インフルエンザが猛威をふるっています。今回のおしゃべり病理医スタンプ図鑑は、最前線でウイルスを食い止める仲良し細胞たちを紹介しましょう!
ぴったりと寄り添う細胞たち。それもそのはず。彼らは、気管支の粘膜を覆う上皮細胞たちです。上皮細胞とは、 “外界と接する細胞”を意味します。外界と接するということはありとあらゆる病原体と出会う機会が多いということですから、隣り合う細胞がぴたっとくっつきあって仲良く寄り添いながら病原体の侵入を防ぐ必要があるんですね。
◆気管支には毛がいっぱい
気管支上皮細胞には、いくつか種類があります。
まず、線毛細胞。文字通り、表面にふさふさと毛の生えた円柱状の細胞で、鼻や口から流れ込んできた病原体などの異物をぶんぶんと毛を波打たせることで外へと排出する役割を担っています。これが気管支上皮の大部分を占めています。
この線毛上皮の間に時折、認められるのが杯細胞です。まさに「杯(さかずき)」のように、深いところが細くて表面に向かってぷっくりした形をした逆三角形の細胞(ちょっとカクテルグラスっぽい?)です。細胞質でたくさんの粘液をつくり、分泌します。粘液は、ねばっこい性質を持つだけでなく、分泌型IgAという免疫グロブリンを含むすぐれもの。線毛は、この粘液にひたひたと埋もれており、粘液は、線毛とともに病原体が容易に細胞に侵入したり、肺の方へ流れ込むのを防いでいるのです。
他にも線毛上皮や杯細胞になる手前の赤ちゃん細胞と考えられている基底細胞も含まれています。
◆鼻の中にも毛がいっぱい
ところで、この線毛上皮ですが、気管支よりもずっと口側、正確には鼻側の粘膜に続いています。上咽頭と呼ばれるのどの奥の粘膜から、鼻の粘膜の途中まで、この線毛上皮によっておおわれているのです。
鼻には、鼻毛がびっしり生えていますが少し奥に行くとミクロの鼻毛、つまり線毛がびっしり生えていて、病原体を外に押し出しています。鼻の中にはマクロとミクロの毛がいっぱいなんですねー。病原体がめでたく感染を成功させるためには、この毛だらけの領域を乗り越える必要があるのです。私たちにとっては、鼻毛さまさま、線毛さまさまです!
ちなみに、おしゃべり病理医は、副鼻腔炎持ちということもあり、インフルエンザをはじめ様々な感染症予防のために、毎日鼻うがいをかかさずにやっています。線毛が頑張って鼻の方まで押し戻してくれた病原体をたくさん含む鼻水。時に粘り気が強くて容易に外に出せない場合でも、鼻うがいなら簡単に洗い流せます。徹底的に感染症予防をされたい方は、とってもおススメですよ!(ただし、正しい鼻うがいをしないとかえって病原体いっぱいの鼻水を奥に押し込むようなことになるため、注意が必要です)
最前線で私たちのからだを守ってくれる仲良し細胞、そして線毛や鼻毛。時に鼻うがいでアシストしてあげながら、この冬を乗り切りましょう♪
〈参考URL〉
正しい鼻うがいのやり方と危険性を回避する5つのポイントについて紹介 – 鼻のお悩み相談室 ‐ はなナビ –
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投稿者プロフィール
- 趣味は読み書き全般、特技はノートづくりと図解。一応、元バレリーナでおしゃべり(おえかき)病理医。モットーはちゃっかり・ついで・おせっかい。エンジニアの夫、医大生の息子、高校生の娘、超天然の母(じゅんちゃん)、そしてまるちゃん(三歳♂・ビション・フリーゼ)の5人+1匹暮らし。
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