ドクター ほっちの救急箱
ドクター
ほっちの救急箱
COLUMN
2023.03.20
2023.03.20
ボールが胸に当たって倒れた!! 救急症例1:心臓震盪
SHARE

中二男子、野球部ピッチャー。試合中に、バッターの強烈な打球が胸に当たった後、転がった球を拾うために足を踏み出したが、そのまま前のめりに崩れ落ち、起き上がらなくなった!

心臓には電気信号が通る回路があり、そこに一定のリズムで電気が流れるようにできています。この仕組みによって、心臓は休むことなく拡張と収縮を繰り返して、血液を全身に送り出してくれています。そんな電気仕掛けの心臓に対して、タイミング悪く外から強い衝撃が加わったことで不整脈が生じてしまうことがあります。これを「心臓震盪(しんぞうしんとう)」といいます。脳震盪(のうしんとう)という言葉はもしかしたら聞いたことがあるかもしれませんね。いずれも外からの強い衝撃によって起きる病態です。心臓震盪は、今回の例のように野球、ホッケー、サッカーなどのスポーツ中に発生しています。

心臓振盪は心臓のポンプ機能が止まってしまっている状態です。その状態では1分の処置の遅れにより、命を救うことのできる確率がだいたい10%下がるといわれています。119番通報をしても救急車が来るまでの時間は年々長くなってきていて、令和2年分の統計ではなんと約8.9分という結果でした。病院に搬送されるまでを考えると、さらに時間が必要です。救急隊がくるまでなにも処置を行わなければ、どんどん助かる確率は下がっていってしまうことになります。

最も大切なのは現場での皆さんによる心臓マッサージとAEDの使用です。目の前の助けられるはずの命を救うために、一歩踏み出す勇気を持ってもらえればうれしいです。まずは、AEDがどこに設置されているかを確認すること。そして、AEDの使用方法や応急手当の方法などを学んでおくことも心掛けたいですね。Web上でも救命講習を体験できるサイトを紹介します。ぜひ見てみてください。

また、百聞は一見に如かずで、実際に体を動かして触れてみないとわからないことも多いです。各消防署では救命講習会(中学生以上であれば参加可!)が定期的に開催されているので興味があればぜひ参加してみてくださいね。

 

ほっち先生救急箱サイト ※タイトルをクリックしてください

日本心臓財団 PUSHプロジェクト  AEDの大切さを痛感!

消防庁応急手当web講習 動画が見やすく、わかりやすい!

日本循環器学会 心止村湯けむり事件簿 サスペンスゲーム風に学習できる!

日本全国AEDマップ 近くのAEDの場所を確認しよう!アプリもあるよ!

 

投稿者プロフィール

發知 佑太
發知 佑太
分析力と論理的思考力に優れる頭脳派救急医。しんしんの同級生で夫である。リーダーシップがある兄貴気質で研修医時代は「レジ代表」を務めみんなをまとめた(しんしんという内助の功があったのはたしか)。