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2023.07.31
2023.07.31
城北高等学校にてMEdit授業「医学×歴史」開催! 高校生が名づけた病名発表!
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7月19日、城北高等学校でMEdit授業を開催してきました! 城北高等学校は東武東上線「上板橋」駅にほど近い男子校の私立進学校で、設備が素晴らしく整った、緑豊かなキャンパスをお持ちです。男子校での授業はこれまで経験がなく、ちょっとドキドキだったしんしんとおしゃべり病理医を正門の大きな杉の木が出迎えてくれました。

城北高等学校は、今年の1月31日に順天堂大学と教育に関する連携協定を締結し、今回が、初めての高大連携イベント。来月には、城北の生徒さんを順天堂大学のキャンパスにお迎えしてのイベントも予定されています。

先日のイベントには、医療に興味のある高1~高3の生徒さん、約40名が集まってくれました! 体育会系だろうなぁと思う生徒さんから頭脳派っぽい方まで個性あふれていましたが、みなさん礼儀正しくおおらかな感じなのは一緒で、優しく情熱溢れた先生方のもとに育っている城北生のカラーなんだろうと思いました。

今回のイベントは、順天堂大学のガイダンス、MEdit授業、そして城北OB生である順天堂大学医学部6年生との座談会と3部仕立ての構成で、MEdit授業は、来月に順天堂大学の「医学教育歴史館」の見学を予定していることもあり、「医学×歴史」をテーマに取り上げて授業を行いました。授業の前半では、歴史についてのレクチャー、後半では、生徒さんに「病名をつけるワーク」に挑戦していただきました!

■なぜ「医学×歴史」なの?

アンケートを取ってみましたが、医学に興味がある生徒さんは、100%だったのに対して、歴史に興味のある生徒さんは、全体の1/3ほど。少なくとも医学部志望で受験勉強に取り組む生徒さんにとっては、歴史は多少の興味はあれど、学ぶ対象ではない、という認識が強そうです。無理もありません。

でも、MEdit LabのSTEAM動画教材では、4コマにわたって「医学×歴史」のテーマを扱っています。なぜか。それは、歴史は過去の出来事を単に暗記する科目なのではなく、今の社会問題やこれからの社会を見据えるうえで、情報同士の関係を発見していく学問だからです。AIやロボットやchatGPTなどの技術がどんどん導入される医療の将来を考察するうえでは、歴史から学ぶこと多し!なのです。

■カルテにたくさん出てくる漢字?

情報の在り方を考察するうえで、タテの視点(通時的視点)ヨコの視点(共時的視点)を交差させて観察する「歴史的見方」はとても大切です。医療もおんなじです。医師の診療は、患者さんの病歴、つまり“病の歴史”を知ることからはじまります。病気の経過を把握するタテの視点と、今どんな症状がどのように関連しているのか、ヨコの視点を重ねることで、患者さんの病態が浮かび上がってきます。

突然ですが、カルテにたくさん出てくる漢字はなんでしょう?答えは、歴史の「歴」です。現病歴・既往歴・家族歴などなど、「歴」がいっぱい登場します。今の症状がいつからどのようにはじまったのか、過去にどんな病気をしているのか、もしかしたら、その病気と何か関連があるかもしれません。また、家族はどんな病気にかかっているのか。遺伝的な素因など、もっと過去に遡ると、いまの患者さんの症状と何か関係があるのかもしれません。このように、その患者さんの今の身体の状態を形作っている歴史の流れをまとめあげ、関連を見出す力は、まさに歴史を見る力と同じなのです。

熱心に耳を傾けてくれている城北生のみなさん。手元にはGoogleフォームを活用したワークに備えてiPad

■学ぶは名前を知ることから

歴史についてもうひとつ別の観点からのお話です。それは、「名づけ」について。学問はものの名前を覚えることから始まります。どんな科目もそうです。最初は、ものの名前を覚え、その次に使い方のルールを学びます。英語でも数学でも生物でも同じです。ものの名前がわからないと考察することすらできません。唯名論は、名前を重視した考え方ですがこの論を発展したスコラ哲学の「スコラ」は、「学校(スクール)」の語源にもなっています。医学部においてもまず身体の正常な機能や構造の名称を学び、次に病名を学びます。名前を覚えることは学問の基本なんですね。

■生徒さんが名づけた「病名」!!

