夢みる臨床検査技師
夢みる臨床検査技師 COLUMN
2023.06.05
2023.06.05
採血のお作法とは? あなたの知らない採血トリビア
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■安心してもらえる採血のコツ
臨床検査技師の朝は早く、診察前に検査結果を医師に報告するために早朝採血をしています。
早朝採血は、外来診療が始まる30分前に始まります。玄関が開くと、受付を済ませた患者さんが足早に採血室へやってきます。私たち臨床検査技師の朝が始まります。
採血に慣れた様子の患者さんや緊張した面持ちの方とはいえ、針を刺されるという状況を好む人は基本的にいないでしょう。病院で採血をする場合は身体の具合が悪い人がほとんどです。ですから検査技師は、不安や不信感をできるだけ与えないように表情や声のトーン、話すスピードに気をつけて採血準備をします。たとえばこれから採血をされる場面で、担当の医療スタッフが緊張した様子だとこちらも緊張してきますし、不安になってきますよね。採血準備の段階の短い時間でどれだけ患者さんとの関係性を作れるかこれは実際に針を刺した時の患者さんの反応にも影響してきます。
針を刺す血管を探すテクニックもとても大事です。刺す血管がなかなか定まらない様子だと、もっと上手なスタッフが良かったなと思うかもしれません。もちろん、私も新人の頃は失敗も多く、新人であることを察した患者さんに応援される場面や、お叱りを受けることもありましたが、自信を持った態度で臨むことが大事であることを学んできました。落ちついた応対と適度なスピードも採血の成功の秘訣です。
■そんなちょっと?!意外と少ない採血量
ところで、患者さんからよく聞かれる質問がいくつかあるのですが、そのなかでも頻度が高いのが、「この本数だと何mlの血をとるの?貧血になったりしない?」といった質問です。この本数とは採血管のこと。血液検査は様々な検査項目があり、項目によって、血液に混ぜる薬剤や測定する機械が異なるため、採血管も別々にそろえる必要があるのです。
ここでみなさんにもクエスチョンです。写真にある3本の採血管で、合計何mlの採血量になるでしょう?
正解は、10mlです。
小さじ2杯分の量です。この3本は、生化学検査・血液検査・血糖値という基本的な検査の測定に用いられる採血管で、キャップの色は病院によって違いますが、量に大きな違いはありません。多い時でも30mlを超えることは少なく、基本的には15ml(大さじ1杯)の量におさまります。本数に比べて採血量が少ないことに驚く患者さんがほとんどです。
みなさんは予想に比べていかがでしたか?採血される血液量が原因で貧血になることはないので、安心してくださいね。
◆おしゃべり病理医の追伸◆
採血で実際に気分が悪くなる方がおられますが、これは、たくさん血を採られたことによる貧血ではなく、「迷走神経反射」という状態のことが圧倒的に多いです。俗に「脳貧血」といったりしますので、貧血じゃないの?とややこしいのですが、痛みや不安などのストレスによって、血圧が一時的に下がりすぎることで気分が悪くなる病態です。一時的に脳への血流が少なくなり、場合によっては失神してしまうこともあります。横になって少し休まれると気分が回復することも多いです。

投稿者プロフィール

西岡 夢実
西岡 夢実
看護師の姉を追うように医療の世界へ。臨床検査技師国家試験合格後に、緊急検査士、細胞検査士と、専門を極めていくド根性ぶりとふわっとした雰囲気がギャップ萌え。好きなことは映画鑑賞とガチャガチャ。