■「婦」から「師」へ 看護は誰が担うもの?
看護師は、人間の五感をフルに使って患者さんのケアにあたる、高い専門知識とスキルを身につけた医療専門職です。
私は、ネーミングがとても気になってしまうタイプで、看護師がなぜ「看護師」という名前になったのか、自分の職業の専門性をふりかえりつつルーツをちょっと調べてみました。
看護師の「看」という字は「手で触れ、目で見て観察する」、「護」という字は防衛、つまり「守るだけでなく悪くならない様に事前に防ぐ」ことを意味します。「師」は、子弟を導く手本となる人という意味や、専門技術を持つ人を指していて、職種によっては「先生」と呼ばれることもあります! ただ、看護「師」となったのはだいぶ最近のこと。以前は、看護「婦」と呼ばれていました。
日本では、1915年に看護婦規則が制定され、「看護婦」という名称が定着しました。この時はまだ「看護は女性に限定された仕事」ということで「看護婦」とされていたのです。
男性に比べて仕事の少なかった女性が、看護婦という職業を確立してきた時代背景も根底にあります。長い間日本の社会では、家事や育児など人の世話は女性が担うべきという固定観念があり「患者を世話する看護行為は女性が行う」というイメージが定着していたのです。
その後、男女雇用機会均等法からの流れで、職業における男女平等という考え方が浸透し、2002年には男女共に「看護師」と統一されることになりました。日本社会の変化で呼称も変遷してきたと考えるとたいへん興味深いです。
■コロナ禍にも通用するナイチンゲールの思想
「看護」はずっと以前から家庭の中で日々行われる身近な行為でした。現代でも家庭の中で熱を出したら、家族の誰かが氷枕を交換してくれたり、食べやすいようにおかゆを作ってくれたりしますね。この「看護」を仕事として確立させた人が、かの有名なフローレンス・ナイチンゲールです。ナイチンゲールは近代看護の礎を築きました。「看護覚え書」において人類史上初めて「看護の本質、看護とは何か」を定義したことで、ナイチンゲールの思想は、現代にも脈々と受け継がれているのです。
例えば、「換気と保温」。「看護覚え書」の中でナイチンゲールは、真っ先に「換気と保温」が患者さんの自然治癒力を高めるために大変重要であると述べています。
コロナ禍を体験し、「三密」も流行語となり、換気が重要であることはすでにみなさんもよくご存じのことと思いますし、体温調節の重要性も低体温が免疫力を下げることなど見聞きされていることでしょう。ナイチンゲールの言葉が、160年以上経った今でも通じるところを考えるとナイチンゲールの偉大さを改めて感じますね。
投稿者プロフィール
- 勇気とガッツと愛嬌で難病を克服し、看護師の道へ。想像力と創造力がモットーで、プログラミングや動画編集もできちゃうアーティスト。愛犬と爆睡してエナジーチャージ。仲良しの妹は臨床検査技師。
最新の投稿
- 2024.04.22I♡ナース医療現場の「ほうれんそう」は難しい。ではどうする?
- 2023.05.25I♡ナースどうして「看護師」って呼ばれるの?
- 2023.01.26I♡ナースMEdit姉妹の姉は、看護師!