さらに! 新しく何かを発見したり、創り出すときは、同時に名前自体も生み出すことになります。商品もサービスも楽曲も当たり前ですが名前がついて世に送り出されますよね。バズれば、ヒットチャートに載ったり、流行語大賞になったり、大ヒット商品として歴史に名が残ります。医学においても同じで、新しい疾患概念も、抗がん剤のお薬も、すべてに名前がついて世の中に発信されます。時にはへんてこりんな名前がつけられていますので、MEdit Labでも紹介してきました。

そんなわけで、今回、城北生のみなさんには、名づけることの情報編集的な奥深さを知ってもらうべく、「病名をつけるワーク」に挑戦してもらいました。

友達と相談しつつも、Googleフォームだと恥ずかしがらずに思い切って面白い回答を出せそう

名づけにもMEdit Labで重視している編集の型を活用できます。名づけには、対象を別の何かで言い表す「見立て」が大切です。名づける対象の特徴をうまく捉えることで共感度が高い名前をつけることができます。病名を考えるには、病気らしさをどう表現するかが腕の見せ所。今回は、6つの病名(高校生がきっと思い当たることの多い症状を考えてみました!)について名前を考えてもらいましたが、城北生の編集力の光る回答をいくつかお見せしたいと思います。

■医学×歴史「病名をつけよう!」ワーク■

病名その1:「授業が始まると10分以内に眠くなる病気」

  ★10分動けるウルトラマン(絶対匿名希望さん)

多くの方の回答が眠くなることそのものに向く中で、ポジティブに「開始10分は起きていられる」と解釈してのネーミング。「10分で授業のすべてを吸収するぜ」という心意気をハンドルネームの「絶対」からも強く感じました。「~病」とつけない病名を考えたこともナイス・チャレンジでした。絶対匿名希望さんにかぎらず、みなさんそれぞれハンドルネームまで凝っていますのでお見逃しなく。

病名その2:「“勉強しなさい”と子どもについ言ってしまう病気」

  ★オヤノココロコシラズ病(JHKのボウズさん)

この回答も「親の病気」と捉えるのではなく、何度も「勉強しなさい」と言わせる要因は自分にある、つまり、親を心配させている子どもの病気なんだという見方を取ったのが極めて特徴的なネーミングで驚きました。「母をこんなふうにしてしまう俺って…」という反省があったのかしら?とおしゃべり病理医の心もざわざわとした回答でした。

病名その3:「試験前になると別のことをしたくなる病気」

  ★試験前緩慢症(Mikeyuさん)

Mikeyuさんは実は、10分ほどの短い回答時間の中でなんと5つも回答してくれた編集加速力のみなぎった生徒さん。発想を飛ばすにはスピードも大事なんですね。別のことをしたくなる、という気持ちを集中力の切れた状態と読み替え、「緩慢症」という言葉にぎゅっと集約させた編集力が光ります。

病名その4:「スマホが手元にないと落ち着かなくなる病気」

  ★スマホの子(moonさん)

素晴らしいメタファーです!「お母さんがいない!」と迷子になって泣く子どものような状態であると表現してくれました。この病気に罹患したひとは、スマホが親になってしまうという深い洞察から来た回答です。なんだか身につまされませんか?

病名その5:「朝起きたら本日のテーマ曲が流れてしまう病気」

  ★テーマソングシンドローム(沼さん)

すべてカタカナ表記でそろえ、同じ曲が何度も何度もリフレインする感じが「テーマ」と「シンドローム」の「ー」に表れて雰囲気が出ています。

病名その6:「毎回スピーチで、1分間に5回以上「えーっと」と言ってしまう病気」

  ★緊張性えーっと多発症候群(i^2=-1さん)

数学好きの生徒さんなのかハンドルネームがまた凝っていますね。「スピーチで」という状況から「緊張性」という医学らしい用語を連想させたのが的確です。「えーっと多発症候群」もずばっと症状のイメージがこちらに伝わるド直球のネーミングでした。

いかがでしたか。みなさんはそれぞれの病気にどんな名前をつけますか?

回答を無事送信して、笑顔のみなさん。「俺の回答、コラムに採用されるかな?」

以上、城北高等学校でのMEdit授業レポートでした。いつか城北生が立派なドクターとなり、新たな病名や新薬の名づけ親になる日が来るかもしれません。今後もMEdit授業、様々な学校で試みていきたいと思います!

レッツMEdit Q!!!