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レッツMEditQ COLUMN
2025.01.30
2025.01.30
順天堂と医学の歴史で遊ぶ「謎解きワーク」はいかが?
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昨年末のクロージングイベントで幕を閉じた「医学をみんなでゲームする2」。自作の医学ゲームのエントリー作品は、どれも遊びながら医学を堪能できる魅力的なものばかりでした。

参加者のみなさんのがんばりに負けじと私たちMEdit Labチームも、医学にまつわるボードゲームの開発やMEdit授業の開催、そして、順天堂大学のブランディング事業など、様々な“ゲームっぽいプロジェクト”を数多く進めています。

◆日本最古の医学教育の歴史を持つ「順天堂」

実は、順天堂大学のルーツは、日本最古の西洋(オランダ)医学塾「和田塾」にあります。日本最古!というところが、順天堂人のひそかな誇りでして、もっと(小声で)言ってしまうと、東京大学医学部前身の大学東校の初代校長が、順天堂の二代当主、佐藤尚中(さとう・たかなか)先生だった、ということも実は鼻高々だったりします。

そんな日本最古の医学教育の歴史を誇る順天堂は、現在においても、各学年の留年率の低さや医師国家試験の合格率の平均が過去10年以上にわたり、2位(一昨年の合格率は100%であった)に輝いているなど、医学教育に定評があります。かくいうおしゃべり病理医も順天堂卒ですが、医学生の頃から、様々な教授陣にたくさんお世話になり、今になってもお世話になりっぱなしです。同期も含め素敵なドクターがたくさんいる順天堂は、屋根瓦方式のきめ細やかな指導体制が整っていると思いますし、何よりとってもフレンドリーなスタッフが多くて、居心地の良い職場でもあります。

順天堂大学の本丸、本郷・お茶の水キャンパスには、順天堂の歴史を含め、日本の医学教育のこれまでのルーツがわかる博物館「日本医学教育歴史館」があります。順天堂の創立175周年記念事業として設立した歴史館で、順天堂にある医史学教室の名誉教授で日本医史学会理事長の酒井シヅ先生をリーダーとしたワーキンググループによって、平成14年(2014年)に完成しました。

歴史館の中には、解体新書の原本など貴重な医学教育にまつわる史料がたくさん展示されており、MEdit LabもSTEAMライブラリー動画教材を制作した際は、「医学×歴史」の授業をこの歴史館を舞台に組み立てたというご縁もあります。

設立から10年経った歴史館ですが、もっと多くの方にその存在を知ってもらいたい、医学を志す高校生や医学生たちにも日本の医学教育の歴史について興味を持ってもらいたい、そんな想いから、10年目の節目として何か魅力的な企画を考えよう! と、このたび、MEdit Labと医史学教室の澤井直先生と学芸員の若尾みきさんとともに、歴史館で活用する「謎解きワーク」を開発することとなりました。

◆日本で初?医学教育の謎解きワーク!

そんな私たちの前に、今回強力な助っ人が登場!おしゃべり病理医とイシス編集学校で一時期ともに編集工学を学んだ瀬戸義章さんが、謎解きゲームをつくるプロフェッショナルだったのです!瀬戸さんは、自治体などで災害教育を兼ねた謎解きワークなども制作してきた実績もあり、快く歴史館の謎解きワーク制作にお力を貸してくださいました。

学芸員の若尾さんや澤井先生のご協力もあり、謎解きゲームで遊びながら、1. 順天堂大学と医学の歴史を知る 2. 歴史館の展示物について知る 3. 歴史の見方について知る、の3つの「知る」をコンセプトとして掲げた「明治時代のブラック・ジャック」が完成しました!

このゲームは、医学教育歴史館の展示を見学しながらヒントを集め、謎解きを進めるのと同時に、もうひとつ、特徴があります。故・松岡正剛さんが監修し、編集工学研究所が編纂した、世界同時年表『情報の歴史21』を活用すること。

本書は、人類が誕生した7000万年前から、現代までの世界年表。特に1900年以降は、見開きが1年分となり、その年に世界中でどんなことがあったのかを一望することができます。おしゃべり病理医も、医学・バイオの歴史的事象を集める役目で編纂にかかわらせていただきました。

この謎解きワークでは、この世界年表からヒントを集めるミッションもあり、歴史の見方を自然と学ぶ機会を提供しています。

◆MEdit学生部、トライアル♪

9割方完成した時点で、MEdit学生部に体験してもらうことになりました。授業の合間を縫って集まってくれた2年生を中心とした医学生。ちょうど彼らは、解剖学実習を進めており、江戸時代や解剖の実態など、展示物を興味深く見学しながら、謎解きワークに挑戦!

難易度はそれなりに高く、展示物を確認していけば得られるヒントと、ひらめきが必要な謎解きワークならではのなぞなぞ的要素に苦戦する医学生も…。

まずは『情報の歴史』を開き、ヒントを探す医学生たち

冒頭、医史学教室の澤井直先生からガイダンスを受ける医学生。19階にある医学教育歴史館は、眺めがサイコーです!

さいごに答え合わせをしながら、学芸員の若尾ミキさんから、様々な医学教育の歴史を解説いただく医学生。医学教育歴史館の魅力がさらに実感できた!と謎解きゲームの感触も上々。瀬戸さんも企画者の私たちも胸をなでおろしましたが、瀬戸さんは、ゲームに取り組む医学生の様子を見ながら、いくつか改良案を思いついたのだそう。

来年度、順天堂大学と様々な学校との高大連携授業やその他のイベントなどで、活用していく予定です。「謎解きゲーム」ファンの方は、ぜひ機会があれば、挑戦してくださいね~♪

 

◆参考URL◆

順天堂の沿革|順天堂大学

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投稿者プロフィール

小倉 加奈子
小倉 加奈子
趣味は読み書き全般、特技はノートづくりと図解。一応、元バレリーナでおしゃべり(おえかき)病理医。モットーはちゃっかり・ついで・おせっかい。エンジニアの夫、医大生の息子、高校生の娘、超天然の母(じゅんちゃん)、そしてまるちゃん(三歳♂・ビション・フリーゼ)の5人+1匹暮らし。