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COLUMN
2026.10.12
2026.10.12
#028 熊本の小さな本屋さん「橙書店」はなぜこれほどに人を惹きつけるのか?
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MEdit Labのポッドキャスト番組「てゆーか医学」の第28回放送は、本や映画、ゲームなど、気になるものをゆるっと紹介する「ゆるメディ」をお届けします。

今回取り上げるのは、熊本の小さな書店を営む田尻久子さんのエッセイ集『橙書店にて』(ちくま文庫)。

きっかけは、2026年7月28日に発生した熊本地震でした。

熊本にある「橙書店」は大丈夫だろうか?  そんな思いからあらためて手に取った一冊には、町の小さな本屋を舞台に、実にさまざまな人々が行き交う、豊かな世界が広がっていました。

橙書店の店主・田尻久子さんは、2001年に雑貨と喫茶の店「orange」を開業。2008年には隣の空き店舗を借りて「橙書店」を始めます。

特別な計画があったわけでも、書店経営に大きな野心があったわけでもない。それなのに、なぜか人が集まり、文学が生まれ、雑誌までつくられていく。

渡辺京二、石牟礼道子、伊藤比呂美、坂口恭平、谷川俊太郎、村上春樹――。

熊本の小さな書店を訪れる顔ぶれは、驚くほど豪華です。渡辺京二さんに勧められて田尻さん自身も文章を書き始め、やがて文芸誌『アルテリ』の編集・発行へ。いつしか橙書店は、本を売るだけではない、文化の交差点になっていました。

そして話題は、世界各地の「人が集まる本屋」へ。

ジェイムズ・ジョイスの『ユリシーズ』の出版を支えたシルヴィア・ビーチの「シェイクスピア・アンド・カンパニイ書店」、須賀敦子の『コルシア書店の仲間たち』、さらに17世紀フランスのランブイエ侯爵夫人や、18世紀の啓蒙思想を育んだジョフラン夫人のサロンまで。

本屋は、なぜ人を惹きつけるのか? 人が集まる場所から、なぜ新しい思想や文化が生まれるのか?

おしゃべりの内容は、

・熊本地震をきっかけにあらためて『橙書店にて』を読む
・田尻久子さんと橙書店――小さな本屋に集まるすごい人たち
・渡辺京二、石牟礼道子、坂口恭平と文芸誌『アルテリ』
・橙書店から届いた手書きのメッセージ
・青熊書店、Title、皿書店、往来堂書店――個人書店の魅力
・シルヴィア・ビーチと「シェイクスピア・アンド・カンパニイ書店」
・本屋は現代のサロン? 学校でも家でもない「第三の居場所」
・ランブイエ侯爵夫人とジョフラン夫人――サロンが育てた思想と文化
・緒方洪庵の適塾と佐藤泰然の順天堂に共通するもの
・1755年リスボン大地震はヨーロッパの思想をどう変えたのか?

などなど。

小倉加奈子が訪ねた大岡山の「青熊書店」や荻窪の「Title」、QUIMが偶然出くわした豪徳寺「皿書店」での人気作家たちのサイン会など、東京の個性豊かな書店の話も盛りだくさん。

さらに、話は本屋を飛び出し、サロン文化と学問の歴史へ。

かつてヨーロッパのサロンが思想家や芸術家を結びつけたように、幕末の適塾や順天堂からも、医学の枠を超えて活躍する人々が生まれました。専門の異なる人たちが集まり、交流する場所には、何か特別な力があるのかもしれません。

そして、熊本地震から1755年のリスボン大地震へ。大きな災害は、人々の暮らしだけでなく、思想や世界観まで変えてしまう。そんな歴史の意外なつながりにも話が広がります。

本屋は、本を買うだけの場所なのか?
小さな書店が、町の文化を変えることはできるのか?
そして、大学や医療の現場にも、現代の「サロン」は必要なのでは?

一冊のエッセイから、文学、書店、サロン、思想、医学の歴史へ。いつもながら、どこへ転がっていくかわからない「ゆるメディ」です。

本好きはもちろん、町の本屋が好きな人、人が集まる場所づくりに関心がある人にも、ぜひ聴いてほしい回です。

それでは、ごゆるりとお楽しみください。

▼その他配信先
・Apple Podcasts:https://x.gd/LUfXT
・Amazon Music:https://x.gd/IArL6

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投稿者プロフィール

QUIM
QUIM
メディアのプロとして、立ち上げから今日に至るまでMEdit Labの運営を
全面的にサポートしてくれているSaiQuicのエディター。20代から伝説の編集者、故・松岡正剛にその才能を見出され、数々の松岡プロジェクトに参加してきた。大学時代は勅使川原三郎ゼミに所属し、ダンサーやモデルや役者もできちゃうマルチタレント。