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レッツMEditQ COLUMN
2025.06.05
2025.06.05
耳かきから感染症まで「MEditカフェTAURUS2025」開催!
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緑のまぶしい季節ですね。順天堂大学本郷・お茶の水キャンパスも、外堀通り沿いの木々の緑色と7号館の白い洋館風ファサードのコントラストがとっても美しいので、みなさんにもぜひお越しいただきたいです!(7月のイベント、順天堂にお越しいただくこの機会をどうぞお見逃しなく♪)

さて、本日は先月のMEditカフェのご報告です。今回も医学生、ドクター、薬剤師、医学部図書館司書、ゲームエディターと多様なメンバーが集結!私たちの集う部屋の横の小川講堂では、外科の学会が行われ、どうしたら外科医を増やすことができるか、外科医不足の問題点について討論が行われている様子でした。「外科医不足を解消するようなボードゲームってなんか作れるかな?」とか、そんなことが頭をよぎりつつ、ゲームで遊んだり、今年度予定のある企画の話し合いなど、盛りだくさんな4時間となりました。

▲ゲームで遊ぶ前にちょっと別の企画のご相談。医学生と共同である大学内施設のパンフレットを作成します!

▲今日は、やたらとお菓子が充実

◆耳かきゲーム「iKAKi」

まず遊んだのが、MEditメンバー、北海道在住の“珍ぬ”さん作の耳かきゲーム「iKAKi」。私たちはイシス編集学校の多読アレゴリアのクラブのひとつ「MEdit Lab for ISIS」としても活動しており、遠方にお住まいでもMEdit Labチームに参加することが可能なんです!珍ぬさんはそんなおひとり。今回、ウェブ上で、とてもユニークなゲームをつくってくださったので、お預かりしてMEditカフェで遊ぶことにしたのです。

「iKAKi」は、サイコロの出た目にしたがってマス目を塗りつぶしていく、というシンプルなゲームなのですが、40個のマス目が耳の穴の形のように並んでおり、その中に4つの「鼓膜」のマス目が含まれています。なるべくたくさんのマス目を塗りつぶした人が勝ちなのですが、誤って「鼓膜」を塗りつぶすと大きく減点となるため、どこで「離脱」するかが腕の見せ所。欲張ると鼓膜を塗りつぶすリスクが増すけれど、および腰だと負けてしまう。シンプルながらギャンブル的要素もあって奥の深いゲームです。

今回参加してくださっていたゲームエディターいしがみさんによると、「マイシティ」というゲームに近いのだとか。実は、「iKAKi」を考案した珍ぬさんは、知る人ぞ知るゲーム通なのです!

せっかくなのでその場にいた8名全員で遊んでみることに。ひとりひとりに「iKAKi」シートを配ります。順番にサイコロを振っていき、そのサイコロの目にしたがってみんなで一斉にコマを塗りつぶしますが、それぞれ塗りつぶす場所が途中から異なっていき、その塗り方によって明暗が分かれるのです!

ちょっとルールが異なる2種類の「iKAKi」で遊んでみましたが、医学生のきむらくんは、ギャンブラー気質のせいか、強気の姿勢のままゲームから降りずに鼓膜のマスを何個も塗りつぶすはめになり、どちらのゲームでも合計点がマイナスに。いしがみさんに、「こんなギャンブラーに自分の身体を任せていいものか?」と医師としての素質を疑問視されていました(笑)。

▲それぞれ個々の耳をお掃除するべくマス目を埋めていくのですが、みんなより高得点を狙うべく次の一手は慎重に

▲とても美しく作られている「iKAKi」シート。珍ぬさんのセンス光ります

改良すべき点はほとんどなく、とても完成度の高いゲームでしたが、もしさらに「医学っぽさを出す」としたら、と、色々案を出し合いました。

耳カスには、かさかさとねばねばの2タイプがあり、どちらか遺伝的に決まっています。そこで、かさかさモードとねばねばモードを選んで遊べるみたいなのあるかな?という無茶ぶりを珍ぬさんにしてみようということになりました。

