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2025.01.27
2025.01.27
お風呂に入れない先生?「先生のお悩みカルテ・広尾学園中学校MEdit授業」
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「どうしてもお風呂に入れなくってしまうんです…」

そう呟いてため息をついたのは、広尾学園のM先生。真剣にM先生のお悩みに耳を傾けているのは中学生。いったいどういうことになっているのでしょう?

2024年12月23日、クリスマスイブイブのこの日、MEdit授業・冬の部が広尾学園で開催されました!広尾学園では、10月に高校2年生だけを対象とした「乳癌診療体験セミナー」という、研修医もびっくりの超絶難易度の高い医療セミナーを開催していますが、7月と12月に中学生向けのMEdit授業を開催しています。

広尾学園の先生方は、MEdit Labの活動に深い理解があり、MEdit授業も基本的には広尾学園の先生方がテーマを設定し、授業プログラムや進行も進めてくださいます。私たちはゲストとしていつも参加させていただいています(ありがたや~!)。

今回のMEdit授業は、MEdit Labの教材「おしゃべり病理のMEdit Lab 医学×編集で世界を読む」の[医学×読書ワーク]の中から、「先生のお悩み相談をカルテに書く」というワークをチョイス。先生方の日ごろのお悩みを中学生のみなさんがドクター役となって問診し、カルテにまとめつつ、先生のお悩み相談に応えていく、というなんとも素敵なワークです。

いつもは生徒さんのお悩みに答える側の先生方もちょっと嬉しそう、そして恥ずかしそうにしているのがとってもほほえましい。今回も5名の先生方が“患者さん役”となって協力してくださいました。冒頭のM先生もそのおひとり。さて、先生方のお悩みはいかに?

◆先生方のさまざまなお悩み

5名の先生方のお悩みは実に多様でした。

・他人に厳しく、ややパワハラっぽくなってしまう年上の部下の女性にどう接するか(中学生がこたえるには大変難しいお悩みかと思いました)

・生徒に厳しくできず、つい友達っぽくなってしまう。先生として生徒となれ合いにならないようにするにはどうしたらいいか(クリスマスシーズンのため、おふざけモードのメガネをかけてきたお若い先生。そのふざけたメガネが原因ではないかとツッコミを入れたくなりました)

・猫背で肩こりがひどい(リアルな症状を生徒さんに訴えすぎではないかしら?)

・言葉の遣い方などが異様に気になりつい指摘してしまう癖がある(という国語の先生。なるほど…)

そして、M先生登場!

・最近、お風呂に入れなくなってしまいました(これがいちばんドキッとするお悩みでした)

◆カルテの書き方「SOAP」とは?

「医学×読書」の動画教材を見たうえで、問診の方法とSOAPについての説明を聞いた生徒さん。私たちからも補足で、いくつか問診を進めていくうえでのコツをお伝えしました。大事なことは、「患者さんにたくさん話してもらうこと」。様々な角度から質問をして、お悩みの背景の要因なども聞き出せたらいいですねとお話しました。

さすが広尾学園の生徒さん。問診がスタートすると、様々なお悩みに対して、HOWやWHYを意識しながら質問を重ね、先生から色々なお話を聞きだしていきます。時に、過去の出来事についても質問し、トラウマ体験まで聞き出すグループも!素晴らしい問診ぶりです。

さて、これらをどうカルテに記録していくのか。ここで登場するのが「SOAP」。医師が毎日活用するカルテの記載方法です。SOAPはいずれも頭文字で、以下のように自分が得た情報、そしてそれに基づいて考察したことなどをしっかりと分けて記録する方法です。

S: subjective 主観的情報:患者さんの訴え(先生の話したこと)

O: objective 客観的情報:診察や検査結果(先生を観察して感じたこと)

A: assessment 評価:SとOを踏まえた考察、鑑別疾患(先生のお悩みを病名にしてみる)

P: plan 計画:今後の診療計画・方針(先生のお悩みの解決策)

生徒さんも先生方のお悩みを聞き出しつつ、少しずつカルテに情報をまとめていきます。

◆生徒さんの驚くべきアドバイス!

最終的に、SOAPすべてを仕上げたところでグループごとに発表!生徒さんはいったいどんな病名をつけ、そして解決方法を考えてくれたのでしょうか。

──パワハラっぽい年下の部下に悩む先生に対して

生徒さんの回答:「優しく受け止めすぎ病」部下の方に寄り添いすぎるのではなく、パワハラ的な行為に対し、イエローカード的に少しずついけないことだということ伝えていくのが良いととても実践的なお悩み解決法を提案してくれました。

──生徒と距離が近すぎてしまうことに悩む先生に対して

生徒さんの回答:「距離感近すぎ病」お友達を傷つけたかもしれない、という子ども時代の心の傷まで聞き出した生徒さん。授業と休憩時間でけじめをつけて態度を大きく変えると良いのではないかとこちらも大変まっとうな解決法が飛び出していました。

──猫背に悩む先生に対して

生徒さんの回答:「TMSS (to much stress syndrome)」部屋の中でも和めるよう、観葉植物をはじめとした緑色のものを揃えるなどストレス解消法をいくつか提示してくれました。

──言葉の遣い方のうるさい先生に対して

生徒さんの回答:「語学性過敏症」先生のお悩みに共感しつつ「実は先生、そんなに悩んでいないんじゃ…」とツッコミを入れる鋭い生徒さん。このまま気にすることはないと「経過観察」的ななんとも大人な解決法を提案してくれました。

──お風呂が入れないM先生に対して

生徒さんお回答:「計画脱線型瞬間気落ち症」お風呂が入れないのは親元から急に離れて一人暮らしとなり家事に時間が割かれることではないかと分析。完璧主義者なのではないかという鋭い指摘をしたうえで、理想から外れても自己嫌悪に陥らないよう自分に優しくてしてあげてくださいとカウンセラーのような回答が!!

いかがでしたか。精神科のドクターや臨床心理士さんも舌を巻くくらいの素晴らしいアドバイスの数々。先生方もお悩み解決法を聞いて、とっても嬉しそうな様子でした。

広尾学園のMEdit授業は、医進サイエンスコースの生物担当、岡田奈智先生を中心にどんどん進化しています。これからもとっても楽しみです!