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2023.09.07
2023.09.07
「湘南白百合高校×順天堂大学」高大連携イベントでMEdit授業開催!
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“高大連携事業”が最近、全国の大学でさかんになっています。少子高齢化に伴い受験生の総数が減少することが予想される中、少しでも優秀で意欲に満ち溢れた生徒さんをわが大学へ!という想いがあるからなのですが、順天堂大学ではもう少し“とがった高大連携”を目指しています。

順天堂大学は、健康と医療をテーマにした学部が多く、多くは卒業時にある程度、将来の職業が決まります。そういった大学の特性上、“ミスマッチ”を減らすことが大事だと考えています。特に、医学部は単に学力が高く、理系志望というだけで、入学してしまう学生が少なからずいます。医学、とりわけ“人”に興味を持てない学生には医学部の過酷なカリキュラムは苦痛以外の何ものでもありませんし、実際に医師になっても多様な価値観を持つ生身の患者さんと接するのが難しく、体調を壊したり、患者さんとトラブルを起こしてしまうこともあります。医療や医学に興味を持ち、学び続ける意欲がなければ医学部の生活は苦しいですし、何より医師としての職業を全うすることはできません。

■湘南白百合高校×順天堂大学の高大連携イベント開催!

2023年8月7日、湘南白百合高校の生徒さんを順天堂大学の本郷・お茶の水キャンパスに招いての高大連携イベントが行われ、しんしんとおしゃべり病理医も参加してまいりました。

午後1時からたっぷり4時間、医学教育研究室の冨木裕一教授の講演、シミュレーションセンターでの外科手技体験実習、医学教育歴史館の見学、MEdit授業そしてOG座談会と盛りだくさんでした。特に冨木教授の講演は、「医学や医療に興味のない学生は来なくていい」というスタンスのまさに“とんがった”お話でしたが、むしろ参加した生徒さんがそれぞれの進路を真剣に考えるうえでの道しるべとなるものでした。

「ひとのためになるには実力をつけなくちゃならん。だから、まずは自分のためにがんばれ!」と生徒さんを励ます冨木裕一教授

「ちゃんと気管見えてる?必ず成功させようね!」必死で気管挿管にチャレンジする生徒さんたち

医学教育歴史館にて。学芸員の若尾さんの巧みな歴史の話に引き込まれる生徒さんたち

■MEdit授業は「医学×歴史」

さて、私たちが担当したMEdit授業は、城北高校に続いて「医学×歴史」をテーマにし、病名を考えてもらうワークに挑戦してもらいました。詳しくは城北高校でのイベントコラムをご覧いただきたいのですが、このワークは、「授業開始10分後に眠くなってしまう」などなど、いくつかのユニークな“症状”が出題され、それぞれにふさわしい病名を考えるというもの。

なんてくだらないんだ!と思う方もおられるかもしれませんね。でも、情報の特徴をうまく検出し、ふさわしい言葉を当てはめるというネーミング能力は、観察力を主とした情報のインプットの力と表現力を主としたアウトプットの力の両方が鍛えられます。喩え(メタファー)やオノマトペなど、日本語の特徴をうまく活用して病名をつけてみるのがポイントです。

白いセーラー服が眩しい湘南白百合の生徒さんたち。MEdit Labの話についても熱心に耳を傾けてくれています

自分たちのジョークに自分たちでウケるしんしんとおしゃべり病理医

最後の方のプログラムだったので、疲れているかなと心配でしたが、いやいや。坊主頭の野球部や素晴らしい体格のラグビー部など体育会系男子がいっぱい参加していた城北高校に負けず劣らず、面白い回答が目白押し。ハンドルネームこそ、可憐な女子高生らしく愛らしいものが多かったですが、ネーミングセンスが光る回答がたくさん寄せられました。ごく一部ですが、ご紹介しましょう。

■医学×歴史「病名をつけよう!」ワーク■

病名:「スマホが手元にないと落ち着かなくなる病気」

国際疾病分類ICD-11には、ゲーム障害「Gaming Disorder」が正式病名として登録されました。「スマホが手元にないと落ち着くなる病気」もいずれこの分類に正式登録されるかもしれません。そんな現代病の代表例のような病気。2名の生徒さんの考案した病名をご覧に入れましょう。

  ★スマホリック(スペさん)

「メタボリック」に似た病名で、“過剰な摂取”というイメージを沸かせるとてもセンスあるネーミングだと思っていたのですが、文系ウメ子ちゃんに、「いや、おぐらさん、これは素直に<スマホ+ホリック>という造語では?」とツッコまれました。たしかに…。「ホリック(-holic)」は、接尾語で「中毒のひと、溺れるひと」の意味があるのでしたね。わたくしの連想が暴走し、メタボリックまで先走ってしまいまして大変失礼いたしました(講義中もそう発言してしまったのでスぺさんは、ひそかに違うんだけどと思っておられたのでは?)。いずれにしてもスマホに依存した様子がとてもうまく表現されています。スペさんは医学に詳しく、かつ国語力も高いのではないかと想像しました。

★アディフォン症候群(4ever Avocadoさん)

“アディ”はおそらく「アディクトaddict=中毒」から、そして、スマートフォンの“フォン”をとって合体させた、スぺさんとは異なる造語「アディフォン」。スぺさん同様にスマホがないと落ち着かない病態を「スマホ中毒」と読み替えたのがすごいです。4ever Avocadoさんは、英語も堪能なのでは? 「症候群」をつけてさらに病名らしく。なんて素敵なのでしょう!

以上、湘南白百合高等学校×順天堂大学の高大連携イベントレポートでした。来月も続々とMEdit授業が行われ、「医学×歴史」以外のテーマも扱う予定ですのでぜひ、ご注目を!

レッツMEdit Q!!!

追伸:病名をつけるワークは、「おしゃべり病理医のMEdit Lab 医学Medicine×編集Editで世界を読む」の「医学×歴史」の動画教材の一部です。ご興味のある方で、全編ご覧になりたい方はこちらへ。