みなさんにもお馴染みの病名、「高血圧」。今現在、20歳以上の日本人のなんと二人に一人は高血圧なのだとか! さて、どのくらいの値だと高血圧と診断されるかはご存知でしょうか。日本高血圧学会の基準では、診察室での収縮期血圧(最大血圧)が140mmHg以上、または拡張期血圧(最小血圧)が90mmHg以上の場合を高血圧と診断します。
太字で強調したように、「診察室での」がミソ。日本高血圧学会の基準では、診察室血圧と家庭血圧というのが別に設定されていて、家庭血圧では、135mmHg以上あれば、高血圧とみなされます。家庭血圧の方が基準がシビアになっています。緊張して測定する診察室では、血圧が高めに出る傾向があるからです。
◆白衣を見るとドキドキ・バクバク「白衣高血圧」
それが顕著になったものが白衣高血圧です。家で測定すると正常範囲内なのに、診察室で測ると高血圧となってしまう。みなさんもテストの前や人前で話すときは、心臓がドキドキ・バクバクしたことがあると思いますが、ストレスがかかると交感神経が優位になり、全身の血管が収縮することで一時的にぎゅいーんと血圧が上がってしまうのです。
それなら、白衣高血圧は、生理現象なんだから放っておいていいのかというとそうでもないのです。緊張して血圧が多少上がっても基準範囲に収まるひともいます。緊張するとすぐに高血圧の基準に達してしまうということは、日常生活の様々なタイミングで血圧が高い状態が何度もあるかもしれません。本格的な高血圧の予備軍と考える必要があります。
とはいえ、むやみに血圧を下げるお薬を使うと血圧が下がり過ぎて調子を崩してしまうことも。まずはなんといっても塩分を減らす食生活や適度な運動といった、基本的な生活習慣の見直しが必須なのです。
ちなみに、白衣は確かに“(注射など痛いことをしたり、生活習慣など耳に痛い話をする)怖い先生”の印象があって、血圧を上げる要素、たしかにありますよね。とくに小さなお子さんは、白衣を見ただけで泣き出すことも少なくありませんから、小児科のドクターは、白衣を着ずに診療する先生もおられますね。先日の「おでかけしんしん」で医師のユニフォームが紹介されていましたが、最近は、かわいい色のスクラブを着て診療にあたるドクターも多いです。
◆白衣より危ない?「仮面高血圧」
ではでは、「仮面高血圧」とは? これは、白衣高血圧の真逆の現象。ふだん血圧が高いのに、診察室の測定では血圧が低めに出る場合です。うーん、つまりは診察室でかなりリラックスできているということなのか? ただ、仮面高血圧の方がふだん高血圧の状態が継続しているということですから、治療が必要なことが多いです。
白衣高血圧も仮面高血圧もいずれも生活の様々な場面で、血圧の変動が大きいというのが共通点です。血圧の変動が大きいことそれ自体が、血管の壁にダメージを与える危険因子です。
大事なのは、家庭でもこまめに血圧をチェックすること。今は、比較的安価で高性能の家庭用血圧計もたくさん販売されています。体重計だけでなく、血圧計も一家に一台ご用意を!
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投稿者プロフィール
- 趣味は読み書き全般、特技はノートづくりと図解。一応、元バレリーナでおしゃべり(おえかき)病理医。モットーはちゃっかり・ついで・おせっかい。エンジニアの夫、医大生の息子、高校生の娘、超天然の母(じゅんちゃん)、そしてまるちゃん(三歳♂・ビション・フリーゼ)の5人+1匹暮らし。
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