塗りつぶしの方法が両モードで違うとか、耳カスも実際には、耳の穴の中でたくさんくっついている部分とそうでない部分があるため、溜まっている部分をピンポイントで最短で塗りつぶすスピードルールなど、他にも色々やってみたいという贅沢な要望が出ました。

◆耐性菌に対する警鐘を鳴らすシリアスゲーム「SuperBug!!!」

SuperBug!!!」は、今年のBoard Game Japanのクリエイター部門の大賞に選ばれたシリアスゲームです。東京科学大学・感染症内科監修の、耐性菌をテーマにしたゲーム。

「スーパーバグ」とは、どんな抗菌薬も効かない治療に難渋する耐性菌のことをいいます。耐性菌を生まないようにあらゆる菌に対し、上手に抗生剤を使って治療していく、かなり専門的なゲームです。

いしがみさんが持参してくださったので、自然な流れでいしがみさんがゲームマスターとなってルールを説明してくださいます。なんて贅沢。

このように自分の担当菌?があり、それを抗生物質で直していきます。抗生物質には番号がついており、大きい番号ほど、威力が強いのですが、一方で耐性菌も生まれやすいという特徴が。強い抗生物質を多用するとあっという間に耐性菌が次々と誕生してしまいます。

▲赤いカードは耐性菌カード。ゲームも佳境を迎えてくるとあちこちで耐性菌が生まれてどこもかなり治療に難渋する羽目に

▲状況を改善できる「構築カード」をゲットし、にんまりする

治療の難しい細菌に対して、色々手を尽くして強めの抗生物質を使用するとあっという間に耐性菌が生まれるというジレンマは、実臨床でもよくあることで、このゲームの制作者である感染症専門医の声が近くで聞こえてくるかのようなまさにシリアスゲームでした!

しんしん「レボフロ、罪深いね」(レボフロキサシンという抗生物質は、1日1回飲めばいいという簡便さで処方されすぎるあまり、耐性菌が増える要因となっている)

おぐら「メロペン、やっぱコワイ」(メロペネムは、かなり強力≒どんな細菌にも効く≒広域スペクトラム抗生物質のため、使用は慎重にすべきであり、順天堂練馬病院ではこの薬の使用は許可制となっている)

色々ぶつぶつとつぶやきながらプレイしたのでした(そして、いしがみさんは、医療従事者のそんなつぶやきを楽しんでいただいたようです)。

◆順天堂・医療トリビアHLBA

そして、最後に、私たち作のクイズゲーム「医療トリビアHLBA」をみなさんに遊んでもらいました。このゲームは、学内でアイスブレイク用に活用するために考案したゲームで、順天堂や医療の歴史、あるいは医療従事者の人数や疾病の罹患者数など統計データに基づくクイズを出題し合うというシンプルなルール。

「順天堂開学の年は、〇〇より前?後?」

上記のようなクイズで、この〇〇をカードの裏側のヒントから選択してクイズを少しだけカスタマイズして出題できます。出題しながら医療史や疫学を学んでもらい、〇〇をどれにするか戦略を練る過程でチーム同士仲良くなってもらうのがねらいです。

▲2チームに分かれてチーム内で作戦を練ります

意外なヒントをみて、驚きながら作戦を練る両チーム。会話もクイズの出し合いもとっても盛り上がり、テストプレイの感触は上々。こちらは、近日中に完成したカードをお披露目できそうです!

以上、MEditカフェの報告でした!

今年度もワークショップの開催期間も特に変わらず、月1回のカフェを開催予定。興味を持ってくださった方は、LINE公式アカウントから、お気軽にお問い合わせくださいね!

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投稿者プロフィール

小倉 加奈子
小倉 加奈子
趣味は読み書き全般、特技はノートづくりと図解。一応、元バレリーナでおしゃべり(おえかき)病理医。モットーはちゃっかり・ついで・おせっかい。エンジニアの夫、医大生の息子、高校生の娘、超天然の母(じゅんちゃん)、そしてまるちゃん(三歳♂・ビション・フリーゼ)の5人+1匹暮らし。