医学に効くほん!
COLUMN
2023.07.13
2023.07.13
将来の夢?「破壊的イノベーター」!
最近、ゲーム・デザイン一色のMEdit Labですが、今日は久しぶりに「医学に効くほん!」のご紹介です。2035年には医師過剰供給時代に突入すると言われている日本では、医師という職業の在り方もこれから大きく変わってくるかもしれません。今日紹介の本は、医師に限らずこれから社会人となっていくすべてのみなさんにおススメの一冊です。
◆将来の夢は?って聞かれても…
ところで、どうしてオトナは、「将来の夢は何?」と聞きたがるのでしょうね。高校に入るとその質問は、「進路」とか、「キャリアプラン」というようなコトバに変わっていきますが、中高生のみなさんが、すぐにそれに答えられないのは当然だと思います。
だって、オトナがやっている仕事がいったいどんなものなのか、実際のところはわからないのだし、加えて、AIをはじめとした科学技術の進歩で、今ある職業の40%はなくなるという見通しがあるなら余計です。
実際に、キャリアがプラン通りになることなんてほとんどありません。私の経験上もそうでした(女子大の英文学科を半年で中退して医学部に入り直した→小児科希望だったのに病理医になった→病理医なのにMEdit Labでみなさん向けにこんなコラムを書いたり、LINEスタンプ用の絵を描いたりしている)。
ちょっとした出会いで一瞬にして自分の人生が大きく変わることだってありますし、誰かひとりの指導者の野望が国を戦争に向かわせることもあります。人生も社会もいつだって先行き不透明で、それは今までもこれからも変わらないでしょう。
ですからその時々、好奇心の赴くまま、今現在を楽しむことをおススメしたい。いろんな体験を通して自分の好きを見つけてほしい。
◆たくさんのインフルエンサーに会える!
本は、たくさんの世界に出会える魅力的なメディアのひとつです。今回紹介するのは、破壊的イノベーターたちに一気に会えるおトクな本。破壊的イノベーターというのは、社会の在り方や人々の考え方、生き方に大きな変化を与える人のことです。魅力的なインフルエンサーですね!
この本には私の師匠、編集工学者の松岡正剛さんを含む15人の破壊的イノベーターが登場します。ドクターもエンジニアもパティシエもスーパーおばあちゃんもいて、年齢も生き方も仕事も外見も価値観も違う。でも、共通していることは、みんな好奇心のカタマリで、はみ出してしまうことを恐れないことです。
どの人の話も面白いので、興味のあるイノベーターの話をピックアップして読むことができます(本は、最初から読まなくちゃいけないことなんてないですからね)。私は、特に、東京工業大学教授の伊藤亜紗さんと、師匠、松岡さんの言葉が心に残りました。
◆破壊的イノベーターの方法とは?
伊藤さんは、障害を通し、人間の身体の在り方を研究されているのですが、障害の定義を「世界と自分がフィットしていない」としています。障害者を「かわいそうな人」と一元的に見るのではなく、障害者がどう世界と自分のギャップを埋めようと工夫しているのか、その方法に着目しています。
方法に着目するのは松岡さんも同じです。これまで誰も試みたことがないような新しい“組み合わせ”がイノベーションの源泉になる。異質なものに出会い、その組み合わせの方法を変えていけばこれまでにない表現が可能になります。松岡さんは、「同質に走るな」「マレビトになることを恐れるな」といいます。
日本では、「空気を読む」ことが強要されることが少なくないですが、合わない空気だったら無理して合わせず、別の空気を探しに行けばいいし、新しい風を呼び込めばいい。
本書の最後には、破壊的イノベーターになる五箇条も示されているので気になる方はぜひ手に取ってみてください。
日経BP総合研究所『破壊的イノベーター、その視界 -新たな価値の創造者たち-』日経BP
投稿者プロフィール
- 趣味は読み書き全般、特技はノートづくりと図解。一応、元バレリーナでおしゃべり(おえかき)病理医。モットーはちゃっかり・ついで・おせっかい。エンジニアの夫、医大生の息子、高校生の娘、超天然の母(じゅんちゃん)、そしてまるちゃん(三歳♂・ビション・フリーゼ)の5人+1匹暮らし。
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