新学期。マスクなしで対面の入学式や始業式に参加したみなさんも多いのではないでしょうか。じょじょにアフターコロナの日常へシフトしている今日この頃ですが、COVID-19の流行はまだ完全には収まっていない様子…。
COVID-19と名がつくように、2019年に発生したコロナウイルスは2023年4月現在、いったいどのくらい世代交代をしているのか…。数十秒に1回世代交代するらしいので、もはや数学が苦手なおしゃべり病理医の想像の域を超えております。2019年の時とは全く違うウイルスなんじゃないの~?
さて、本日の「おしゃべり病理医スタンプ図鑑」は6つめの「ウイルスばん中」です。イラストには気管支の細胞の中(正確にいうと細胞質の中)にちょっと大きく強調しすぎていますが、しれ~っと居候しているようなウイルス粒子を描きました。
「ウイルスは生物といえるのか」
これはこれまでの研究で長く議論されてきた問いなのですが、ウイルスは自分自身で増殖する力を持っていません。動物や細菌などの「宿主(しゅくしゅ)」に感染しなければ増殖することができないのです。
生物の定義には「自分自身で増殖する力を持つ」ことが挙げられます。ですから自立的に増殖できないウイルスは生物といえないのではないか、と言われてきたのですね。しかし、宿主の力を借りてしまえば増殖し、どんどん世代交代をしていくという点では生物であるともいえる。ウイルスは“半生物”的な存在なのです。
ウイルスは、宿主の細胞に感染すると、その細胞を乗っ取り、細胞のいろんな部品を横取りしながら、驚くほどたくさん自分のコピーをつくり、集団となって乱暴に細胞を壊して出ていきます。まさに強盗です。しかし、ウイルスのそういった乱暴な行動は、パトロール中の宿主の免疫細胞たちを怒らせることになり、最終的には免疫細胞たちにやっつけられる運命にあります。
そんななか、とっても巧妙なウイルスがいて、免疫細胞の監視や攻撃をかいくぐり、細胞に潜伏するタイプのものがいます。たいていは、このイラストとは異なり、宿主の細胞の「核(遺伝情報を格納している大事な場所=イラストの下の斜線の丸いところです)」に潜みます。
まさに、「ウイルスばん中」…。あ、また、くだらないダジャレ、言っちゃった。
潜伏するウイルスの代表例は、「水痘・帯状疱疹ウイルス」と「HIVウイルス」です。この2つの話を詳しくするとかなり長くなってしまうので、またの機会に。気になった方はウイルス関連の本を読んでみてくださいね。
それから、免疫細胞がどのようにウイルスをやっつけるのか気になった方は、MEdit LabのSTEAM動画教材のこちらをどうぞ~♪ おしゃべり病理医が紙芝居の「免疫劇場」でフクザツな免疫細胞たちの働きについて説明しています!
さて、次回は、ついにビッグニュースをお届けします~!!
投稿者プロフィール
- 趣味は読み書き全般、特技はノートづくりと図解。一応、元バレリーナでおしゃべり(おえかき)病理医。モットーはちゃっかり・ついで・おせっかい。エンジニアの夫、医大生の息子、高校生の娘、超天然の母(じゅんちゃん)、そしてまるちゃん(三歳♂・ビション・フリーゼ)の5人+1匹暮らし。
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