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文系ウメ子ちゃんねる COLUMN
2023.11.02
2023.11.02
【写真レポ】ドクター座談会あり!第3回ワークショップ開催しました
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厳しい暑さを乗り越えて、ようやく実りの秋となりました。今年は、ゲームも豊作です。2023年10月28日(土)、MEdit Lab リアル&ウェブワーク 第3回ワークショップが開催されました。回を重ねるごとに、参加者たちがぐんぐん成長していくこのイベント。当日の様子を写真でレポートしていきます。


御茶ノ水にも秋が来た


会場は、いつものとおり順天堂大学 本郷・お茶の水キャンパス。御茶ノ水駅からの道すがらも、すっかり秋模様です。

 

当日は、ハロウィン直前。受付でも、オレンジのかぼちゃがお出迎え。受付にむかうみなさんは、大部分の方が制服のまま。高校での活動を終えて、そのまま順天堂大学へ来てくださいました。


100ページ超! 分厚い資料はいったい…?


いつものように受付で缶バッジ資料を受け取って、会場内へ。すると、みなさんが、もくもくと分厚い資料を読んでいるのです。50枚を超える分厚さの紙の束。果たしてこれは……?

14時30分をまわりました。始まりました、MEdit Lab 第3回ワークショップです。まずは、主宰のおしゃべり病理医小倉加奈子先生のご挨拶。
「お配りした分厚い資料、これはみなさんが作ってくださったゲームのキカクショと、それに対する山本貴光先生のコメントです。」

そうなのです。第2回ワークショップ終了後、参加者のみなさんは、おうちでゲームのキカクショをまとめてくださったのでした。高校生の秋は、文化祭もあれば定期試験もあるしで、たいへん忙しい。大学生は言わずもがな。それでも、のべ28名の方々がゲームを生み出してくださったのでした。

そのなかで、期限内に提出された17のゲームについて、ゲーム作家で文筆家の山本貴光先生が懇切丁寧に添削してくださいました。1行のフレーズに対して山本先生から100〜300字のコメントが入り、さらにキカクショ全体について800〜2000字の感想や提案が添えられているというとんでもない手厚さです。その企画書+コメント集をまとめて印刷すると、100ページを超える分厚い資料になったわけです。

MEdit isLandの地図でいえば、勇者たちは「キカクショの森」でそれぞれの闘いを繰り広げてきました。迷子になった人も、怪我をした人もいることでしょう。


企画書は、どこまでいっても未完成


ですので、今日のワークショップでは、まず「キカクショの森攻略レクチャー」が始まりました。お話はもちろん初回から登壇くださっている山本貴光先生。山本先生はゲーム作家で、図書館のようなおうちにお住まいでいまは東工大で哲学の講義を担当されています。
「みなさんの手元には、ものすごいお宝があります」と、あの分厚い資料を掲げます。

ほかの人のアイデアを見ると、刺激を受けます。いいなあと思ったアイデアがあれば、どんどん真似したり取り入れたりしてください」
仲間といっしょに考えると、自分ひとりでは得られないようなアイデアにたどりつくことができるわけですね。

そして、山本先生はこう話します。
企画書に完成はありません。いつでも途中バージョンです」
ですから、参加者のみなさんがいったん書き上げたキカクショも、まだまだブラッシュアップしていけるということ。レクチャーでは、参加者が見落としがちだった「プレイ体験」をより面白くする方法が伝えられました。

添削コメント付きのキカクショを、山本先生といっしょに読んでいきます。山本先生の教えを受けて、しっかりメモをとる参加者たち。レクチャーは「カードゲームにはどんな特徴がある?」「すごろくのマス目とは?」など、ふだんは「あたりまえ」として意識しないようなことを再点検しながら進みます。クリエイションのコツは「地球にはじめて降り立った火星人になってみること」なんだとか。


いよいよ、ドクターの登場!


さて、キカクショの森を抜けると、雰囲気は一変。お医者さんたちによる座談会が始まりました。
メンバーは、左からMEdit Labメンバーのしんしんこと發知詩織先生、おしゃべり病理医こと小倉加奈子先生、そして、順天堂大学スポーツ医学から髙澤祐治先生、小松孝行先生。山本貴光先生にもご同席いただきます。 

なにやら司会の小倉先生が資料に目を落としています。これは何かといいますと、じつは、参加者のみなさんから当日に募った「質問集」。

この座談会に先立って、参加者のみなさんには、お医者さんや山本先生に聞いてみたいクエスチョンを募集しました。「問い」を立てることが、リサーチのはじまりですからね。名づけて、救Qワーク。キカクの森で遭難しているところへ、ドクターヘリが駆けつけたというイメージです。

参加者はその場で、スマホやパソコンからGoogleフォームに質問を投稿。高校の生徒さんとともに、先生方も真剣に質問を投げかけます。

すると、さすがのMEdit isLandの勇者たち。10分で、40近くの質問が集まりました。たとえば「医師のお仕事をしていて〈ゲーム感覚〉になる瞬間はありますか」「診断って、迷ったりするんでしょうか」なんていう、医学をテーマにしたゲームづくりに関連するもの。

