■4月はめまい、5月は発熱 月ごとに異なる体調不良
総合診療科の外来をしていると、4月は、めまいや立ちくらみの患者さんが多く、5月に入ってからは長引く発熱を訴えて病院にやってくる方が多くいます。恐らく、6月は梅雨の季節でジメジメしてくるので、頭痛や気だるさ、倦怠感、下痢の症状を訴える人が多くなるんだろうなと予測しています。雨の日や曇りの日に頭が痛い時には、巷の薬局でも手に入る五苓散(ごれいさん)という漢方薬がオススメですよ。
気候が、体調や気分の変化に関連していることは、皆さんも実感があるんじゃないでしょうか。晴れていると前向きになり、雨だとそれだけで憂鬱で身体も重だるい気がするでしょう。東洋医学には、天人合一(てんじんごういつ)という考え方があります。自然界と人は一体であり、人は自然と気候の影響を常に受けているという発想です。
■6月はジメジメ「湿邪」にご用心
では、頭痛や気だるさ、倦怠感、下痢の症状を訴える人が6月に多くなるのは何故でしょうか。6月や7月には、湿邪(しつじゃ)が登場してくると昔の人は考えました。邪に関しては、「コラム よこしまな風・・・?」に風寒邪が登場しましたね。湿邪というのは、わたしたちの胃腸の働きに悪い影響をもたらします。食欲が低下したり、吐き気や下痢をきたします。湿というのはジメジメと下の方に溜まっていくイメージのように、足のむくみが出たり、身体にまとわり付いて全身が重だるく、重だるいような疲れも感じるでしょう。人によってはめまい、立ちくらみ、頭痛も生じます。
■西洋医学でも明らかになった「気圧」の影響
関節の痛みがある人では、痛みが強くなることも知られています。湿邪によって、関節周りに滞りが生じるからですね。2000年の時を超えて、西洋医学でも、こういった気候による身体への影響は徐々に明らかになってきています。2014年には京都大学から「天気が悪化する」ことで関節リウマチの関節症状が悪くなる気象の要素として「気圧」が重要であることが発表されていました。東洋医学のジョーシキは西洋医学のジョーシキではありません。東西のミカタを跨ぐことで、古くて新しい研究を行うことができます。そして、個人がより良い生を送れることに繋がるのではないかと信じています。
投稿者プロフィール
- 生まれも育ちも石川県。地域医療に情熱を燃やす若き総合診療医。中国医学にも詳しく、趣味は神社巡りとマルチな好奇心が原動力。東西を結ぶ“エディットドクター”になるべく、編集工学者、松岡正剛氏に師事(髭はまだ早いぞと松岡さんに諭されている)。
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