医学に効くほん!
COLUMN
2022.11.09
2022.11.09
医学に効くほん!?
「医学に効くほん!」と聞いて、医学部受験に役立つ本の紹介かなと思ったアナタ! はい、その通りです(笑)。でも、医学や医療をテーマに扱った本ばかりとは限りませんよ。医学に効く本の範囲はものすごーく広いのです。
医師を筆頭に医療従事者の素質としていちばん大事なことは、“人間に興味があるかどうか”ということに尽きます。医学は、米国臨床医学の父と言われるウィリアム・オスラー先生が、“Medicine is an art, based on science”とおっしゃったように、サイエンスに裏打ちされたアートなんですね。アートは、美術という意味にとどまらず、liberal artsのアート、つまり、教養的な意味も含みます。なんともややこしいココロとカラダをもった人間を対象とする学問ですから、数値データだけでは割り切ることのできないアートな側面が必ずあるということです。
今、医学の進歩は、文字通りの日進月歩で、病気の解明も遺伝子レベルでどんどん進んでいます。大学病院は高度先進医療を患者さんに提供しようと病気別に細かく部門が分かれています。もちろんそのことで、たくさんの確固たる科学的な証拠にのっとった治療が行われて、救われる患者さんが多い一方で、「この病気は私の専門とは異なりますので関係ありません」と、患者さんそのひとではなく病気にしか目を向けないドクターが増えたのも事実です。
でも、遺伝子異常のあるなしで病気のすべてを語れると思ったら大間違いですし、自分の専門の病気にしか目が向かないようなドクターは、患者さんを本当の意味で救うことはできません。カラダとココロの関係性も、カラダの仕組みの精巧さも、ごくわずかなことしか私たちは知りません。まだまだ医学の進歩はここからが勝負!病気と病気の“アイダ”に目を向けながら、患者さんの気持ちに寄り添い、患者さんの身体の中でいったいどんなことが起こっているのか、限られた情報の中で、想像したり推測する力がとっても大事ですし、それが医師に求められるアートの力なのです。
アートの力を育てる方法は、たくさんあると思いますが、その筆頭に挙げられるのがやはり読書でしょう。私の師匠の編集工学者、松岡正剛さんは、「読書は交際である」と言います。読むということは、著者に出会うことにほかなりません。様々なものの考え方や見方を持つ多様な人々と出会い、自分の視野を広げてみることが、将来、医師になったときに大きな力になるはずです。
これから毎回、様々なジャンルの本や読書の方法についてもお話していきます。首をキリンにして最新号をお楽しみに♪
投稿者プロフィール
- 趣味は読み書き全般、特技はノートづくりと図解。一応、元バレリーナでおしゃべり(おえかき)病理医。モットーはちゃっかり・ついで・おせっかい。エンジニアの夫、医大生の息子、高校生の娘、超天然の母(じゅんちゃん)、そしてまるちゃん(三歳♂・ビション・フリーゼ)の5人+1匹暮らし。
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