いよいよ、2024年度のワークショップ「医学をみんなでゲームする2」の対面の会、第3回目のMEditカフェを10月26日に開催しました!今回はスペシャルなゲストがたくさん参加し、 “医学をみんなでゲームする”にふさわしいとっても楽しい会になりました(いつも楽しいけど)。充実の半日を写真とともにレポートしましょう。
開始時間ぴったりに登場されたのが、あの人気ゲームの「ぷよぷよ」「はぁって言うゲーム」「あいうえバトル」などでおなじみの、ゲームクリエイターの米光一成さん!
順天堂大学のご近所のデジタルハリウッド大学の教授でもいらっしゃいます。なんと米光さん、お忍びというわけではないのですが、オープニングイベントをはじめ、実際のカリキュラムにも参加してくださり、そして、来る12月21日のクロージングイベントにもいらしてくださるのだとか!
その米光さん、自作のカードゲームをたくさん持参してくださっただけでなく、なんとこの日のために新しいゲームまで作ってきてくださったのです!なんて素敵!!
そして、もうひとりのスペシャルゲスト。スポーツドクターで今年のパリ五輪にも日本代表選手に帯同した、小松孝行先生。スポーツドクターというと整形外科医のイメージが強いのですが、小松先生は救急医であり総合診療医。選手の怪我にとどまらず、栄養や休養など選手が最大限のパフォーマンスを出せるようにありとあらゆることに目を配り、アドバイスを下すドクター。ドーピング検査の方法について意見を述べるなど大会の管理側のお仕事にも携わっています。
◆米光さんの最新ゲーム「ヒアリハット」
米光さんは、小松先生をはじめ、わたしたちドクターがいることを見越して新しいゲームのテーマを考えてきてくださいました。そのテーマは、「ヒアリハット」!
ヒアリハットとは、医療事故になりそうな「ひやっ!」とした危ない事例のことをいいます。米光さんは、前日に簡易のカードをつくってきてくださっていました。「点滴時のヒアリハット」「麻薬管理のヒアリハット」「配膳時のヒアリハット」といった様々な状況下におけるヒアリハットカードがあり、ゲームのルールは大喜利風。
ドクターたちがその状況下で思いつく、自身が経験したり見聞きしたヒアリハットをカードに書きます。場に出そろったカードの中で、中高生を中心とした非医療従事者のギャラリーのみなさんが、いちばん印象に残ったカードを選びます。選ばれたひとは1ポイントゲット。ルールはこのように実にシンプル。でも、ゲームを進めながら、生々しい医療現場のリアルがどんどん明かされていきます。見ている側も「そんなことってあるんだ!」と驚くこともたくさん。「もう病院に行きたくないかも…」とちょっと怖くなってしまった方もいましたが、簡単なゲームによってどんどん会話が広がっていき、ふだんはなかなか一般の方が知ることのない医療事故につながるヒアリハット事例を共有ことができるのはゲームの威力だなぁと感じたのでした。
◆負けるな一茶!
小松先生がすごくハマったのが、米光さんのゲームのひとつ「負けるな一茶」。そう、一茶とは、かの小林一茶。小林一茶は「やせ蛙負けるな一茶ここにあり」や「雀の子そこのけそこのけお馬が通る」といった句が有名ですが、実は生涯で二万句も詠んでいるのだとか…(詠みすぎだよ)。
小林一茶が大好きな米光さん。多作であることをヒントに、米光さん作の一茶っぽい俳句と本当の一茶の句を当てる、というこれまた実にシンプルなゲームをつくったのです!
米光さん対わたしたちのガチ勝負。米光さんがとっておきの句を次々に出していきます。
「馬の屁に吹とばされし蛍かな。はいこれは一茶でしょーか、それとも、ノット一茶でしょーか?!」
「うわぁ~、一茶っぽい!!」「…えーっ、違うんじゃない?」
50%の確率なのにやたらと盛り上がりました!
◆人生がバラ色になるゲームの作り方
米光さんは、「つまらないゲームは、得てしてルールが複雑すぎるよね」と言います。いかに着眼点を面白く、みんながストレスなく楽しく参加できるかが、楽しいゲームをつくるキモ。ヒアリハットのゲームにしても、ルールをうんとシンプルにして、医学の醍醐味を感じられるゲームにしています(ちなみに米光さんは、さらにブラッシュアップして、クロージングイベントでは、 “G1グランプリ”にエントリーされるのだとか!)。
そんなゲームづくりのプロのエッセンスが凝縮されたのが、米光さんの最新刊『人生が変わるゲームの作り方』(筑摩書房)です。
ゲームとは、ルールにもとづいて遊び、楽しい場を生み出そうとすること
「参加する人みんなが楽しくなるルール」をつくりあげることが大切
米光さんは、そう強調します。
医療現場も、患者さんが元気になるルールをみんなでつくりあげることをいちばんに大切にしています。ゲームづくりから医療現場の在り方について考えることは、案外、近道のような気がしてきました。
参加者のおひとり、高校2年生のズッキーニさんは、サッカーチームが強くなるためのスポーツドクターの役割をゲームにしたいと考えています。
小松先生からは、休息や栄養、トレーニングの組み立て方の助言など、スポーツドクターとしてどんなふうにチームに貢献するか、その実際を教えてもらい、米光さんからは、あれこれつめこみすぎないように、なるべくルールはシンプルに、とアドバイスをもらっていました。
現在、ワークショップ「医学をみんなでゲームする2」は、12個のお題の最後のQが出題され、いよいよそれぞれ医学ゲームを形にしていきます。ルールを決めたら、まずはテストプレイ。今月16日に予定されている最後のMEditカフェもとても楽しみになってきました。
ワークショップに参加されていない方も12月21日のクロージングイベントはウェルカムです。どんな医学ゲームが完成するか、どうぞ見にいらしてください! おしゃべり病理医、病理医しんしん、そして小松先生をはじめ、順天堂大学のドクターズもお待ちしております。
ゲームづくりのコツがつかめれば、楽しく勉強する方法も、適切な身体の鍛え方も、チーム医療の在り方にも応用できそう。人生がバラ色になりそうですよ~♪
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投稿者プロフィール
- 趣味は読み書き全般、特技はノートづくりと図解。一応、元バレリーナでおしゃべり(おえかき)病理医。モットーはちゃっかり・ついで・おせっかい。エンジニアの夫、医大生の息子、高校生の娘、超天然の母(じゅんちゃん)、そしてまるちゃん(三歳♂・ビション・フリーゼ)の5人+1匹暮らし。
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