あるいは、「緊張しちゃうんですけどどうしたらいいでしょう」という日常に関連するものもあれば、「お医者さんのやりがいはなんですか」など医学部志望の生徒さんなら聞いてみたい話まで、さまざまな質問が寄せられました。みなさんの疑問・質問に真剣に答えていくドクターズ。

髙澤先生は、2015年、ラグビーワールドカップで日本代表チームに帯同。スポーツドクターとしての実際の経験から、「試合中の判断はほとんど迷わないけれど、数ヶ月や数年単位の時間があるほうが治療オプションが多くて悩む」という意外なお話を聞いたり。(同じケガであっても、その選手が高校2年生なのか高校3年生なのかによって、将来の試合のことも考慮しながら治療方針を変えるらしい)

救急の現場で働く小松先生からは、たとえば「今週末に出張に行かなければならないから、風邪を治してくれ」と無茶な患者さんが来たときにどう向き合うのか、というリアルな臨床での向き合い方を教えていただいたり。(小松先生なら、その患者さんがどうしてそこまで出張に行かねばならないと思っているのか、価値観を探るとのこと。その人にとって、出張しなければならない理由が「商談をまとめること」ならば、「部下を信じましょうよ」というところまで説得するのだとか)

診断で迷うことはありますか」という質問に対して、しんしん先生は「当然あります」とご返答。それでも判断しなければならないから、国内の事例や世界の事例を徹底的に調べ、そして人に聞く、とのこと。「患者さんを助けたいという思いは、どの病院でもいっしょだから、他の病院の先生とも連携します」と長期的なスパンでの対応をお話しすれば、小松先生が救急の現場では「ここから数時間の様子を見てみて、こうなったらこうしましょう」と未来の情報もいれながら判断するという方法を伝えたり。

山本先生は最近バズっているNintendo Switchのスイカゲームを例にあげながら、単純なルールの組み合わせから複雑な仕組みがうまれるという「複雑系」について話題を広げます。『患者の話は医師にどう聞こえるのか(みすず書房)という本も紹介して、医師と患者のコミュニケーションの難しさまでスコープを広げてくださり、70分の座談会はあっという間にお開きに。

医学部志望の生徒全員に聞かせたかったです」と、高校の先生が大絶賛した今回のワークショップ。高校生のみなさんにも、医者の卵のみなさんにも、ゲームづくりをとおして、すべての学びにつかえる普遍的な方法を学びとった時間になったことでしょう。

次回12月で、「みんなで医学をゲームする」ワークショップはお仕舞い。お医者さんのナマの声を聞いて、見方を増やしモチベーションをぐんと高めた参加者たちは、これからどんなふうにキカクショを進化させていくのでしょう。MEdit isLandの冒険は、まだまだ続きます。

撮影:小山貢弘

MEdit Lab 順天堂大学STEAM教育研究会
with スポーツ医学研究室 主催

「レッツMEdit Q !」リアル&ウェブワーク
-医学をみんなでゲームする!-

■リアルワークの会場
順天堂大学本郷・お茶の水キャンパス
〒113-8421 東京都文京区本郷2丁目1−1
  https://www.juntendo.ac.jp/access/

第1回2023年6月18日(日) 14時半~17時半 7号館1階 会議室(終了しました:レポートはこちら
第2回2023年8月26日(土) 14時半~17時半 7号館小川秀興講堂&カフェテリア(終了しました:レポートはこちら
第3回2023年10月28日(土) 14時半~17時半 7号館1階 会議室(終了しました)
第4回2023年12月16日(土) 14時~17時半 7号館13階 大会議室
※第4回は開始時間が14時30分ではなく、14時になります。開催場所は変更になる可能性があります。詳しいご連絡は参加者宛のメールをご覧ください。

 

MEdit Lab リアルワークショップ レポート一覧

第1回ワークショップ
【写真レポ】史上初!Medit Labでリアルワークショップ第1回を開催しました
【レクチャーまとめ】ゲームクリエイターは意地悪になれ 山本貴光先生のレクチャーまとめ

第2回ワークショップ
【写真レポ】MEdit Lab第2回ワークショップを開催しました
【レクチャーまとめ】創作のコツは生き方のコツ?! ゲーム作家に聞いた「私と私の協力プレイ」攻略法

【保存版】方向音痴でも迷わない!写真でわかる、順天堂大学への行き方

 

投稿者プロフィール

梅澤奈央
梅澤奈央
聞き上手、見立て上手、そして何より書き上手。艶があるのにキレがある文体編集力と対話力で、多くのプロジェクトで人気なライター。おしゃべり病理医に負けない“おせっかい”気質で、MEdit記者兼編集コーチに就任。あんこやりんご、窯焼きピザがあれば頑張れる。家族は、猫のふみさんとふたりの外科医。