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レッツMEditQ COLUMN
2024.11.25
2024.11.25
七並べで応急処置? 診断大喜利? 花粉症に花束を? 【MEditカフェ・SCORPIO開催】
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MEdit Lab ワークショップ「医学をみんなでゲームする2」は12月21日(土)のクロージングイベントを控え、佳境を迎えています。

11月16日(土)、イベント前最後のリアルワーク「MEditカフェ・SCORPIO」が開催されました。12のQすべてが出題され、ここまで順調に回答してきた方の中には、実際、自分でゲームを試作し遊んでみながらゲーム作りを進めている方も!

今回のMEditカフェは、そんなむちゃ頑張っているみなさんに自作のゲームを持ち寄ってもらい、みんなでわいわい楽しく遊びながら、さらにどんなふうに改良していくとゲームが面白くなるか、知恵を寄せ合おうという趣旨のもとで、開催されました。

今回も、高校生、医学部や国際教養学部の大学生、教員、図書館司書、ドクター、ゲームエディター等々、これぞ多様性!のメンバー集結です。なんと6つも試作品が集まり、開始早々、順番にテストプレイしていきましたが、ぶっ通し4時間半の会になりました~!

◆必須アミノ酸ゲーム by. 図書館司書のしゅうぜさん

まずは、図書館司書のしゅうぜさんの必須アミノ酸ゲーム!必須アミノ酸は9種類あるのですが、そのうち6つ以上を手元にいち早く集めた人が勝ちというゲームです。でも、そのためにはアミノ酸が含まれる食材を食べる必要があります。

▲しゅうぜんさんの綺麗な字が書かれたシンプルなカード。試作品はデザインを凝る必要はありません。試作品は簡単に作り変えられる簡素なものほどいいと、プロのゲーム作家、米光一成さんも

食品成分表で調べながらゲームを試作したというしゅうぜさん。ゲーム開始前は心配そうにしていましたが、とっても楽しいゲームで、食品に含まれる栄養についても話題が広がります。

「しらす干しって万能だね!」「ブロッコリーってアミノ酸入ってるの?」

「なかなかしらす干しカードが来ないなぁ~」

6枚の必須アミノ酸カードを集めるのはかなり難しく、テストプレイの結果、ゴールの条件の枚数を減らしてみる、また、プレイヤー同士が相互にやり取りができるルールを追加する、プレイヤーの特性(スポーツ選手など)によって集める必須アミノ酸カードを変える、などなど、さらに面白いゲームになる改良案が出ました!

▲高校生のはるちゃんよりはしゃいでいるおしゃべり病理医

◆応急処置ゲーム「ならべいど」 by. MEditネームはるちゃん

次は、高校生のMEditネーム、はるちゃんのゲーム。タイトルは「ならべいど」。 “なら”は、七並べから、 “べいど”は、治療を意味する接尾語である「-aid」から。応急処置というテーマと七並べというゲーム形式をかけ合わせたゲームがそのままネーミングの要素になっている、おしゃべり病理医イチオシのゲームタイトルです。

▲このゲームはチーム対抗戦!お菓子を真ん中において2チームに分かれます

しゅうぜさん同様、はるちゃんもちょっと心配そうな顔でゲームを説明していきます。でも、大丈夫!はるちゃんは、応急処置の正しい順序をしっかり調べ学習してきて、それを「応急処置カード」に反映してくれていました。

ゲームは、症例カードをランダムに引きながら進んでいくのですが、症例に応じて、七並べの要素で、適切な応急処置になるよう応急処置カードを並べていくというチーム対抗戦。しかもタイムトライアルなため、焦る感じも実際の救護活動の雰囲気と通じるものがあります。スピード要素をはらんだ七並べという感じでしょうか。

