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レッツMEditQ COLUMN
2023.08.31
2023.08.31
こんな医学ゲーム、あったらいいな!
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みなさんは、どんな医学ゲームがあったら遊んでみたいと思いますか?

先週末に開催されたMEdit Labワークショップ「医学をゲームする」の第2回リアルワークでは、ゲームデザインのプロセスを具体的に学びつつ、ゲームで遊んだりディスカッションしたりしながら、自分が作りたい医学ゲームについて考えを深めていきました。

実際、どんなアイディアが出されたのか、少しご覧に入れましょう! 魅力的なテーマがいっぱいですよ!

▲順天堂大学 本郷・お茶の水キャンパスA棟のカフェテリア。土曜日の営業が終わり貸し切りとなった場所で存分にグループワークを楽しむ参加者のみなさん。高校生もおとなもドクターも混ざり合って相談。「みんなどういうゲームにしたい?」「わたしは薬に興味があるな」「さっきのウイルスバトルゲームの改良版にしよっかな?」。


■診療シミュレーションゲーム派


救急のドクターが参加されていたからか、あるいは「コードブルー」のようなドラマが要因なのか。救急トリアージをはじめ、診察や病院経営など、診療のリアルをそのままゲームにしてみたい!というシミュレーションゲーム派が多くおられました。

<ゲームアイディア>

・救急外来トリアージ×カードゲーム

・地方病院経営×すごろく

・臨床推論×かるた

テーマに合わせて、ゲーム形式も一緒に考えていただきました。ゲームの形式が異なると同じテーマでも全く違ったゲームになります。すごろくとカードではすごろくの方が時系列がはっきりし、RPG的な要素が強そうです。

上記のアイディア以外に、「救急トリアージの成功と失敗によって、病院の評判が上下するゲーム」と、さらに具体的に考えている参加者もおられました。具体的なイメージやストーリーを考えることはゲームデザインの成功の鍵です。

病院経営とトリアージといえば、私も経験があります。コロナ禍における大学病院の診療は、とてつもなく難しいものがありました。病気は当然、コロナだけではありません。一刻を争う重篤な病気は他にもたくさんありますし、救急トリアージ問題からはじまり、院内の感染対策、コロナ患者さんをなるべくたくさん受け入れつつもコロナ以外の診療をどのように進めていくか。様々な問題が重なり関係しあっていますし、平時とは異なり、診療科同士が協力しあっていつもと異なる診療体制を整えないといけません。みなさんのアイディアをみて、「パンデミック下の病院経営ゲーム」なんてあったら、すごく勉強になりそうだなぁと思いました。

ただし、扱う問題が複雑すぎてそのままゲームにするのは大変。シミュレーションゲームの難しさはここです。現実世界の複雑な仕組みをいったん分解してみたり、ゲームとして成立できそうな範囲を限定してみたりすることが大事。その方がかえってリアルなゲームになります。

ふだんの仕事の仕組み、業務効率、勉強の方法などをゲームデザインのプロセスを通して学べそうだというご意見も寄せられていましたが、まさにです!シミュレーションゲームのデザインを通して、現実の課題を考え直すこともできるのです。


■人体のしくみ、気になる派


バイオの世界をゲームテーマに選んだ方もおられました。魅力的なバイオの世界ですが、精巧な仕組みを理解するのが大変なこともありますし、ゲームで遊びながら理解出来たらいいですよね。まさに、私たちも、ウイルス感染のメカニズムについて気軽に理解を深められるツールになればという想いで「MEditウイルスバトル」を開発しました。

<ゲームアイディア>

・人体の構造×カードゲーム

・(遺伝子の)転写翻訳×カードゲーム

・心電図×トランプ

・消化×人生ゲーム

・睡眠×すごろく ・麻酔×すごろく

遺伝子の転写や翻訳のメカニズムは、3つの塩基配列からなるコドンでアミノ酸が決まっていくのでしたね。これはカードゲームにしたら面白そうですし、複雑なセントラルドグマに対する理解も深まりそう♪ 想像してみただけで、やってみたくなってきました。

「消化×人生ゲーム」「睡眠×すごろく」「麻酔×すごろく」は、いずれもそのプロセスをゲームで追ってみる、というねらいがあるのでしょうか。消化のメカニズムを人生ゲームに見立てる!? ちょっと想像ができませんが、なんだかわくわくします。

▲自分の興味を引き出すワークシート「五臓の湯・成分表」を囲んでいろんなアイディアを交し合う参加者のみなさん。


■アタマとココロ、心脳問題派


脳や心に関心のある方も当然、おられましたよ。

<ゲームアイディア>

・記憶力向上!×カード

・テレワークが心と体に与える影響×すごろく

・組織メンバーのストレス耐性×協力型のすごろく

医学的な脳トレゲームを考案するのでしょうか。健康診断などで行われるストレスチェックもゲームにしたら面白そう。テレワークが心や体に与える影響を考察するゲームは、コロナ禍を経験してこそのテーマですね。


■医療の問題、考えます派


現代社会における医療問題は、医学のシリアスゲームづくりとしては王道のテーマではないでしょうか。

<ゲームアイディア>

・幼児の健康維持・病気予防学習ゲーム×すごろくまたはカード

・生活習慣病×人生ゲーム

・清潔不潔×カード

「幼児の健康維持」というテーマは、幼児が遊ぶゲームにするか、お母さんやお父さんを対象にするか、遊ぶ年齢を限定することで内容も変わってきそうです。生活習慣病といえば、おしゃべり病理医は、「メタボおじさんをイケメンおやじにする生活習慣改善ゲーム」をちょっと真剣に考えたことがありました。わたしの代わりにゲーム開発をお願い致します!

「清潔不潔」は、コロナ禍でも手指消毒が励行されて、意識が高まったテーマですし、手術室においては清潔不潔のエリアを厳密に分けていく運営が必要だったりします。エリア分けで想起されたのは陣取りゲーム。最近では、「スプラトゥーン」が大人気ですね。


■わが道行きます、ユニーク派


最後に、分類不能のユニークなテーマをご紹介しておきましょう。

<ゲームアイディア>

・花粉症、船、日本全国の旅×カードゲーム

・薬の化学×カードゲーム

・動物による色や物体の見え方の違いを利用して、言われた動物になりきってテーブル内で色鬼する×カード

「花粉症、船、日本全国の旅」。花粉症と船がどう関係しあうのかがわかりませんが、花粉前線とにらめっこしながら、花粉症を発症しないように旅をし続ける、というようなゲームなのでしょうか。これから書いていただけるであろう企画書で早く確認したい。

「薬の化学」も着眼点が面白いですね。最近は感染症や悪性腫瘍に対する世界的な創薬ブームですし、薬理学を学べるゲームもニーズが高そうです。特に医学生はほしいのでは?

今回の参加者のみなさんの中で特に際立つ個性を発揮していたのが「動物による色や物体の見え方」に注目したテーマ設定。ユクスキュル『生物から見た世界』の環世界そのもの!テーブル上での色鬼がどんな様相を呈するのか、とても楽しみです。

みなさんなら、どんな医学ゲームを創りますか?

投稿者プロフィール

小倉 加奈子
小倉 加奈子
趣味は読み書き全般、特技はノートづくりと図解。一応、元バレリーナでおしゃべり(おえかき)病理医。モットーはちゃっかり・ついで・おせっかい。エンジニアの夫、医大生の息子、高校生の娘、超天然の母(じゅんちゃん)、そしてまるちゃん(三歳♂・ビション・フリーゼ)の5人+1匹暮らし。