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レッツMEditQ COLUMN
2024.05.20
2024.05.20
すごろくやさん訪問♪【MEditカフェ第4回】
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5月15日 順天堂創立記念日。おしゃべり病理医としんしん、そして、前回、生まれて初めて遠足を病欠したという、医学部4年生のふっく船長は、東中野駅にほど近い、日本有数のボードゲーム会社「すごろくや」さんの本社を訪問してきました。ゲームマーケット2024春の遠足に続き、今回のMEditカフェは社会科見学です!

会社の看板にはサイコロを持ったキャラクターのねずみくん

わたしたちを出迎えてくださったのは、おふたりの女性社員さん。それぞれテレビゲームの制作会社やおもちゃ会社から、ボードゲーム世界に飛び込んだのだとか。ボードゲームマスターのおふたりの手ほどきを受けながら、様々なボードゲームを試遊させていただきました。

ご用意くださっていたボードゲームの数々

◆ゲームその1「犯人は踊る」

トップバッターは、「犯人は踊る」。たった1枚の犯人カードが、全員の手札から手札へと秘密裏に巡る中で、その所在を推理しながら犯人カードの持ち主を当てるゲームです。犯人を言い当てる権利のある探偵カードもその他のカードもすべて犯人カード同様にプレイヤー間を巡るため、事態は刻々と変化していきます。“移動する人狼”という感じでしょうか。カードごとにその特色が簡単に説明されているため、小学生でも楽しく遊べて、学童ではひそかなブームだとか。

イラストが奥さま、ルールづくりは旦那様担当で制作された「犯人は踊る」

おしゃべり病理医は、しょっぱなから手持ちのカードに「探偵」と「犯人」の両方が揃っており、「これ、どうしたらいいの?」と動揺しつつも、すぐに作戦を思いついてにんまり。自分の左隣の人に1枚好きなカードを押しつけられる「情報操作」カードで「犯人」をしんしんに押しつけ、即座に、次のターンで「探偵」カードを発動させ、「あなたが、犯人です!」と名指ししてスピード勝利!

大人げない勝ち方をして、しんしんに嫌われたかもしれない…と思いつつ、次のゲームへ。

◆ゲームその2「金庫破りのジギ」

お次は、ドイツゲームの復刻版「金庫破りのジギ」で遊びました。自分が引いたカードの数字が場のカードの数字より高いか低いかを当てるというシンプルなゲーム。数字は1~52までで、場のカードが小さかったり、大きかったりすると当てやすいのですが、そうはいっても運ゲーです。当たれば、その山のカードをごっそりもらうことができます。

やや前のめりになりながら賭けまくる、水色のシャツが眩しいふっく船長。

ギャンブラー気質?のふっくちゃんは、やたらと強気に攻めまくり、ハイ&ローを繰り返しながら他のプレイヤーを圧倒し、ぶっちぎり勝利。やっぱり若いって強いなぁと運を力強く信じるふっくちゃんの歩みに感嘆の溜息をもらすお姉さまたちでした。

◆ゲームその3「街コロ」

さて、お次がメインディッシュ。世界中で大人気の日本発のボードゲーム。自分の番、他人の番で振られるサイコロの出目を予想しながら、より多くのお金が受け取れるように様々な施設カードを購入していき、自分の街を発展させ、大型施設4つをいち早く完成させたプレイヤーが勝ち、となるゲームです。

みんなでゲームの進め方の確認。どういう作戦で行こうかな?

最初は、麦畑と1件のパン屋、そしてコイン3点分からスタート。

カードの上に記載されている数字は、サイコロの出目。数に応じてコインがもらえたり他の人からもらえたりする。コインの数が倍になるような施設同士の連携(例:牧場とチーズ工場など)ルールもあるため、街づくりはより戦略が必要に

サイコロを振り、出目に応じたカードの指示にしたがいコインのやり取りが行われた後、お買い物タイム。しんしんは、SDGs的な方針を立てたのか、森林やリンゴ畑をたくさん所有する作戦に。おしゃべり病理医はコインが少しでも溜まるたびに、様々な施設や集めるべきランドマークタワーを躊躇なく買っていく、積極投資型作戦に。