▲チームであれこれ意見を交わしながら傷病者を救え~!とカードを素早く選んで並べていく

こちらのゲームも、あいまいな表現で迷いが出てしまうカードを変更する、応急処置のために代用できるアイテムカードの中に、中高生がふだん持ち歩いているものを増やし、より実践的な技能を身につけられるようにする、などなど医学ゲームとしてレベルを上げていくようなアイディアが出ました! 保健体育の授業でぜひやってみたい。

◆多職種医療連携ゲーム「Ent!」 by. 病理医しんしん

ワークショップ主催者側の私たちもゲームを制作中。病理医しんしん考案の多職種医療連携ゲーム「Ent!」。Entというのは、業界用語で“退院”を意味します。受け持ちの患者さんの診療に必要な職種を集めて医療チームをつくり、なるべく早く患者さんを退院させたら勝ち、というゲームです。

▲意外と知らない医療職。職種一覧(字が小さすぎて改良の余地大)とみんなにらめっこ

医療現場には、実に様々な医療スタッフがいますが、みなさんはどのくらい言えるでしょうか? 医師、看護師、薬剤師…、あたりで止まってしまう方も少なくないのでは? このカードゲームは、様々な医療スタッフがどんな仕事を担当しているのか、遊びながら学べるようになっています。

▲しんしん作のお手製いカードだけにパンダがいたるところに…

病理医しんしんが作っているだけあって、医療スタッフカード以外のスペシャルカードも妙にリアル。「4月の人事異動」「新病院設立」などで、大事な医療スタッフを引き抜かれたり、集めたい医療スタッフをなかなかそろえるのが難しい。

▲ズッキーニちゃんが勝利!みんなで拍手

ゲームを進めるにあたって、医療スタッフとその仕事内容が一望できる一覧表とにらめっこしていくことで、ゲームが終わるころには自然と医療スタッフについての理解が深まることに…なりそうかしら?

次年度以降のMEdit授業で活用できるようにMEditチームもがんばりたいと思います!

RestRisk by. ふっく船長

お次は、医学生、ふっく船長登場。昨年度から温めている睡眠と生活習慣についてのカードゲーム「Rest & Risk」の改良版を持ってきてくれました。

▲お手製シートを見せながらルールを説明するふっく船長

このゲーム、1週間の睡眠の質と生活習慣の質によって、健康度が上下していくゲームで、最終日に達したときにいちばん健康度が高い人が勝ち、というゲームです。睡眠時間が記載されている「SLEEPカード」の他、睡眠の質を左右する“抱き枕”であるとか“夢”、あるいは“いびき”などの「ITEMカード」そして、身体を動かしたか、仕事をどのくらいしたか、などの「EVENTカード」の3種類があります。

▲ふっく船長お手製カード。かわいいし、上にポイントが記載されておりなかなかの高機能。左からEVENTカード、ITEMカードそしてSLEEPカード

「夕食に発酵食品を食べて、抱き枕と一緒に7時間安眠しました~♪」「お菓子を食べながら、仕事をして徹夜になりました」

▲徹夜続きだったりすると点数がどんどん減る。私の健康大丈夫かしら…?

引いたカードの組み合わせからストーリーを即興で作成して話すのも楽しく、健康度を競うという勝ち負け以外にも楽しみがあるゲームに成長してきました。計算が複雑なことなど、楽しみを邪魔しそうな要素をうまく軽減し、さらにみんなが楽しみながら睡眠の質について理解を深められるよう改良を進めるふっく船長。楽しみです。

◆クロス・プレゼント by. いしがみさん

そして、満を持して登場! ゲームマーケット2024秋会場から、直行してお越しくださったゲーム会社のいしがみさん。AIに作らせた、というイラストつきのとても素敵なカードを持ってきてくださいました。さすが~!

