おしゃべり病理医スタンプ図鑑
COLUMN
2023.06.12
2023.06.12
パンダのしんしん
◆もしかしてコワイのか? パンダのしんしん
今回ご紹介するおしゃべり細胞LINEスタンプは「しんしん」。40個セットの細胞スタンプにおいて動物キャラクターは、「クローン羊のドリー」とパンダの「しんしん」ふたつだけ。微妙に医学ネタからはずれて、実在の發知詩織先生のことであるのも例外的なスタンプです。
ご本人は、お顔もこのパンダちゃんのように愛らしいですし、お人柄も温厚で怒ったのを見たことがありません。ただ、パンダは見た目と違って意外と狂暴であるという話もどこかで聞いたことがあるので、もしかしたら怒らせると大変なことになるかもしれません(笑) さらに、しんしんこと發知先生は、パンダらしからぬキレモノドクター。コミュニケーション能力を含めて、仕事の出来るスーパーパンダなのです。
その能力の高さが買われ、病理専門医を目指す後期研修医の立場であるにもかかわらず、なんと所属している順天堂大学の練馬病院、臨床検査科の科長でもあります。何十人もの臨床検査技師さんを束ねる責任者でもあるのです。すごいでしょ?
ちなみに、おしゃべり病理医は病理診断科長なのですが、しんしんと一緒のお部屋で働いていますので、MEdit Lab以外にも病院の診療の要である臨床検査と病理診断が高いレベルで行われるよういつも協力しながら仕事をしています。
◆臨床検査と病理と臨床病理??
臨床検査と病理は昔は、「臨床病理科」として一緒だった歴史があります。しかし、病理診断が病気の最終診断であり、患者さんの治療方針に大きな影響を与えることからその専門性が重要視されたこと、一方、臨床検査も検体検査から生理機能検査まで幅広く検査全般を担っていることなどの理由から、別々の診療科として独立した方がいいのではないかということで、2008年に「臨床検査科」「病理診断科」となって現在に至ります。
現在では、それぞれの専門医を擁し、先進的な研究から若手医師や臨床検査技師の育成までを担っています。
以上のような流れは、今の高度先進医療を支えるうえで必然ではあったのですが、同じ患者さんから同じタイミングで採取された細胞や組織が、臨床検査室と病理検査室それぞれ別々に届けられるというデメリットも生じます。そうすると、互いの検査の結果をうまく統合できないまま、診療が進んでしまうという事態にもなります。特に血液がんの検査のために行われる骨髄検査(赤血球や白血球や血小板が生まれている骨髄の細胞を採取する検査)でそういった状況が生まれやすいです。
◆しんしんとおしゃべり病理医が一緒に働くメリット
しんしんとおしゃべり病理医が所属する順天堂大学附属練馬病院では、臨床検査と病理検査、それぞれに届けられる骨髄の検体を互いに照らし合わせながら診断する体制が整っています。
同じ大学病院といっても、その規模や機能は、病院が設立された経緯や建てられた場所によって異なります。ベッド数が1000以上の大病院は先進的な治療を受けられるという素晴らしいメリットがある一方で、組織が大きいために縦割りになりやすいというデメリットがどうしても生じがちです。
臨床検査科と病理診断科を束ねる医師が総合病院において同じ部署で協力して働いているのは実はとてもレアなことです(さらにはどちらの専門医も非常に数が少ないため両方の専門医が揃っていること自体が稀です)。別々の診療科の医師が、同じ部屋でつねに一緒に働いているというのはあまりないことなんですね。
練馬病院は500床ほどの中規模の病院で、比較的診療科同士の垣根がもともと低かったこともありますし、小声で言いますが、病院内の部屋数も少なかったり小さかったりすることもあって、しんしんとおしゃべり病理医は図らずも同じ部屋で仕事ができている…という事情もあります。
そして私たちの働くお部屋はなんと病院の中央にある手術室の“中”にあり、術中迅速病理診断なども直接手術室に病理医の私たちがおもむき、執刀中の外科の先生方と議論することも可能です。とにかく色々な先生方と一緒に仕事するうえで最高の立地なんです!病院が小さいといいこともあるんですね~(笑)
いずれにしても、病院の規模に応じて、メリットもデメリットもありますが、その特性を生かして、どんな体制にしたら患者さんひとりひとりに対してベストな診療が届けられるかを考えることが大切です。各病院は、院長先生を筆頭に様々なことを検討しながら運営されているのです。
投稿者プロフィール
- 趣味は読み書き全般、特技はノートづくりと図解。一応、元バレリーナでおしゃべり(おえかき)病理医。モットーはちゃっかり・ついで・おせっかい。エンジニアの夫、医大生の息子、高校生の娘、超天然の母(じゅんちゃん)、そしてまるちゃん(三歳♂・ビション・フリーゼ)の5人+1匹暮らし。
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