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2025.01.20
2025.01.20
進化するバナオーマ「MEdit授業@吉祥女子中学・高等学校」
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「医学をみんなでゲームする2」のクロージングイベントが翌日と迫った2024年12月20日、吉祥女子中学・高等学校で、2024年最後のMEdit授業を開催しました。

テーマは今年度繰り返し、様々な学校で開催させていただいてきた「バナナの病理診断」。ボードゲーム「バナオーマ」を携え、おしゃべり病理医と病理医しんしんで、いざ、吉祥女子へ。

50人ほどの生徒さんが集まってくださいました。この日は、期末テストが終わっての束の間のほっとしたタイミングで、教養講座として別の内容の授業もあったようです。今までのMEdit授業でおそらく最多の生徒さん! MEdit授業を選んでいただいてとても嬉しいです。

今年最後のMEdit授業だからか、ボードゲーム「バナオーマ」は、大変盛り上がりました。人数の関係で、おしゃべり病理医もグループに加わり、バナオーマを生徒さんとともに堪能しました。

バナオーマは、これまで何度も記事で取り上げてきましたが、簡単にルールをお話すると、14枚の熟し具合の異なるバナナのカードをチームのみんなで協力しながら、成熟度順に並べる、というシンプルなもの。さらに、もうひとつルールがあり、青くてまだ美味しくない未熟なバナナ「バノン」、食べごろの「バナナ」、黒くなりもう食べられないバナナ「バナオーマ」の3つの段階の境界を、グループで話し合ってあらかじめ決めておき、その境界も設定したうえで、成熟度順に並べたらパーフェクト、というゲームです。

難しい点は、自分の手札となったバナナのカードは、自分しか見ることができず、その熟し具合を言葉で説明しなければならないこと。熟し具合が似たようなカードは、その差異を繊細に表現しなければ、成熟度順に正しく並べることは困難です。

実は、今回、おしゃべり病理医も初めて生徒さんと一緒のグループに仲間入りしてバナオーマをやりましたが、想像以上にプレッシャーが…。病理医のプロである私が生徒さんの足を引っ張るわけにはいかないぞ。特に、食べごろのバナナとバナオーマとのちょうど境界くらいのカードを引いてしまったときはかなりドキドキしました。

◆進化した「バナオーマ」いよいよ本物登場!

先日、吉祥女子の先生より生徒さんの感想をまとめたものをいただきました。病理診断がどういうものか、バナオーマを通してよくわかりました!という声をたくさんいただき、とても嬉しく励みになりました。

実際、先生方からは、「コミュニケーションの訓練にもなりそうで、教員研修でもやってみたいです!」というお声も。

実は、これまでも「バナオーマは販売していないんですか?買いたいのですが」というお声をちらほらいただいていたのでした。そこで、私たち、ついにバナオーマの進化に向けて始動しております!

どう進化するか。

バナオーマは、もともと大腸の病理診断を疑似体験してもらおうと考案したものです。大腸ポリープは、放っておくと、じょじょに大きくなり、癌化することがあります。正常の大腸の粘膜が、何らかの遺伝子異常の結果、「腺腫」という良性のポリープになり、さらに遺伝子異常が蓄積していくと一部が癌化し、進行がんに成長していく。グラデーションのように正常から悪いものへと変わっていく様子は、バナナが放っておくとだんだんと熟して黒くなっていくのと似ているんですね。

◆大腸の多段階発がん◆

(正常な大腸粘膜に遺伝子異常が段階的に蓄積していき、良性腫瘍から癌へと進行していくプロセス)

正常大腸粘膜

良性腫瘍(腺腫 adenoma)

悪性腫瘍(癌 carcinoma)

そこでせっかくなので、バナナの14枚のカードと対で、顕微鏡で観察した大腸の正常粘膜から、じょじょに腺腫となり、癌になるまでの14段階のカードをつくろうと思っています。腺腫のことを英語では、「adenoma(アデノ―マ)」と呼びます。「バナオーマ/アデノ―マ」という名前のボードゲームに進化して、近いうちにお披露目しようと思っています。

乞うご期待!

吉祥女子のみなさんとは、また来年度、別のボードゲームをしたがえたMEdit授業でお目にかかれたらいいなと思っています。

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