ふしぎな医学単語帳
ふしぎな医学単語帳 COLUMN
2022.11.28
2022.11.28
もやもやしている「もやもや病」
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もやもや病は、脳の血管に異常をきたした病気です。脳の血管を映した画像で、たくさん増えた細い異常な血管の網目が煙草の煙のようにもやもやして見えることから名づけられました。別名は、「ウィリス動脈輪閉塞症」。ウイルスじゃなくて、ウィリスですよー。

ウィリス動脈輪というのは脳の底で、内頚動脈という血管をはじめとしたいくつかの太い脳血管がお互いに連絡しあい、ロータリーのようになった場所をいいます。脳の隅々までしっかり血液を送るような仕組みになっているのですが、もやもや病の患者さんの場合は、このロータリーが作られず、代わりに小さな脇道のような血管がたくさんできるのです。この異常な血管は破れやすかったり、つまりやすかったりします。血管が破れると脳出血を起こしますし、つまってしまうと失神などの発作が起こります。

日本人に多いこの病気は、「ウィリス動脈輪閉塞症」と「もやもや病」ふたつの病名がつけられそれぞれ別の日本人ドクターによって報告されたのですが、「もやもや病」の方が世界的に広く知られることとなり、もやもや病の方がメジャーな名称に!海外でもなんと「Moyamoya disease」と言われています!日本のオノマトペがそのまま世界的な病名になった数少ない病気です。

おまけ:「モヤモヤ」と発音できない外国人が多いとか。モィアモィア、モワイアモワイア、モジャモジャなどと発音される場合もあるらしい。それはそれで雰囲気出ていると思いますが…。

難病情報センター「もやもや病(指定難病22)」
https://www.nanbyou.or.jp/entry/47

投稿者プロフィール

小倉 加奈子
小倉 加奈子
趣味は読み書き全般、特技はノートづくりと図解。一応、元バレリーナでおしゃべり(おえかき)病理医。モットーはちゃっかり・ついで・おせっかい。エンジニアの夫、医大生の息子、高校生の娘、超天然の母(じゅんちゃん)、そしてまるちゃん(三歳♂・ビション・フリーゼ)の5人+1匹暮らし。