▲すっくと立ちあがったいしがみさん。ゲームマスターとしてルールを説明

基本的には、プレゼントを贈り合い、それが得点になっていく、という一見とってもハッピーで平和なゲームなのですが。裏テーマが花粉症と交差反応!という驚きのゲームになっています。交差反応とは、その花粉と似たような分子構造を持つ別の物質がアレルゲンとなってしまうことをいいます(以前、連載コラム「ドクターほっちの救急箱」で説明したことがあります)。花粉症を発症するとその花粉と交差反応を起こしてしまうお花や果物をプレゼントでいただくと症状が勃発!ポイントが減ってしまうというわけです。

▲お手製カードたち。ゲーム進行をサポートする指示が明示されておりわかりやすい仕様

プレゼントを渡したひとに悪気はない、はず…、なのですが、予期せず相手を病気にしてしまう? なんとも悩ましい事態に。花粉によっては、様々な果物やお花と交差反応を起こすものもあり(それが何かはネタばれのためここでは言えません!)、「この花粉っておそるべし!」と花粉症への理解が深まります。

▲AIが描いた図柄が入ったカードたち。プレゼントカード、花粉カード、花粉症カード

同じ花粉カードを5枚以上集めると、少量感作療法のように、花粉症を治すこともできるルールも追加され、実際の花粉症にまつわる症状や原因にとどまらず、治療についての理解も深められます。

▲色々話し合って作戦を練っている高校生チームのふたり

2名ずつ、5チームで戦うことに。ゲーム終了時に手元にプレゼントが残っていると減点されるルールがあるため、とにかく誰かにプレゼントをあげたい。さぁ~て、誰にプレゼントをあげようかなぁ~。

▲症状カードが積み重なっていく。花粉症の重症化が半端ないこまるさん&おしゃべり病理医チームの悲惨な状況

こまるさん&おしゃべり病理医のチームは、最終的に3つの花粉症を発症し、ありとあらゆるものと交差反応を起こして症状のオンパレード。つらいことになりました。

こちらのゲームは、かな~り完成度が高く、これといった改良点が見つからなかったのですが、むしろ、いしがみさんのカードづくりをみながら、こういうふうな記載を入れておくとゲームしやすいんだ!と色々学ばせていただいたのでした。

◆診断名の大喜利! by. こまるさん

そして、ラストバッターこまるさん!5作品のテストプレイを終えて、だんだんナチュラルハイになってきた参加者。こまるさん考案のゲームは、疾患を名づけるゲーム!患者役になったプレイヤーが症状カードを読み、ドクター役になった人が、それまでの病名について回答できたら、ポイントをゲットでき、かつ、新しい名前を付けていく、というリレー式のネーミング大喜利です!

▲疾患カード。疾患の説明ともに、〇がいくつか空いた病名が。この〇に文字1つをあてはめながら新たな名前を考えるルール

「あ、この疾患ね、これね、今までは“じんま疹”って言っていたんですけど、最近、学会が新しい名称に変更しましてね、今は、“すんま疹”って言うんですよ~」

▲ドクター役が回ってきたしんしん。必死で病名を即興で思いつきながら病気について語りまくる。笑顔で見守るTくん

それぞれドクターっぽい口ぶりで堂々と新しいネーミングを発表(笑) みんながやたらとドクターっぽく偉そうに、新しい病名を発表するのがなんとも楽しく、大盛り上がりのままお開きとなりました!

ふ~、だいぶ長文のレポートとなってしまいましたが、当日の熱気と興奮、感じていただけましたか?

ゲーム作りの面白さを存分に堪能できたMEditカフェでした。ワークショップ内で予定されていたMEditカフェはこれで終了ですが、来年以降も月1回、だれでも参加できるカフェとして継続していく予定です。

また、ご案内を出しますので、お楽しみに♪♪

投稿者プロフィール

小倉 加奈子
小倉 加奈子
趣味は読み書き全般、特技はノートづくりと図解。一応、元バレリーナでおしゃべり(おえかき)病理医。モットーはちゃっかり・ついで・おせっかい。エンジニアの夫、医大生の息子、高校生の娘、超天然の母(じゅんちゃん)、そしてまるちゃん(三歳♂・ビション・フリーゼ)の5人+1匹暮らし。