お知らせ
お知らせ NEWS
2025.09.11
2025.09.11
AIに勝てない時代、私たち人間は何をする?【洛星MEdit授業】
SHARE

城北高校からはじまった2025年度の出張MEdit授業。お次は、関東を飛び出して京都の洛星中学・高等学校へお邪魔してきました!

◆なんで勉強するの?

今回のMEdit授業は、なんとも贅沢。多職種連携ゲーム「ENT!」を活用する私たちのMEdit授業の前に、順天堂大学 総合診療科教授、内藤俊夫先生の特別講演がありました。2年ほど前の高大連携授業で一度だけ、内藤先生の講義を聴いたことがありましたが(その時の講義の概要はこちら→“うしろめたさ”という原動力【佐久長聖×順天堂大学イベントレポ】 | MEdit Lab)、大変感動したので、今回もご一緒し、お話を伺えるのをとても楽しみにしていました。

「数学も英語の翻訳もAIの方がみんなよりずっとうまくやるよね。AIに勝てないのになんでみんなは学校に来て勉強するの?」

内藤先生の話は、こんな問いかけからはじまりました。改めてそう問われて、思案する様子の洛星の生徒さん。私たちも生徒さんと一緒になって「なんで勉強しているんだろう…?」と頭の中でいろんな考察がぐるぐる。

内藤先生は、東日本大震災の直後、避難所に応援に行った経験やノーベル医学生理学賞を受賞したカタリン・カリコ先生と同僚であった留学時代のエピソードなど、先生のこれまでの来し方を話される中で、私たちに学ぶことの本質をさりげなく提示されます。洛星の生徒さんも内藤先生の講演を通して、自分の将来像、なりたい自分に想いを馳せることに。

◆情報の伝え方は難しい

内藤先生は感染症の専門家であり、まさに、3.11の際は、避難所に集まるすべての方を対象とした肺炎ワクチン接種に多大な貢献をされています。そんな内藤先生がショッキングな事実をお話されました。

日本は、世界の中で最もワクチンを信じていない国である。

なんと10人中9人はワクチンを信頼していないという統計データがあるのだとか。今は、アメリカにおいてもトランプ政権が反ワクチン派でもあり、ワクチンが身体に有毒であると信じて疑わない人々が増えているといいます。

ワクチンによって助かる命があるのに、ワクチンを拒絶する人々に対して専門家として何ができるか。

刺激的で極端で、時に恐怖や嫌悪感をあおるような根拠のないニュースほど、SNS上で広まりやすいという現状の中、情報の発信方法に課題意識をお持ちの内藤先生。正しい情報を科学的に証明していく地道な努力とともに、人々の心に刺さるメディアの工夫もこれから医療においてはますます必要になるでしょう。サイエンスとアートの両方の側面からこういった課題に取り組んでいく必要がありそうです。

◆チーム医療を「ENT!」で学ぶ!

内藤先生のご講演後は、今年恒例のチーム医療をテーマとしたMEdit授業。病理医の仕事を説明しながらの自己紹介をしながら、チーム医療の実際を簡単に説明したあと、さっそく「ENT!」で遊びました。

MEdit学生部の医学生たちも大活躍。各グループでゲームマスターを担ってくれたので、「ENT!」も実にスムーズにプレイが進行。おかげで楽しく取り組めました。

生徒さんからの受験勉強の取り組み方に対する質問へのアドバイスもとても的確。頼もしい医学生たちでした。

最後に、みなさんで記念撮影。来年もさらに面白い授業を携えてお邪魔したいと思います!