の中で薬が作用されていくのだろうか?」(Rinkaさん)
●【菌やウイルスにとって】抗菌薬などから生きのびる方法はないのか」(りるさん)
●【子どもにとって】どうして苦い薬があるのだろう?(はーちゃんさん)
●【医者にとって】どうやったら患者に上手に注射(予防接種)を打てるだろうか?(けいちゃんさん)

どうです? じつに、見事ですよね。「運動」や「薬・予防接種」というテーマであっても、どんな立場から見るかによってまったく様相が異なるわけです。

見方を変えて、問いを立てる。参加者さんたちは、その面白さと意味についてしっかりと体得くださった様子です。

・「主語が違うことで、見方が違ってくるのが面白いです」(けいちゃんさん)
いろんな立場に立って物事を考えることは難しかったが、視野が広がり、テーマについてより深く考えることができた」(はるさん)

小倉先生は、「これからの時代に求められるのは、与えられた問いに効率よく答える能力よりも、ユニークな問いを自ら設定して、問いを解決していく主体的な学びの力」だといいます。
MEdit Labワークショップでは、医学にまつわるゲームをつくるという目標に向かいながら「学ぶ力」の筋トレ真っ最中です。

投稿者プロフィール

梅澤奈央
梅澤奈央
聞き上手、見立て上手、そして何より書き上手。艶があるのにキレがある文体編集力と対話力で、多くのプロジェクトで人気なライター。おしゃべり病理医に負けない“おせっかい”気質で、MEdit記者兼編集コーチに就任。あんこやりんご、窯焼きピザがあれば頑張れる。家族は、猫のふみさんとふたりの外科医。