「朝、起きられませんでした」。遅刻の多いひとは、学校や職場で、やる気のない人、とレッテルを貼られがちです。前日に夜更かしがすぎたり、そもそも風邪などで体調が悪い場合もありますが、朝、起きられない要因となる頻度の高い疾患として近年クローズアップされているのが「起立性調節障害」です。
起立性調節障害は、思春期に多い疾患で、不登校の原因になることも少なくないため、本人も、サポートするまわりの人もこの疾患に対する知識や理解が必要です。英語名は、「Orthostatic Dysregulation」略して “OD” とも言われますが、「オーバードーズ(薬物過剰摂取)」の略の方で使われることも多く、どちらも精神疾患だと安易にくくられ、誤解を呼ぶのではないかと個人的に思います。略語の乱用は、医療現場でも気をつけるべきではないかと思っています。
◆脳が貧血に?
起立性調節障害は、立ち上がった時に頭痛、めまい、倦怠感などの症状がでる病気です。脳が一時的に貧血に陥る、というのが症状の大きな原因で、特に急に立ち上がったりすると、脳への血流が一気に落ちることで、頭がくらくらする、場合によっては失神してしまうこともあり、倒れた際に怪我をする可能性もあるので、日常生活の過ごし方などにも注意が必要です。
思春期に発症しやすく、朝を中心に午前に症状が強いため、学校生活に支障をきたすこともあります。さらに、重症例では不登校やひきこもりになってしまい、その後の社会復帰にも大きな支障をきたすことも。
◆血圧はどうやって保たれるの?
私たちの身体は、寝ているときと起きているときでは血液の流れ方が大きく異なります。立っているときはとくに、脳に血流を送るべく、下半身の筋肉等を使いながら、ポンプの作用で、高い位置にある脳への血流がいきなり落ちることのないようにしています。
血圧の調整には、自律神経が担当しています。自律神経には、交感神経と副交感神経があり、その時の身体の活動に応じて無意識で働くものです。自律神経という言葉は、色々な健康に関する書籍やニュースで取り上げられることが多いのですが、気合いをいれて神経のバランスを変える、みたいなことは難しいため、血圧の調整に関しても自分の気持ちではどうしようもありません。
◆脱水に注意!貧血などのチェックも
ただ、生活において注意するポイントがあります。
まずは脱水に注意が必要です。脱水になると、流れる血液量が少なくなるため、おのずと血圧を保つのが難しくなります。脱水になりやすい夏場は特に注意が必要で、塩分などミネラル入りの飲み物をしっかり摂取することが大切です。
また、貧血など、起立性調節障害に似た症状を示す他の病気が隠れていることもありますので、まずは病院で血液検査なども含めて、一度しっかり検査することをおススメします!
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投稿者プロフィール

- 趣味は読み書き全般、特技はノートづくりと図解。一応、元バレリーナでおしゃべり(おえかき)病理医。モットーはちゃっかり・ついで・おせっかい。エンジニアの夫、医大生の息子、高校生の娘、超天然の母(じゅんちゃん)、そしてまるちゃん(三歳♂・ビション・フリーゼ)の5人+1匹暮らし。
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