満足気なポーズをとるおしゃべり病理医

たまたま、サイコロ運が絶好調だったため、施設を購入しても収入が滞ることなく、街を順調に発展させたおしゃべり病理医が勝利して、ゲーム終了となりました。

◆ゲームその4「ディクシット Dixit」

いよいよ最後のゲーム。これは、2010年にドイツ年間ゲーム大賞を受賞したフランス産のゲームだそう。そういうウンチクを聞くと、デザインがフランスっぽい気がしてきます。抽象的な絵画カードに好きな名前をつけ、自分のカードを当ててもらうというルールです。

名前をつける「語り部」役のプレイヤー以外は、語り部がつけた名前に似ている自分の手持ちのカードを場に出し、それがダミーとなります。語り部のカードは他のプレイヤー全員に当てられても、あるいは全員ハズレでも点数は0となってしまうため、絶妙な感じの名前をつけないと勝つことができません。

「語り部」の番のふっく船長が、『ハッピー・バースデー』と名づけた、手前右側の木が花束を持っている絵画。他の絵画カードは、他のプレイヤーがそれぞれ自分が持っている中でいちばん、ハッピー・バースデーっぽいものを選んだいわゆるダミー。どの絵画も抽象度が高くて不思議な世界観を有しているため、いろんな発想が混ざり合ってどれも若干、ハッピー・バースデーに見えてくる

このゲームは、與那覇潤さんと小野卓也さんの『ボードゲームで社会が変わる』という本でも紹介されていて、しんしんもおしゃべり病理医もずっとやってみたいなと思っていたゲームでした。実際、遊んでみると「語り部」は、なんとなく自分の感性や好みが晒される感じがしてちょっと照れるものだったので、もしかしたら、シャイな方は苦手かもしれないと思いました。私たちは、少し遊んだだけですっかりお気に入りに。ルールの中に、プレイヤーごとの感性が響き合う余地があって、他に類を見ない奥深いゲームだなと感心してしまいました。

◆番外編・トランプ遊び

すごろくやさんでは、社長の丸田康司さんが世界各国のトランプや紙とペンで遊ぶゲームを調べてまとめた本を出しています。ババ抜きや七並べ、セブンブリッジなど、日本でメジャーな遊び方は、トランプ遊びのごくごく一部で、世界中ではもっとたくさんの遊び方があるということで、今回は、本の中で紹介されているいくつかのトランプ遊びも教えていただきました。

イラストがかわいい二冊のゲーム30選シリーズ。『大人が楽しい紙ペンゲーム30選[改訂版]』の方は近日中(5/30日)に発売!

左:すごろくや『大人が楽しい紙ペンゲーム30選[改訂版]』スモール出版
右:すごろくや『大人が楽しいトランプゲーム30選』スモール出版

どこを開いてもページが安定して開くように装丁が工夫され(読みすぎて開きグセができたわけではありませーん)、読みながらゲームがしやすい。なんて親切!

発売直前の『[改訂版]紙ペンゲーム30選』も紹介していただきました。紙ペンゲームは、災害時の避難所など、モノが無いところでも気軽に遊べるものとして注目されだしており、アナログゲームの奥深さを感じます(スマホゲームはバッテリーがゼロになったら遊べませんものね)。

別売りですが、すごろくや特製のトランプも。小ぶりでお子さんや女性が持ちやすいサイズ。しかも、真ん中に大きく数字が書かれて、見やすい。キャラクターのねずみくんが登場しているカードもあってかわいい

社員さんのおふたりに名作ばかりタイプの異なるゲームを紹介していただき、とっても楽しく遊んで、大満足の3時間でした。與那覇潤さんが『ボードゲームで社会が変わる』の中でもおっしゃっていたように、ゲームはプレイしている間だけの束の間とはいえ、一種の共同体を出現するインフラになります。今回は、そんな誰しもが仲良く協力できる場づくりをお手伝いしてくれるボードゲームの魅力を再認識した社会科見学となりました。

ボードゲームと医学、ボードゲームとリベラルアーツ、まだまだボードゲームをツールとして学べることはたくさんありそうで、わくわくしました。

最後に集合写真をパチリ

すごろくやさん、ありがとうございました!いつかすごろくやさんから医学ゲームを販売していただけるよう、私たちも遊びながら研究を続けたいと思います!

投稿者プロフィール

小倉 加奈子
小倉 加奈子
趣味は読み書き全般、特技はノートづくりと図解。一応、元バレリーナでおしゃべり(おえかき)病理医。モットーはちゃっかり・ついで・おせっかい。エンジニアの夫、医大生の息子、高校生の娘、超天然の母(じゅんちゃん)、そしてまるちゃん(三歳♂・ビション・フリーゼ)の5人+1匹暮らし。