7月に大盛況で始まったMEdit Labワークショップ「医学をみんなでゲームする2」。現在、中学生、高校生からプロのゲームクリエイター(!)まで、全70名が「WEBワーク」に取り組んでいます。
この「WEBワーク」は、MEdit Labオリジナルのカリキュラム。12題のお題に順番に答えていくと、誰でも「医学に関するゲーム」を作れちゃう。さらには、ゲームづくりを通して、「情報編集」の方法まで自然と身につくという仕立てです。
今日はこのWEBワークの概要をご案内します。
▲イベント参加者に配布されたカリキュラム一覧
■シンプルすぎるお題には、裏テーマがあった!
お題は全部で12コ。最初のお題は、こんな感じです。
Q1.ミカタの保健体育「情報フィルター」ワーク
医学にまつわるゲームをつくるために、まずは身近なところで宝探しをしてみましょう。
みなさんおなじみの「保健体育」の教科書。改めて手に取って、まずは目次を開きます。このなかから、興味を持ったテーマを3~5個くらい選び、選んだ理由も簡単に教えてください。やることはこれだけです。
……どうです? 保健体育の教科書を見るだけ!? 「え!簡単すぎる!」と思ったでしょうか。
じつは、このシンプルなお題には仕掛けがあります。じつは、「表テーマ」と「裏テーマ」があるんです。
表テーマ:医学ゲームのネタを見つける
裏テーマ:自分の知らない分野に分け入る方法を学ぶ
このお題は一見すると、医学ゲームのネタを見つけるということ。でも、多くの高校生にとって「医学」とは、未知の分野です。その医学のなかから、自分の興味のあるテーマを見つけるのはけっこう難しい。
そこで、未知の分野に挑んでいく方法をQ1で実践してもらっているのです。
それが「目次読書」というやり方です。このお題では、医学をもっとも身近に紹介している「保健体育の教科書」の「目次」を読むように指示されていますね。読書や調べ学習といえば、「本文をしっかり読まねば」と気負っている人が多いと思いますが、じつは「目次読書」という方法を駆使すると、その本の全体像を一気に把握できるわけです。
■12のお題、4つのステップ
このように、MEdit Labのカリキュラムには「ゲームをつくる」という表テーマとともに、「学び方を学ぶ」という裏テーマも潜んでいるのです。
12のお題は、4つのメソッドに分けられていますが、裏テーマはこのメソッドに隠されています。
MEthod1:わける/あつめる ー情報の見方
MEthod2:つなぐ/かさねる ー情報の関係づけ
MEthod3:しくむ/みたてる ー情報のシステム化
MEthod4:きめる/つたえる ー情報の表現
「MEthod」は、MEdit Labと同じく、MとEが大文字になっていますね。そうです、MedicineのMとEditのE。
この4つのメソッドは、私たちが本を読んだり、話を聞いたり、何かを書いたり、考えたりするときにアタマのなかに起こる「編集(Edit)」プロセスを4段階に分節化したもの。
編集プロセスを4段階に分けるという発想は、伝説の編集者・松岡正剛が校長を務める「イシス編集学校」の基本コース[守]にヒントを得ています。情報編集ってなんだろう?と気になった方は、松岡正剛『知の編集術 発想・思考を生み出す技法』(講談社現代新書)をぜひ手にとってみてください。
MEdit Labのサイトでは、随時WEBワークの名回答を取り上げていきます。お楽しみに。
投稿者プロフィール
- 聞き上手、見立て上手、そして何より書き上手。艶があるのにキレがある文体編集力と対話力で、多くのプロジェクトで人気なライター。おしゃべり病理医に負けない“おせっかい”気質で、MEdit記者兼編集コーチに就任。あんこやりんご、窯焼きピザがあれば頑張れる。家族は、猫のふみさんとふたりの外科医。