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COLUMN
2023.12.07
2023.12.07
ドクターも参加する企画書の大会「科研費」とは?
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「ドクターは企画書を書くことってないですよね?」
前回の企画書コラムをかいたウメ子さんよりこんな質問が届きました。

いえいえ、そんなことはありません!
確かに病院での診療では、対面で患者さんにご説明することが多いので、書面で伝える「企画書」より「プレゼンテーション」に近い形です。相手の表情を見ながら言葉を言い変えたり、時にはイラストや模型を使ったりと、臨床医にはプレゼン力が求められます。
一方で、
研究をしたいと思った時には「企画書」が欠かせません。

医師も参加する「企画書」の大会

長い医師人生を診療のみで過ごす人は少なく、多くの医師が診療と並行しながら、大なり小なり研究に携わります。研究をするためには、器材や試薬を買ったり、スタッフを雇ったりするための「研究費」が必要です。私たちの所属する大学も研究機関ですが、大学の予算だけではとても足りません。そのため、研究をしたいときには、研究者が自ら企業や公的機関から研究費を獲得する必要があるのです!

日本での代表的な研究費は「科学研究費助成事業」、通称「科研費」です。その予算はなんと年間2000億円以上!8万件以上の研究を支援しています。

このお金はどこからきているのでしょう?
科研費は文部科学省の管轄であり、税金から支出されています。そのため、科研費の交付には「大事な税金を投じてよいか?」という目線で、厳しい審査が行われます。採択件数は25%前後、応募しても4人に1人しか通過できません。

その狭き門をくぐるのに必要なもの、それが「企画書」です。自分が今までやってきたことを踏まえて、「今後なにをやりたいか?」「そのために、いくらお金が必要か?」を伝えなくてはいけません。審査は書類だけで行われますので、まさに研究者による「企画書」の大会なのです!科研費の発表日が近づくと、大学全体がソワソワした雰囲気になります。研究を始めたり、継続していくのには「企画書」を書く力が欠かせません。

●未来のノーベル賞がココに!?

私たちMEdit Labも昨年「企画書」が採択され、科研費の支援を受けて活動しています。科研費は医学だけでなく、人文学、社会科学、自然科学まで全ての分野の研究をサポートしています。誰がどんな研究をしているのかは、公式サイトで検索することができます。ノーベル生理学・医学賞を受賞した本庶佑先生、ノーベル物理学賞を受賞した天野浩先生や梶田隆章先生も科研費の助成を受けていましたので、未来のノーベル賞受賞者の「企画書」があるかもしれません

中高生へのプログラムもありますので、ぜひ科研費のウェブサイトをのぞいてみてくださいね。

【参考サイト】
2023年版の「科研費」パンフレット
→先週公開されたばかりです。一般の方向けに制度のこと、今までの研究成果を紹介しています。

ひらめき☆ときめきサイエンス~ようこそ大学の研究室へ~KAKENHI
→「科研費」の研究成果を学5・6年生、中学生、高校生の方が体験できるプログラムも企画されています!夏休みの開催が多いですが、今後開催のプログラムも若干残っています。

科学研究費助成事業データベース
→「科研費」で行われている研究を検索することができます。

投稿者プロフィール

發知 詩織
發知 詩織
全方位に目があるんじゃないかという細やかな気配りのできる逸材。寛大で誠実、緻密な仕事ができるのに人に優しい。病理医とSTEAM教育研究者の二足の草鞋を履くお母さん。愛くるしいパンダに似ているのであだ名は「しんしん」。