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文系ウメ子ちゃんねる COLUMN
2024.06.10
2024.06.10
質問!お医者さんの仕事、ゲーム感覚になることはありますか?
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MEdit Labワークショップ「医学をみんなでゲームする」の参加者募集が始まっています。昨年度からこのテーマでワークショップを開催していますが、みなさん気になっていることでしょう。

「医学」と「ゲーム」ってどんな関係にあるの……?

どうやら、順天堂大学の現役ドクターに聞いてみると、仕事をしていると「ゲーム感覚」になることがあるらしいのです。今日は、2023年10月に行われたMEdit Labワークショップのなかから現役ドクターとプロのゲーム作家による座談会の様子をチラ見せ。

「お医者さんの仕事をしていて、ゲーム感覚になることはありますか?」「医療とゲームの関係は?」という高校生からの質問に、2名のドクターと1名のゲーム作家が答えました。

▼答えたメンバー(登場順)
小松孝行先生:救急科専門医・集中治療専門医・総合内科専門医。スポーツドクターとしても活動し、FIBAバスケットボールワールドカップ2023では組織委員会のメディカルオフィサーを務めた。(写真右から2番目)
髙澤祐治先生:整形外科専門医。スポーツドクターとしても活躍、ラグビー日本代表チームに帯同した経験も(写真中央)
◯山本貴光先生:文筆家、ゲーム作家。東工大教授(写真右端)

▼フルの動画はMEdit Labサイト上教材ページからご覧になれます
https://meditlab.jp/news/4389/


Q:お仕事をしていて、ゲーム感覚になる場面ありますか?


小松:すごくいい質問ですね。基本的に、僕たち医者は命を預かっている以上、真面目にやります。そのうえで言いますが、僕はふだんから「ゲーム感覚」をもって仕事をしています。
患者さんはいろんな人がいます。すぐ文句を言う人もいれば、すぐ怒る人もいます(笑)。でも、医者としては患者さんにしっかり向き合う必要があります。

ちょっと難しいなと思う人に向き合うとき、僕が意識しているのは「どうしてこの人、こんなふうになったのかな?」「いったい、この人の人生に何があったのかな?」って考えるということです。そうやって、患者さんの過去をひもとくように話を進めていくと、「あ、これはたしかに、前の前の前の前の病院がちょっとよくなかったな」とかわかるときがあります。お医者さんのちっちゃな一言が誤解を生んでしまったんだな、とか。

そうやって掘り下げていくときには、ゲーム感覚がありますね。患者さんとの会話のちょっとしたところから、何かヒントを見つけて行く作業はゲームっぽいかなと感じます。

髙澤:僕にもゲーム感覚だなと思うことがあります。僕の場合は、スポーツ整形外科として働いていて、患者さんが来ると、どうやってケガをしたのか受傷のメカニズムを聞くわけです。でも、最初からぜんぶわかるわけではありません。だからこそ、小松先生がおっしゃったように、ちょっとした言葉や短い文章からヒントを聞き出して、診断して、治療のオプションを考えて、ゴールに向かう。そういうプロセスは、ゲームによく似ていますね。患者さんと一緒にプロセスを考えて、どれくらいの期間でどういう治療をするのか、ゴールに近づけていくのは楽しいです。


Q:医療にはゲーム感覚的なところがありそうですが、これからどのように医療に「ゲーム感覚」が入っていったらいいと思いますか?


山本:やり方は、いろいろありそうです。ただ、「ゲーム感覚」ってちょっぴり危ない言葉かもしれませんので、まずは注釈をつけておきましょう。世の中には、「ゲーム感覚」という言葉を使うと「お遊びじゃないんだ!」と怒り出してしまう人もいますのでね。言葉を使うときには若干、注意が必要ですが、ゲームがもっている力と医療行為がもっている力をうまく組み合わせる事例は増えていってほしいと思っています。私のかつての教え子のなかには、そういうことにチャレンジしている人もいます。

医療のリハビリテーションのなかではゲーム的なものが使われます。たとえば任天堂のリングフィットアドベンチャーみたいな仕組みがあれば、体をただ動かしつづけるのがしんどい人でもやる気がすこしは維持しやすくなる。ゲームによって、患者さんの気持ちの部分を援助することはいろいろやりようがあると思います。


Q:スポーツドクターとして、どんなゲームを作りたいですか?


小倉:そういえば小松先生、さっき雑談のなかで、サッカーゲームをつくってみたいっておっしゃっていましたね。いい選手を集めて強くするゲーム、ありますよね。

小松:僕らの小さいころは「サカつく」っていうゲームがあったんです。「プロサッカークラブをつくろう」というゲームです。それは選手をどんどん育てていくゲームなんですけど、もっと現実に即したゲームにできるかなと思っています。

選手のコンディショニングを考えるときには、トレーニングをどれだけするかと同じくらい、回復させるのも大事なんです。ごはんを食べるのも大事。休んで寝るのも大事。現実的には、どんなごはんを食べたらいいのか、どれくらい休んだらいいのかというのは、選手ごとにオーダーメイドでアプローチしていかないといけないんです。なので、「正しい医学知識を使わないといい選手が育たない」というゲームをつくりたいなと思うんです。


いかがでしたか。

7月20日のオープニングイベントでも、ドクターとの座談会が予定されています。気になることをあれこれ、ドクターに直接聞けるチャンス! ぜひ当日は、順天堂大学へお越しください。

 

■7月20日オープニングイベントの概要&申し込みはこちらから

 

投稿者プロフィール

梅澤奈央
梅澤奈央
聞き上手、見立て上手、そして何より書き上手。艶があるのにキレがある文体編集力と対話力で、多くのプロジェクトで人気なライター。おしゃべり病理医に負けない“おせっかい”気質で、MEdit記者兼編集コーチに就任。あんこやりんご、窯焼きピザがあれば頑張れる。家族は、猫のふみさんとふたりの外科医。