ミカタの東洋医学
COLUMN
2023.07.17
2023.07.17
ハンドパワーって信じますか?
ハンドパワーって信じますか?
体のどこかが痛いとき、その部分に手を当てると痛みが和らいだり、落ち込んでいる時に背中をポンポンとされたら気持ちも安らぎます。一方で、骨折や捻挫の部位に手を当てると、逆に痛みを強く感じることもあるんじゃないでしょうか。
この違いは何でしょう? これまで「ミカタの東洋医学」では、風邪や湿邪のお話を紹介してきました。東洋医学では、手を当てて痛みが強くなるときにはその部分に何らかの邪がある状態と考え、一方、気持ちがいいときには元気が足りない状態と考えます。
◆がん患者さんの激痛に効いたのは
一人の患者さんを紹介します。末期がんの患者さんで、癌による痛みで苦しんでおられました。それも、ときおり左足をアイスピックで刺されるような激痛です。
西洋医学では痛みに対して、どんな痛みかを細かく聞き、痛みを起こしている原因を突き止めて治療薬を決定していきます。大きな枠組みとして、神経がやられているのか、打撲や打ち身のように炎症があるのか、脳の痛み処理に問題が生じて痛みが出ているのか、これら3つで考えてお薬を組み立てましたが、残念ながら効果が乏しかったのです。
西洋医学では痛みに対して、どんな痛みかを細かく聞き、痛みを起こしている原因を突き止めて治療薬を決定していきます。大きな枠組みとして、神経がやられているのか、打撲や打ち身のように炎症があるのか、脳の痛み処理に問題が生じて痛みが出ているのか、これら3つで考えてお薬を組み立てましたが、残念ながら効果が乏しかったのです。
ですので、わたしは東洋医学の見方を実践してみました。痛いところを触ってて、痛みが強まるのか、弱まるのかかを尋ねることです。患者さんは、触ってみると「あぁ、なんか楽な気がするわ」と。では、さらに聞いてみます。冷やしたときと温めたときにどちらが気持ちいいかを尋ねました。すると「温めたほうが気持ちいいね」とのこと。
東洋医学のミカタとしては、「左足の元気が足りなかった」という結論にいたり、試してみたのがホットパックです。すると、使ったその日からピタッと痛みが止まり、患者さんと一緒に握手して大喜びしたのを鮮明に覚えています。
◆元気を補うには、温める!
東洋医学では、元気が足りない状態と思う場所に対しては、「鍼(はり)や艾(もぐさ)を使って温めるお灸(きゅう)」によって外側から元気を補ってあげる方法があります。鍼やお灸のかわりにカイロやホットパックを代用することも一手です。内部からアプローチする場合には、漢方薬も試します。
回し者ではありませんが、勉強疲れの肩こりや腰痛には「火を使わないお灸太陽」もよく効きますよ。わたしが医師国家試験を乗り切れたのも「太陽」のお陰でした(笑)。みなさんも試してみてくださいね。
投稿者プロフィール
- 生まれも育ちも石川県。地域医療に情熱を燃やす若き総合診療医。中国医学にも詳しく、趣味は神社巡りとマルチな好奇心が原動力。東西を結ぶ“エディットドクター”になるべく、編集工学者、松岡正剛氏に師事(髭はまだ早いぞと松岡さんに諭されている)。
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