医学に効くほん!
医学に効くほん! COLUMN
2022.11.24
2022.11.24
独学の反対語は、通学!『独学の教室』
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「独学」と聞くとどんなイメージが浮かぶでしょう? 「独学で英語をマスターしました」とか、「独学で超難関大学へ入学!」とか聞くと、アタマが良さそうだし、誰ともつるまない孤高で非凡な感じがカッコいいと思うのは私だけかなぁ。

独学の対義語は「通学」です。つまり、学校に通って勉強することは独学の正反対ということ。中高生のみなさんは、独学をするには「恵まれない」境遇にあるといえるかもしれません。通学では、時間割は決まっているから、どんなに気持ちがノッていなくても、時間が来れば授業がはじまるし、先生は選べないし、準備不足でも定期テストや模試が容赦なくやってきます。みんなで学ぶことのメリットは大きいけれど、通学は不自由で、独学は自由な感じがしますね。

コロナ禍を経て、日本では独学がひそかなブームになっているようです。どうやら人間というのは、学ぶ環境がしっかり整っているときほど、学ぶ気持ちが起こらず、そういった環境が過ぎ去ってから学ぶ意欲が増すものみたいです。だいたいオトナになると勉強したくなるものなんです。とはいえ、最近、オンライン授業やオンデマンド授業が導入され、通学の既成概念もどんどん変化して、独学っぽくなっているような…。そんなご時世、この本は必読だと思います。

『独学の教室』は、14名の様々なジャンルの“独学エキスパート”が独学とはなんぞやを語る本で、それぞれの独学の方法が惜しげもなく紹介されています。帯には、「一緒に独学、しませんか。」の誘い文句。

その中でも「独学は失敗します」「苦しい学びは続かない」と断言する経済学者の柳川範之先生のお話が心に残りました。柳川先生は、お父様の仕事で海外暮らしが多く、高校に通わずに独学で慶応義塾大学の通信過程を受講し、現在はなんと東京大学の教授。

柳川先生は、独学は失敗の連続で3割成功すれば上等。三日坊主もオッケーといいます。新年を迎えるたびに日記をつけ始めて、三が日で終わったとしても、10年経てば10年分の『三が日日記』となって、何もしないひとより立派な記録を作れると超ポジティブ。計画や達成度に縛られず、自由に迷ったり寄り道をしたりして、知ることそのものに喜びを感じることが大事とおっしゃいます。真面目になりすぎるのは禁物と柳川先生。でも、このアドバイスって独学だけではなくて通学にも通用しそうですよね。

『独学の教室』では、学ぶジャンルも多岐にわたります。数学や英語のようなザ・お勉強!的なものから、犬ぞりで冒険する方法や漫画の描き方など、学ぶことは学校の科目の枠を飛び出ています。

みなさんも、わくわくすることをとっかかりに学校でのお勉強から離れた独学ワールドを体験してみるのはいかがでしょう? 映画だって、K-POPだって、アカペラだって、サッカーだって、料理だって、独学は自由なのですから、自分の「好き」を大事に情報を集めたり、練習してみたり、色々試みてみればいい。そして、柳川先生おっしゃるように、そこから自由に迷ったり寄り道したりして、別のジャンルにはまったら楽しいですし、思いがけず、学校の科目とつながりが見いだせたら、学校の勉強も楽しくなるかも!通学と独学を並走できたら無敵です!

おしゃべり病理医の私がはまっている独学ジャンルは、イラストです。顕微鏡で細胞を観察しながら、新しいLINEスタンプのネタを考えるのが楽しいんですよ~。

投稿者プロフィール

小倉 加奈子
小倉 加奈子
趣味は読み書き全般、特技はノートづくりと図解。一応、元バレリーナでおしゃべり(おえかき)病理医。モットーはちゃっかり・ついで・おせっかい。エンジニアの夫、医大生の息子、高校生の娘、超天然の母(じゅんちゃん)、そしてまるちゃん(三歳♂・ビション・フリーゼ)の5人+1匹暮らし。