ミカタの東洋医学
ミカタの東洋医学 COLUMN
2024.01.18
2024.01.18
“将軍の肝”は元気のキモ!
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MEdit Labには、五臓さんというメインキャラクターがいるのをご存知ですか。五臓さんは、MEdit Labの5つのコンセプトを体現しているキャラクターですが、今日はその中でも「」についての東洋医学的なミカタについてお話しましょう。

MEdit Labのキャラクター「五臓さん」今回説明する「肝」はC:Community 医学と医療を学ぶコミュニティのコンセプトを表しています

◆肝のSOSサイン

日々の勉強や対人関係などストレスを抱える人もいますよね。イライラ、怒りっぽくなる、お腹が張って食欲がなくなる、胸が圧迫される、喉のつかえ感、めまい、眠れない、目のかすみ、筋肉のこわばり、爪のツヤがなくなるなど。これらの症状は実はすべて「肝のSOS」なんです。

東洋医学において、肝の役目は主にふたつあります。ひとつは使われていない血を貯蔵すること。このため月経によって血を失いやすい女性は肝の不調になりやすいのです。もうひとつは気の流れをスムーズに整えること。川の流れが淀んでくると汚れが溜まりやすいように、気の流れが停滞すると、お腹が張ったり、イライラしたりして、前向きな気分になれなくなってしまいます。

秋が深まり受験が近づくシーズンでは、「眠れない」「身体がだるい」ということで多くの中高生が外来にやってきます。脈に触れてみる(脈診)と、弦のように一本にピンと張っていたり、お腹を触ってみる(腹診)と、腹筋が張っていたり脇腹も硬かったりします。これらはいずれも肝の不調を示すサインです。こういう場合は、柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)、抑肝散(よくかんさん)、四逆散(しぎゃくさん)といった漢方薬を処方したり、身体を動かしたり好きなことをするなど、ストレス発散の時間を意図的に作ることや、酸味のある柑橘系の食べ物を積極的に摂ることをお勧めしたりしています。

このように、肝は心と身体の要(かなめ)となる臓であることから、軍隊を率いる将軍にたとえて「将軍の肝」(将軍のような臓)ともいわれています。

◆肝の役目、心の側面とは?

分析的に機能を調べていく西洋医学でも、肝臓は将軍さながらの働きぶりです。タンパク質を作り、栄養を溜め込み、有害物質を分解し、食べ物の消化に必要な液体を作ることが知られています。しかし、イライラや怒りっぽくなるなど「心」との関連は示されていません。

東洋医学のいちばんの特徴は、心と身体を一緒に診ていく、ということです。肝が気血をスムーズに身体に巡らせることにより、心も身体ものびのびと働くようになるのです。その逆に、肝の気が滞ると前述した症状が出てきます。

心の側面では、肝には「魂が蔵されている」と考えられています。ものを考えたり、計画を立てたりすることは主に肝の働きです。「肝が据わっている」「肝に銘じる」「肝が冷える」など、日本語の慣用句でも「肝」はよく登場しますよね。東洋医学的な肝の言葉を、みなさん、知らず知らず遣っていたということなんです。

MEdit Labでは、「肝」にあたるコンセプトを「C:Community 医学と医療を学ぶコミュニティ」としています。対人関係でストレスを抱える方も多いですよね。読者のみなさんが所属しているクラスや部活や職場などは、コミュニティのごく一部です。ほかにもいろんな人と知り合えて、活動できる場が用意されています。MEdit Labもみなさんのために開放された、「肝」の調子を整えられる素敵な場所です。今年も様々なイベントやワークショップが予定されているようですので、ぜひ、参加してみてくださいね!

投稿者プロフィール

華岡 晃生
華岡 晃生
生まれも育ちも石川県。地域医療に情熱を燃やす若き総合診療医。中国医学にも詳しく、趣味は神社巡りとマルチな好奇心が原動力。東西を結ぶ“エディットドクター”になるべく、編集工学者、松岡正剛氏に師事(髭はまだ早いぞと松岡さんに諭されている)。