医学に効くほん!
医学に効くほん! COLUMN
2025.12.18
2025.12.18
これから、何を学ぶべきなの?『正解のない教室』
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MEdit Labでは、「リベラルアーツとしての医学」を活動のコンセプトにかかげています。ただ、一方で、そもそも「リベラルアーツ」って何?というところをうまく伝えるのは難しいといつも思っていました。

自由に生きるための方法論、と言えば、みなさんに伝わるでしょうか。ですから、MEdit Labは、自分の心やカラダの仕組みを知ることで、みなさんがイキイキとするなんらかの気づきを得られるようなコラムやイベントを提供し続けたい、という想いで日頃活動しています。

と、色々説明してみましたが、詳しくはこれを読んでくれ!という素晴らしい本を見つけました。その名も『正解のない教室 これから、何を学ぶべきか?』です。

著者は、知窓学舎塾長の矢萩邦彦さん。知窓学舎とは、入試対策は一切しません!と宣言している探求学習の塾です。いったいどんな塾なのか。ワクワクしてきますが、詳しくは本書の内容を読めば、わかりますよ。

◆たくさんの選択肢

あなたは、毎日楽しんでいますか?

本書は、こんな問いかけからはじまります。自由に生きるとは自分で決定する力だと矢萩さんは断言されています。自己決定には2つの段階があるそう。

・「選択肢を複数持つ」こと

・「最適な選択をする」こと

この二段階。2つめの最適な選択をすることについては、そりゃそうだろうな、とは思いつつ、気になるのは「選択肢を複数持つ」の方ですよね。

多くの若いみなさんは、タイパやコスパが気になるし、最適解をひとつだけ決めたい、という意識が強いかもしれませんが、複雑な世の中においては最適解自体がどんどん変わっていきますし、むしろ、複数持っていないと自由になれない、ということなんですね。そこで、矢萩さんがヒントをくれています。

選択肢を複数持つためには、三つの視点が必要になってきます。

一つめは、すでに分かっている<既知の選択肢>を整理すること。

二つめは、まだ自分が気づいていない<未知の選択肢>を見つけること。

三つめは、前提や理論的枠組みを覆すような<新たな選択肢>をつくりだすこと。

かなり難しそうな気もしますが、大丈夫。本書は、全体を通して、上記の3つの視点を得るために必要な情報がぎゅぎゅっとパッケージされています。

◆論理と認知と言語をめぐる冒険

どんなふうにパッケージされているか、章立ても見ておきましょう。

序章 ぼくたちは何を学べばよいのか?

第1章 ぼくらを探しに~自分をめぐる冒険~

第2章 ちゃんと考えるために~論理をめぐる冒険~

第3章 世界を知るために~認知をめぐる冒険~

第4章 ぼくらの世界と物語~言語をめぐる冒険~

終章 ぼくたちの物語を描く

いかがでしょう? 4つの「冒険」。ワクワクしますね。自分を起点に出発し、論理・認知・言語についてのヒントが様々な具体例とともに提示されています。それぞれの小見出しごとに、偉人の紹介や言葉の意味が、注釈として載っていて、この本からあらゆるジャンルを知る旅に飛び出すこともできるような仕組みもいっぱいです。

「教育とは、学校で学んだことを一切忘れてしまったあとに、なお残っているものだ」by. アインシュタイン

「私がかなたを見渡せたのだとしたら、それは巨人の肩の上に乗っていたからです」by. ニュートン

「リベラルアーツは自分軸の成長とともに、すこしずつ身についていくものです。気になったことは、あなた自身が探求してみてください」by. 矢萩邦彦

学校で勉強する意味がわからなくなったら、将来の夢を問われて困ることがあったら、きっと本書が役立つでしょう。副題には、「これから、何を学ぶべきか?」とありますが、本書はむしろ、 “何 what”より“どう how”を教えてくれるはず。リベラルアーツは、人生の処方箋です。

 

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投稿者プロフィール

小倉 加奈子
小倉 加奈子
趣味は読み書き全般、特技はノートづくりと図解。一応、元バレリーナでおしゃべり(おえかき)病理医。モットーはちゃっかり・ついで・おせっかい。エンジニアの夫、医大生の息子、高校生の娘、超天然の母(じゅんちゃん)、そしてまるちゃん(三歳♂・ビション・フリーゼ)の5人+1匹暮らし。