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レッツMEditQ COLUMN
2023.12.11
2023.12.11
ドクターズ・ドクター、病理医とJURA
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◆病理医は、ドクターのドクター?

MEdit Labを発足して、早くも1年が過ぎました。MEdit Labは、「中高生からの医学教育、リベラル・アーツとしての医学」をモットーに活動していますが、きっかけは、病理医の認知度を上げようというNPO活動でした。NPO法人「PathCare」の活動では、10年ほど前から病理診断を実際に体験してもらうセミナーを東京近郊の高校で開催して現在にいたります。

病理医は、患者さんの細胞や組織の一部を観察して病気の診断を行う「病理診断」を専門とする医師です。私たちは、「患者さんのもうひとりの主治医」という気持ちで、適切な治療につながるような病理診断を!と日夜頑張って診療していますが、患者さんに直接お会いする機会が少ないことから、なかなか一般の方にその存在や仕事の内容を知ってもらう機会がありません。

そんなこんなで、日本の病理医数は2023年12月現在、2787名。なんと日本の全医師数の1%にも満たないのです。特に、がんの診療においては、病理診断がないと治療がスタートしませんから、病理医不足は由々しき事態であり、病理医の仕事を知ってもらう社会的活動はとても大事だと思っています。

実は、欧米では、病理医は一般の方もよく知っている専門医です。” I’m a pathologist ! “と言えば、” Oh! you are a doctor of doctors ! “と言ってくれます。そうなんです。病理医は、欧米では「ドクターのドクター」と言われ、尊敬されています。日本は一昔前までは、「患者さんとコミュニケーションが取れないから病理医になったんだろ」というようなひどい先入観もあったくらいなので、驚きです。病理医は、病院の中でお亡くなりになった患者さんの病態を究明するための「病理解剖」も担当しており、頭のてっぺんから足の先まで、どんな病気のことも知っている「病気のエキスパート」なのです。えっへん!

◆順天堂大学のドクターのドクター?

さて、順天堂大学には、病理医以外にも「ドクターのドクター」が集結している場所があります。「順天堂大学研究戦略推進センター(JURA)」といいます。いつもMEdit Labのワークショップを行っている本郷・お茶の水キャンパスの最も素敵な建物である7号館(ウメ子ちゃんがそのエントランスを宮殿?と言った場所)にJURAの本拠地もあります。

順天堂大学の研究者たちを支援する専門家集団「JURA」 | 順天堂 GOOD HEALTH JOURNAL (juntendo.ac.jp)

JURAは、研究についてドクターのドクターとなるようなエキスパートが集まるところ。順天堂大学の研究分野の心臓部といっても過言ではありません。ここで行われていることは色々ありますが、大きな業務のひとつが “企画書の添削” なんです!

先日のしんしんのコラムで、研究の申請書についての説明がありましたね。ドクターも研究費の獲得のため、企業の研究助成金や科研費をはじめとした公的研究費をゲットするために、「私たち研究チームは、こんな魅力的な研究計画を立てているんですよ!」と企画書を書いて自分たちの研究を存分にアピールします。

JURAのメンバーのみなさんは、博士を有した元研究者で、私たちが研究を申請する前に、企画書についてたくさんのアドバイスをくださいます。文章の書き方にとどまらず、どんな図をどの部分に追加すればより効果的で説得力が増すか、などなど、アドバイスは細部にわたります。また、科研費は申請する分野が細かく分かれているため、どんな分野に申請したら採択される可能性が高まるか、研究内容を深く理解したうえでアドバイスをくださいます。

◆どんな分野にも応用できる編集の流れ

ワークショップはこれまでに「みんなで医学をゲームする」をスローガンに、ゲームデザインの方法から企画書の書き方まで学んできたわけですが、これから医師になり研究に少しでも携わるうえで、ワークショップで学んだ内容が活きてくること間違いなしです。また、医療従事者以外の職種についたとしても、新しい商品の企画やサービスの提案など、応用できる範囲は多岐にわたります。

自分でテーマを探し、問いを立て、プロジェクトを立案し、企画書を書いて、人にその魅力を伝える。一連の編集方法を学び、コミュニケーションやイノベーションの力をつけていくことを、MEdit Labはこれからも大事にしていきます。

〇参考資料〇

PathCare — NPO法人 病理診断の総合力を向上させる会

順天堂大学の研究者たちを支援する専門家集団「JURA」 | 順天堂 GOOD HEALTH JOURNAL (juntendo.ac.jp)

投稿者プロフィール

小倉 加奈子
小倉 加奈子
趣味は読み書き全般、特技はノートづくりと図解。一応、元バレリーナでおしゃべり(おえかき)病理医。モットーはちゃっかり・ついで・おせっかい。エンジニアの夫、医大生の息子、高校生の娘、超天然の母(じゅんちゃん)、そしてまるちゃん(三歳♂・ビション・フリーゼ)の5人+1匹暮らし。