手足口病。みなさんはご存じですか? 発熱の後に、口の中、そして手のひらや足の裏などに痛みを伴うぶつぶつが出てくる夏の感染症です。主にコクサッキーウイルスというウイルスに由来するもので、お子さんに多い病気なので、お父さんお母さんは知っている方も少なくないと思いますが、おとなの方も罹る感染症です。しかも、おとなも子どもも時に重症化する場合があり、要注意な病気です。
私もふたりの子どもたちが幼かった頃は、この手足口病をはじめ、ヘルパンギーナ、プール熱などなど、様々な感染症を子どもから次々ともらって親としての洗礼を受けました。特に夫が手足口病になったときは、かわいそうなほど重症化し、特に口の中の発疹がひどく、水もろくに飲めないほどになりました。げっそりしたパパの顔。今でも思い出されます。
先日のワークショップで登壇した救急医ほっちくんと病理医しんしんカップルもお子さんふたりから、今夏、手足口病をもらい、救急医ほっちくんは、手のひらにたくさんできたぶつぶつが破れて痛みも強く、やはりつらそうでした。
手足口病おそるべし! この夏は、手足口病が大流行しており、みなさんもどうか気をつけてくださいね。基本は、やっぱり丁寧な手洗いです。
◆良いネーミング♪
それにしても小児の病気は、なかなか良いネーミングが多いですね。手足口病は、その名前の奇抜さから一度聞いたら忘れませんし、手・足・口と、症状が出るところが列挙されているのもわかりやすい。ちなみに、英語表記もそのまま、「Hand, foot and mouth disease; HFMD」といいます。英語だとちょっと長くて言いづらい?
いったいどなたがこの病名をつけたのでしょう?
手足口病が最初に報告されたのは、1957年、カナダとニュージーランドで見つかった症例で、その後1960年に同様の症状をきたす疾患をまとめて、Thmas Henry Flewett先生が、「Hand, foot and mouth disease; HFMD」という言葉を使って報告しました。元祖の英語名より日本語名の方がしっくりくるように感じるのは、私だけでしょうか…?
◆夏の感染症は熱中症との鑑別も必要
夏では、どの感染症なのかということに加えて、熱中症との鑑別がとても大事です。熱が出たり、だるかったりと、特に初期の症状は感染症と熱中症で似ているため注意が必要です。熱中症対策をしつつ、もしも調子が悪い場合は、早めに医療機関に受診することが大事です。
今夏は、手足口病を含んだいわゆる夏の感染症に加えて、新型コロナウイルス感染症の大流行が重なっています。どうかお気をつけて!
◆参考文献◆
手足口病のページ|感染症関係|健康|国民のみなさまへ|日本医師会 (med.or.jp)
広報誌『厚生労働』2024年7月号で夏の感染症対策について特集しています。
投稿者プロフィール
- 趣味は読み書き全般、特技はノートづくりと図解。一応、元バレリーナでおしゃべり(おえかき)病理医。モットーはちゃっかり・ついで・おせっかい。エンジニアの夫、医大生の息子、高校生の娘、超天然の母(じゅんちゃん)、そしてまるちゃん(三歳♂・ビション・フリーゼ)の5人+1匹暮らし。
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