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COLUMN
2024.04.11
2024.04.11
学会に行ってきました♪
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おしゃべり病理医・小倉加奈子先生と名古屋に行ってきました!今回はMEdit Labの出前授業ではなく、病理医として学会に参加してきました♪

名古屋国際会議場の正面玄関には大きな看板が

◆医師の「部活」

「学会」を一言で言うと、その分野を深く知りたい、研究したいという人が所属するグループです。中高生のみなさんの生活で例えるなら、部活にあたるかもしれません。野球をしたいと思った時、18人揃えれば試合をすることができますが、定期的に集まりたい、戦略をたてて強くなりたい、学校代表として他の学校と戦いたい、となると野球部を作る方がいいですよね。競技ごとに部活があるように、無数にある研究分野の中で同じテーマに興味をもつ人が集まるのが学会です。

私は「日本病理学会」と「日本婦人科病理学会」に所属しています。「日本病理学会」では、病理医や病理に関わる研究者など「病理」に関わる人が集まり、その数は約4800人です。一方、「日本婦人科病理学会」では、さらに幅を狭め、子宮や卵巣など「産婦人科領域の病理」に興味がある人だけが集まります。産婦人科医師も所属していますが、会員数は250人と絞られます。分野により規模は異なり、日本消化器病学会は、なんと36,000人以上の方が所属しているそうです

◆学会のミッション

学会のメインの活動を3つご紹介します。

ひとつは、情報発信です。多くの学会が機関誌を出していたり、ホームページで情報発信をしています。専門家が集まる場ですので、各学会での決定が日本全国の病院の方針に影響を与えることも多いです。次に、資格認定です。「専門医」や「細胞検査士」など、国家資格に付随する資格試験の多くを学会が主催しています。そして最後が、集会の開催です。学会員が集まり、互いに情報交換をする場です。会員全員が集まる「総会」のほか、関東や関西など地方ごとに行われる「地方会」など年に数回開催されます。基本的に「学会」は団体のことであり、「所属」するものですが、病院ではしばしば「学会に参加しました」「学会に行ってきます」という話が出ます。それはこの集会のことを言っています!

◆医師の大発表会

学会が開催する集会は、発表会のイメージです。その道の第一人者から、医学部生をはじめとしたひよっこ研究者まで、たくさんの人が発表し、お互いに情報交換をします。もちろんキャリアや内容により、ステージの大きさは変わります。メインホールでの講演会から、数人単位でステージにあがるシンポジウム、パワーポイントを使っての口演、そしてポスター発表と様々な形で行われます。

先日参加したのは「第113回日本病理学会総会」で、年に一回の1番大きな集会です。名古屋の国際会議場という大きなスペースを3日間借りて行われました。私しんしんは、ポスター発表をしてきました!ポスター発表では、自分の伝えたいことを大判の紙1枚にまとめ、プレゼンします。ポスターのサイズは、幅90cm、長さは最大210cmと自分の身長を超えるものもあります。今回は500枚をこえるポスターが貼られ、会場は圧巻の光景でした。

ポスター発表を行うしんしん。背筋まっすぐ、直立不動でカタイポスター座長(司会のこと)を行うおしゃべり病理医。年の功か、リラックスしている様子

プレゼンは5分と短いのですが、初めてお会いする先生方の前での発表で緊急しており、顔が固いですね!質疑応答の時間があり、自分の症例に関して、他の専門医の意見を聞ける貴重な機会です。

◆学会のため休診します

年に数回とはいえ、集会に参加する時には医師が病院を離れますので、診療にも多少影響が出ます。クリニックでは「学会のため休診」ということもあります。そこまでして参加する必要があるのか?私はあると思います。今も医学の進化のスピードははやく、新しい治療法がでてくることもあれば、今までの治療が行われなくこともあります。昔学んだ知識だけで診療を続けることは、患者さんにとっても望ましくありません。「新しい情報を仕入れに行ったのだな!」と温かく見守って頂ければと思います。

ちなみに、学会によっては、一般の方も参加できるコーナーをご用意しています。今回の病理学会でも小学生から参加できる実験コーナーがあり、たくさんの方に来て頂きました。みなさんも気になる学会がありましたら、ぜひチェックしてみてください♪

一般の方に向けて病理を紹介するコーナーも!実はおしゃべり病理医もスタッフとして参加していました♪
ー参考webサイトー

投稿者プロフィール

發知 詩織
發知 詩織
全方位に目があるんじゃないかという細やかな気配りのできる逸材。寛大で誠実、緻密な仕事ができるのに人に優しい。病理医とSTEAM教育研究者の二足の草鞋を履くお母さん。愛くるしいパンダに似ているのであだ名は「しんしん」。