2025年6月7日、梅雨入り一歩手前の週末、MEdit Labを開催しました。いつもより少なめの参加人数だったもののいつもと同じように盛り上がったMEditカフェのレポートをお届けいたします。
◆耳かきパズルゲームiKAKiバージョン1.3
ゲーム業界でひそかに有名、ゲームに関する記事をnoteで6年間も継続しているという北海道在住、珍ぬさんの耳かきパズルゲーム「iKAKi」。ゲームタイトルの「iKAKi」ですが、沈ぬさんいわく、「耳かきをローマ字表記すると『Mimikaki』。MIMとIKAKIと2つに分けるとどちらも回文になるので、片方だけ取ってみた」とのこと。ネーミングからゲームっぽいです。
前回のMEditカフェでバージョン1.2は試遊済み。ルールをおさらいすると、サイコロの出た目にしたがってマス目を塗りつぶしていく、というシンプルなゲームで、40個のマス目が耳の穴の形のように並んでおり、その中に4つの「鼓膜」のマス目が含まれている。なるべくたくさんのマス目を塗りつぶした人が勝ちですが、誤って「鼓膜」を塗りつぶすと大きく減点となるため、どこで「離脱」するかが腕の見せ所なのでした。
十分にエキサイティングなゲームに仕上がっていましたが、せっかく試遊したのでもっと医学っぽくしてもらおうと、耳垢が遺伝子素因で“ねばねば”と“かさかさ”があることに着目し、ねばねば耳垢ルールを課してもらうとお願いしたのでした。
そこで、登場したのがバージョン1.3です。
このように、イイ感じの場所にねばねば耳垢マスが置かれており、この耳垢マスとその周囲のマスを塗りつぶすと大幅なポイントアップが狙えます。ただし、決まった2つの目が出ないとねばねば耳垢を塗りつぶすことができず、また、基本ルールは隣り合うマス目の部分だけを塗っていくことしかできないため、塗る場所がかなり限定するという制約が増えたのです。さて、ゲームの行方はいかに?
前回お休みした医学生ふっくちゃんは、iKAKi初心者ということで、バージョン1.2からおさらい。良い感じでゲームを進めていきました。そして、今回のお楽しみ、バージョン1.3へ。
がっくりうなだれるふっくちゃん。そう、彼女、なんと4手目で塗る場所がなくなり、鼓膜を塗りつぶすはめとなり、耳鼻科救急外来を受診するべく早々にリタイア。手堅い必勝戦法を取ろうとも、サイコロの目に翻弄される運の要素が増えたため、このようにサイコロの神様に見放されるとあっという間に負けてしまう恐怖のサバイバルゲームと化したiKAKi。これ以上、いじくるともったいないので、iKAKiはこれで完成にしましょうということになりました。
われらが沈ぬさんには、医学パズルゲームを色々とリクエストしておきました(次は眼底検査とか虫歯とか別テーマでやってほしい)。
◆メメコさん作「抜け出せ!メタボの盛」をテストプレイ♪
耳鼻科医案件のゲームのお次は、生活習慣病。管理栄養士の出番です。
管理栄養士ではなく薬剤師のメメコさん。満を持して、生活習慣病に関するカードゲームを作ってきてくださいました。その名も「抜け出せ!メタボの盛」(笑)!
このゲームは、プレイヤーがみんなメタボ予備軍で、血圧や血糖や中性脂肪が高め。それぞれが持っている問題点を解消すべく、食事や運動療法を行っていきます。時に“お邪魔カード”があり、生活習慣の改善が阻まれたりすることも。
メメコさんの手作りカードは、とてもきめ細やかで、カードの角を丸くしてくださり、プレイヤー想いの工夫がいっぱい。カードに記載された改善ポイントを参考に必要な生活習慣改善カードを集めていくため、ルールも簡単です。
しかし、ここでゲームエディターいしがみさんの鋭いツッコミが…。
「カードに剥き出しの情報がすべて書かれてしまっていることもあって、先が見えすぎてしまうし、プレイヤーがあれこれ考える余地がないかも。ゲームで遊ぶ必要性が乏しくなっているのではないかな。」
ガーン…!
シリアスゲームが陥りやすい問題なのですが、作り手がテーマの内容を盛りだくさんにルールに投入することで、プレイヤーにどんな体験をしてほしいか、そのメッセージがかえって薄まってしまっていたのです。
「生活習慣病についてこれらの知識、全部知ってほしい」という圧が強すぎて、お勉強モードが強すぎるともいえるかもしれません。
さらにもう一つの問題は、栄養摂取について、様々な学説が飛び交っていて、何を採用するか悩ましい状態にあること。適正カロリーが重要という意見があったり、カロリーは全く気にしなくていいから、糖質を制限すべきという意見もあったりと、そもそもシリアスゲームの軸となるエビデンスが一本に決まらない。
運動や栄養や様々な因子が複雑に絡み合っている生活習慣病のすべての要素をそのままゲームに投入するのも無理があるということで、色々と話し合った結果、「減塩」など、何かエビデンスがぶれない要素を選んだ方がいいのではないかということに。
また、メメコさんのカードの中で「継続カード」はぜひ生かしていこうということにもなりました。生活習慣病は、一朝一夕で改善するものではなく、身体に良い食生活や運動を継続していくことが重要です。この継続性をゲームの中にどう表現していくか。メメコさんの試行錯誤、本格的にはここからです!
◆名作で遊んでみる
耳鼻科医、管理栄養士ときたら、お次は警察官になりましょう。
昨年末、すごろくやさんから、ぜひMEdit Labでゲームの研究に活用してほしいといくつかのボードゲームを寄贈いただきました。今日はその中のひとつ、『the Key ラッキーサマランドの妨害工作』で遊びました。
このゲームは、警察官となって3人の容疑者が残した様々な手掛かりをもとに、誰がいつ、どのアトラクションをどんな方法で壊したのか、ということを当てる推理ゲームです。
様々な「手がかりカード」があり、有力な情報があるカードほど得点が高いのですが、なるべく点数を抑えて推理できた人が勝ちとなります。
おしゃべり病理医おぐらは、この手の推理ゲーム、大の苦手で、中退した女子大でも「論理学」の単位を落としていたのですが、要は、必要十分条件を頭の中で整理するのが苦手なうえ、おおざっぱな性格の上、途中で、ま、これでいいか!と詰めが甘くなるのです。
一方、緻密なしんしんは、1枚ずつ手がかりカードを吟味しながら、着実に正解へ。ルールの組み立て方など大変勉強になりましたが、そもそも推理が苦手なおぐらはこの手のゲームをつくることは難しいんじゃないかと思いました。
まぁ、苦手なものは誰かの力を借りればいい~。チームで遊べば、みんなの頭脳は共有財産!
MEditカフェはこれからも進化していきます!
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投稿者プロフィール

- 趣味は読み書き全般、特技はノートづくりと図解。一応、元バレリーナでおしゃべり(おえかき)病理医。モットーはちゃっかり・ついで・おせっかい。エンジニアの夫、医大生の息子、高校生の娘、超天然の母(じゅんちゃん)、そしてまるちゃん(三歳♂・ビション・フリーゼ)の5人+1匹暮らし。
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