吉報は、忘れたころにやってくる───
先日、久しぶりにCCCメディアハウスの編集者 山本さんからご連絡がありました。
「先生の本の韓国語版、ついにできましたよ~」
そして、数日後。手元に届いた本がこちらです。じゃーん!
韓国語版『おしゃべりながんの図鑑』!
こちらは、2019年に上梓した『おしゃべりながんの図鑑 病理学から見たわかりやすいがんの話』(CCCメディアハウス)の翻訳版です。当時、大阪大学大学院病理学講座教授の仲野徹先生が「先生、僕の代わりにがんの本、書いてみますか?」と編集者の山本さんを紹介くださったのがきっかけで、「病理学の専門用語を使いながらも、一般の方にわかるように、がんの話をする(ついでに病理医の仕事の面白さもアピールする)」というコンセプトのもと、まとめた本です。
装丁は、「大人たばこ養成講座」のポスターをはじめ、数々の本のデザインも手掛けておられる寄藤文平さんが担当してくださるという幸運にも恵まれました。メモ代わりに描いたおしゃべり病理医の細胞の絵をご覧になった寄藤さんが、「顕微鏡の写真よりずっと魅力的だし、わかりやすく伝わりますよ」と背中を押してくださり、140点ほどの細胞イラストを描き、1年近くかけて完成した、おしゃべり病理医にとって思い出深い大切な本なのです。
この本を目に留めていただいた韓国の出版社の方から「翻訳本を出したい」というお話があったのは、たしか、2年近く前のこと。すっかりそのお話のことも忘れていたところに来た思いがけないニュースだったのでした!
著者自ら韓国版の推しポイントをお伝えしますと…
その1.オールハングル、左綴じそして横書き(当たり前か!)。
その2.文字とイラストがエンボス加工されたオシャレな表紙。ゴージャス感が日本語版より2割増し。
その3.それでいて、日本語版の寄藤文平さんデザインが活かされた雰囲気(特に寄藤さんが気に入ってくださったパンダのしんしん(發知詩織先生)がど真ん中に配置されている!)ページをめくると中にもしんしんがいっぱい。なんてキュート♪
その4.本文内のイラストはすべておしゃべり病理医直筆そのまま。文字だけがハングル語に変わっていますが、丸っこいハングル文字のテイストとイラストがマッチして全く違和感がありません。
韓国版を世に出していただいた編集者さん、装丁を担当されたデザイナーさん、そして翻訳者の方々など、作り手のぬくもりが感じられる本になっていて、著者としてこんな幸せなことってあるんだろうか…と、感激しました。
本1冊もそうですが、レストランで出される料理一品であっても、簡単なボードゲームひとつとっても、実にたくさんの人々の共同作業のなせる技、なんですね。そうやって、世の中に生み出された作品たちが人と人とをつないでくことは、とてもロマンティックで素敵なことです。私も、この本を通してお会いしたことのない方々に想いを馳せることができました。本当は直接お礼を申し上げたいのですが…。
その日がくるまでに、韓国語、ちょっと勉強しなくちゃいけないな(自分の名前さえ読めないぞ)。
おまけ1:日本語版・小倉加奈子『おしゃべりながんの図鑑 病理学から見たわかりやすいがんの話』(CCCメディアハウス)はこちらから。
おまけ2:寄藤文平さんのことを以前、遊刊エディストの連載コラムでも触れました↓↓
おしゃべり病理医 編集ノート - 寄藤文平さんが語る「部分と全体、そして愛情」 | 遊刊エディスト:松岡正剛、編集工学、イシス編集学校に関するニューメディア (edist.ne.jp)
投稿者プロフィール
- 趣味は読み書き全般、特技はノートづくりと図解。一応、元バレリーナでおしゃべり(おえかき)病理医。モットーはちゃっかり・ついで・おせっかい。エンジニアの夫、医大生の息子、高校生の娘、超天然の母(じゅんちゃん)、そしてまるちゃん(三歳♂・ビション・フリーゼ)の5人+1匹暮らし。
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